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ニュースリリース

【参本会議】榛葉賀津也幹事長が施政方針演説など政府4演説に対して代表質問

国民民主党の榛葉賀津也幹事長(参議院議員/静岡県)は22日、国民民主党・新緑風会を代表し、菅首相による施政方針演説など政府4演説に対する質疑に立ちました。質疑の全文は以下の通り。

政府四演説に対する代表質問(全文)

【はじめに】
 私は、国民民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました「政府四 演説」に対し、総理並びに関係閣僚に質問します。
 緊急事態宣言が 11 都府県に拡大するなど、日本中が緊迫する中、懸命に新型 コロナウイルス感染症対応に従事されているすべての関係者に心からの感謝を 申し上げます。また、昨年来、多くの方々が感染症に苦しみ、昨日までに 4886 名の方々がお亡くなりになりました。この中には、同僚の羽田雄一郎議員も含ま れます。本当に悔しいです。犠牲になられたすべての方に心からお悔やみを申し 上げ、闘病中の皆さまにお見舞いを申し上げます。
 1 月 18 日まで国会が開会されないという危機感の欠如、緊急事態宣言に至る までの政治決断の遅さ、遅々として進まない特措法改正など、政府与党には苦言 を呈したいことは山ほどあります。しかし、批判一辺倒では何の解決にもなりま せん。 「コロナ危機からすべての国民の命と生活を守る」 現下における我々の使命はこの一点です。そのために私たち国民民主党は政 策提案型の改革中道政党として、具体的な提案をし続けてまいります。菅総理、 どうか真摯に受け止めてください。

【新型コロナ感染症対策:ワクチンと治療薬】
 新型コロナ対策で、国民が最も切望しているのは、一日も早い安全なワクチン 接種と治療薬の開発・普及です。ワクチン接種において最大の鍵は、最優先され る 300 万人の「医療従事者向け優先ワクチン」の接種がスムーズに行われるこ とです。専門知識の高い医療従事者がワクチンの安全性に懐疑的で接種を拒否 するようなことがあれば、その後に続く「高齢者向け優先接種」や「基礎疾患者 の優先接種」 「一般の方の接種」に深刻な遅延が予想されるためです。総理、政 府が目指すワクチン接種の行程表を具体的にお示しいただいた上で、「一般の 方々」まで滞りなく接種が行われるための策をお答えください。 ワクチン接種は国の指示と都道府県の協力の下で各市町村が実施します。各 地で医療危機・医療崩壊が叫ばれる中、本当に医師・看護師が確保され、接種が可 能だとお考えですか、併せてお答えください。
 ファイザー社やモデルナ社のmRNA ワクチンは-75℃前後の超低温保存が必要 な上、輸送されたワクチンは最大 5 日しか保存できず、しかも最小流通単位は、 1170 回接種分です。大切なワクチンを無駄にはできませんし、新型インフルエ ンザ・ワクチンの時のように特定の自治体や医療機関にワクチンが偏在するこ となどあってはなりません。ワクチン接種には需給調整と流通の円滑化等、自治 体までのロジスティックが極めて重要ですが、これらの対応は本当に大丈夫な のですか。ワクチン担当大臣の答弁を求めます。 地方の自治体が本当に知りたいのは、希望的観測でなく、現実に即したワクチ ン現状と今後の見通しです。都合の悪い真実でも、事実を率直に地方自治体にお 伝えする、リスク・コミュニケーションこそが成功の鍵だと思います。総理の認 識をお伺いします。
 他方、ワクチン接種については厳しいデータもあります。日本における 2018 年度の季節性インフルエンザ・ワクチンの摂取率は 47.9%で、アメリカの 68.7%、 イギリスの 72.0%、韓国の 85.1%に比べ低い傾向にあります。 2009 年~2010 年 の新型インフルエンザでは、一般の方の 30%が接種するだろうと想定されまし たが、実際の推定摂種率はわずか 5%でした。事実、NHK の調査でも、新型コロ ナのワクチン接種を「する」と答えたのは全体の 50%に止まり、 「しない」と答 えたのは、なんと 38%にも及びました。世界で最も評価の高い医学誌「LANCET」 の指摘では、国民の政府への信頼度とワクチン接種の相関性が指摘されていま す。政府を信頼する国民の接種率は高く、信頼しない国民ほど低いというのです。 総理、この現実をどう受け止めますか。
 日本国内で承認されている治療薬は重症者向けの「レムデシビル」だけです。 安倍前総理が承認を急いだ「アビガン」も未承認です。治療薬に求められるのは 第一に安全性ですが、国民は 1 日も早い普及を望んでいます。治療薬の現状と 今後について厚労大臣の説明を求めます。
 静岡県内で 18 日、変異種の英国型コロナ患者 3 人が確認されました。渡航歴 もなく、市中感染の疑いが指摘されています。国内では、既に変異種が蔓延して いるという前提に立った対応が必要ではないですか。英国型や南ア型などの変 異種にも、今あるワクチンは効果があるのでしょうか。また、日本由来の変異種 発生の可能性も十分に考えられるのではないですか。国民の不安を払拭するた めにも厚労大臣、ご答弁願います。
 総理は、コロナ対策の鍵を握る「ワクチン担当大臣」に河野太郎大臣を任命し ました。河野大臣は、自他共に認める“令和の壊し屋”です。大規模なワクチン 接種に求められるのは、周到な事前調整とコンセンサスづくり。つまり、根回し です。防衛大臣当時のイージスアショアの件を見る限り、河野大臣の最も苦手と される点とお見受けしますが、大臣任命の理由について総理にお伺いします。

【新型コロナ感染症対策:PCR 検査】
 我が党の足立信也議員は、昨年の 8 月の段階から医療現場の崩壊と風評被害 を防ぐためには、医療施設で働くハイリスク者やエッセンシャルワーカーへの PCR の定期検査しかないと訴え続けていました。今月、政府はその必要性をつい に認めましたが、その具体的内容は明らかになっていません。いつから、どの範 囲の方々に、どういう頻度で定期な PCR 検査を行うのか、厚労大臣の明確な説 明を求めます。

【特措法改正と事業者支援】
  感染抑止の「ブレーキ」と経済の「アクセル」を同時に踏めば、「国民生活」 という車はエンストします。我が党は、舟山康江政調会長を中心に、 「今は経済 対策よりも感染拡大防止を優先すべき」と主張し、経済対策では国による「万全 の補償」と「罰則規定」のメリハリの効いた特措法の改正案を提出しました。 一方、政府はやっと「1店舗1日6万円」の協力金を打ち出しましたが、国が 8割、自治体が2割を負担する仕組みです。時短営業等による感染防止は我が国 全体の問題です。国が全額を負担すべきと考えますが、総理の見解を求めます。 また、例えば、政府の方針に協力をしたラーメン屋さんには 1 日 6 万円の補 償が出ます。しかし、製麺会社や精肉店、八百屋さん、おしぼり屋さん、酒屋さ んには補償されません。政府は飲食店の取引先にも中小企業最大 40 万円、個人 事業者最大 20 万円の一時金を検討中との事ですが、持続化給付金はすべてなく なり、 「焼け石に水」との声もあります。事業者の実情に合った補償策が必要と 考えますが、総理の見解を求めます。

【雇用対策:雇用調整助成金の延長】
  在宅勤務やテレワークができない「ものづくり産業」では、操業調整による自 宅待機を余儀なくされ、希望退職、倒産や廃業の危機に直面している中小企業が 多く存在します。 しかし、現在の雇用調整助成金の特例措置は、本年2月末で終了です。その後 の雇用を維持できない中小企業は、解雇予告手当の関係上、1 月末までに解雇予 告をしなくてはなりません。重大な雇用不安を招かないためにも、 「雇用と暮らし守る生命線」としての雇調金の特例措置の延長を速やかに決断し、平時に回復 するまで継続すべきと強く要請します。総理の決意をお聞かせください。

【自宅待機者等の賃金保障とカスタマー・ハラスメント対策】
  新型コロナの療養期間中、組合健保及び協会けんぽの加入者は、傷病手当金を 受け取ることができます。しかし、その額は月給の 2/3 程度であり、国民健康保 険の加入者に至っては傷病手当金の制度そのものがありません。さらに、濃厚接 触者の自宅待機に至っては国からの賃金保障制度は皆無です。感染拡大を防止 し、勤労者が安心して治療に専念できるような保障制度の構築が必要と考えま すが、総理の見解を求ます。
 医療・介護、保育、小売り、物流・交通などの業種では感染のリスクにさらさ れながら懸命に就業を行っています。にもかかわらず、献身的なその働きを踏み にじるような中傷や差別・偏見、カスタマー・ハラスメントを受けている方が多 くいらっしゃいます。断じて許されません。改正特措法にはこれらの行為が法的 責任の伴う行為であることを明記し、国民への周知を徹底すべきと考えますが、 総理の見解を求めます。

【コロナ禍における電力の安定供給】
 病院や経済を支える電力の安定供給は国家の礎です。現在、寒波の影響やコロ ナ禍によるテレワークの急増と巣ごもりによる暖房需要の増加、国際的な化石 燃料調達環境の悪化等で電力の需要と供給が綱渡りの状態にあります。 雪などの悪天候に太陽光は脆く、老朽火力の予期せぬ停止や在庫燃料の枯渇な ど、大規模停電がいつ発生してもおかしくない状況にあります。電力の需給バラ ンスを調整し、安定供給を維持するため、不眠不休で取り組む現場の使命感や矜 持に頼る他ない現状に、強い危機感を抱いていますが、総理のご認識をお聞かせ ください。
 低廉で高品質な電力の安定供給は、菅内閣が目指す「カーボンニュートラル」 と「デジタル社会」の生命線です。そして何よりも、エネルギーは国家の存立基 盤そのものです。故に資源小国におけるエネルギーの安全保障や電力の安定供給 に対する最終責任は、国が担うべきであり、 「不測の事態」に対する責任を現場 に押しつけてはならないと思います。経産大臣のご認識をお伺いします。
 エネルギー分野では、電力システム改革や原子力依存度の低減、再生可能エネ ルギーの導入拡大、石炭火力の見直しなどが様々な政策議論がなされています。他 方、 「脱炭素社会の実現」に関しては、現実的で客観的な検証が不可欠です。安全 の確保を大前提に、ベースロード電源の安定稼働など、盤石なエネルギー供給体制 を構築した上で、脱炭素社会を目指していくべきと考えますが、総理の考えをお聞 かせください。

【カーボンニュートラルとポストコロナの産業政策】
 ポストコロナの産業政策も今国会の重要な課題です。菅内閣は、2050 年のカ ーボンニュートラル実現に向け、2035 年に新車販売を 100%電動車にするな ど、自動車産業でも野心的な目標を掲げました。しかし、自動車をはじめとす る CO2 排出量 17%の運輸部門だけの削減では、目標達成は不可能です。達成に 向けては、生産段階における CO2 削減政策も重要です。欧米や中国との競争に 打ち勝ち、電動車シフトを実現するには、蓄電池をはじめとする新技術の開発 や低コスト化、急速充電器や水素ステーション等のインフラ整備、部品企業の 円滑な業態変換など、きめ細かな支援が不可欠です。これらの大変革には、国 が中心となり、欧米や中国を凌駕する税制や助成金等の支援策を講じると共 に、産業界とのより一層の緊密な連携が必要と考えますが、総理の認識を伺います。
 とりわけ、世界に類のない複雑で過重な自動車関係諸税が電動車などの普及 に影響を与えるのは必至です。燃料課税や軽自動車の概念も変貌を遂げざるを 得ないなど、自動車関係諸税の簡素化や抜本的な見直しが不可欠と考えますが、 総理の見解を求めます。

【コロナ禍における公共交通の確保】
  コロナ禍における公共交通のインフラ確保も重要な課題です。 年末年始のJRの利用状況は、対前年比で約 30%程度に激減しています。2020 年度の通期予測では、JR7社の合計で既に3兆円の減収が見込まれています が、再度の緊急事態宣言により、更に巨額の赤字が計上される可能性があります。
 地域を、そして日本経済を根底から支える使命を担い続け、かつ、多くの雇用 を生み出しているJRをはじめ、あらゆる交通事業者への一層の経営支援を行 うべきだと考えます。国土交通大臣の答弁を求めます。

【社会に貢献する科学技術のあり方】
 コロナ禍で、改めて気付かされたことがいくつかあります。 人口減少と財政悪化という難題に直面し、日本が弱体化しているという現実 もその一つです。コロナ禍前のインバウンド激増も、他の先進国や新興国の所得 増加に対し、日本人の所得が低迷し、日本が相対的に豊かでない国になっていた ことが一因であると客観的に認識すべきです。 勤労者世帯の平均月収はこの 20 年間で 24 万円減。かつて世界第二位であっ た国民一人あたりの GDP も、今や 27 位です。1989 年(平成元年)、「世界の企業 TOP50」の内、32 社が日本企業、TOP10 に6社も入っていましたが、今はトヨタ 自動車が、唯一、26 位に入っているのみです。かつては日本の上位独占が当た り前だった「技能五輪」も、今や入賞さえ厳しい状況です。
 我が国の科学技術力の低下が指摘される今こそ、官・学・民が連携して研究開 発を推進し、国際競争力を高め、経済を活性化していかなければなりません。脱 炭素化社会の実現に向けた水素エネルギーの活用、次世代蓄電池の開発、デジタ ル社会と IT 国家の実現に向けた AI・ICT 技術の開発分野などでは、苛烈な国際 競争が繰り広げられており、国として、支援体制の強化が不可欠となっています。 さらに今日、新型コロナ対策における ICT 技術やバイオテクノロジーの活用が 期待されており、これらの分野を含め、科学技術関連予算の大幅な拡充、政策を 総動員した企業の研究開発から社会実装までの支援が必要であると考えますが、 総理の覚悟をお伺いします。

【ヒューマン・ニューディールと教育投資】
 コロナ禍で再確認した最も重要な事、それは、国家の基が国民一人ひとりにあ るということです。 「人」が「技術」を生み、 「サービス」を生み、 「企業」と「産 業」と「経済」と「国家」を支えていくのです。 つまり、日本の劣化は、我が国が長らくこの原点を忘れ、 「人への投資」を怠 ってきた事の証左です。2019 年 9 月の OECD 発表によると、2016 年の各国の小 学校から大学までの教育機関に対する公的支出の GDP に占める割合は、35 カ国 中3年連続で最下位でした。コロナ禍以前でも、日本の教育予算が少なすぎまし た。先生の数も足りていません。そして、先生が多忙すぎます。 文科省は 2018 年に初めて教職員の「働き方改革」に着手し、給食費の集金や登 下校の見回り等、学校や先生以外で担うべき業務などを明確にしました。 しかし、昨年末「学校給食費、74%が学校で徴収」という報道がありました。結 局、何も変わっていないのです。
 「コロナ禍を理由に学力の低下は許されない」 感染防止に最大限の気を配りながら多様化・複雑化する任務に必死に対応する ことで、教育現場は逼迫しております。小中学校のみならず、幼稚園・保育園の 現場でもマスク着用により、子供達が先生方の表情が見えないなど、情操教育や 心理学上、深刻な影響も危惧されています。
 コロナ禍だからこそ、教育現場を政治が真剣に守り抜く覚悟が求められます。 すべては子どもたちのため。将来の日本を担う「人」のためです。 教職員の働き方改革とコロナ禍における「教育」に対する総理大臣の決意をお伺 います。

 我々人類は、そして日本は、新型コロナなどに負けるわけにはいきません。 国民民主党はこれからも、党派を超えて新型コロナ危機に打ち勝つためにあ らゆる政策を駆使し、ポストコロナの経済再生、国家の基である教育と人づくり に全力を傾けることをお約束して、私の代表質問と致します。 ご静聴ありがとうございました。

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