ニュースリリース
【衆本会議】岸田光広議員が令和7年度補正予算案について質疑
岸田光広政務調査副会長(衆議院議員/埼玉4区)は8日、衆議院本会議で議題となった令和7年度補正予算案について質疑を行った。質疑の全文は以下の通り。
国民民主党の岸田光広です。
補正予算についての片山大臣の財政演説に対して、国民民主党を代表して質問いたします。
まず初めに、大分県佐賀関(さがのせき)で発生した火災により被害を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。避難や生活再建に多大なご苦労を強いられていることと存じます。また、復旧活動や地域の安全確保に尽力された消防・自治体関係者や業界の皆様にも深く感謝申し上げます。
さて、昨年12月11日に三党間で合意されたガソリンの暫定税率の廃止が、今回の補正予算で実現することは、国民生活の負担軽減という点で極めて意義深い成果です。この暫定税率は半世紀にわたり続き、長年国民に負担を強いてきました。廃止により、物価高騰対策としての効果に加え、公共交通が限られ自動車が生活に不可欠な地方の方々の負担軽減にも資するものです。高市首相、片山財務大臣はじめ、与野党関係議員や業界など関係者の皆様のご尽力に対し、心より感謝申し上げます。
加えて、自動車安全特別会計への繰戻しが行われることにも感謝申し上げます。これは我が党が一貫して訴えてきた施策であり、保険料を本来の目的である交通安全や事故被害者支援に活用するものです。今回の補正予算で繰戻しが実現されることは、制度の信頼性を高め、将来的な安全施策の安定的実行にも資すると考えます。
1.
最初に、いわゆる「103万円の壁」への対応についてお伺いします。
三党合意に盛り込まれた「基礎控除等を178万円へ引き上げる」措置は、国民民主党が、生存権の観点から最低賃金の上昇に応じて控除額を引き上げるべきだと一貫して訴えてきた重要項目です。しかし、現行の非課税ラインは160万円にとどまり、しかも所得階層ごとに細かく分かれ、最大限の恩恵を受けられるのは年収200万円以下の5%のみという、極めて限定的な税制になっています。これでは新たな“壁”をつくったに等しく、公平・中立・簡素という税制の原則からも大きく逸脱しています。最低賃金に連動して控除額を178万円へ引き上げることこそ、働き控えの解消にもつながります。総理のご所見を伺います。
2.
次に補正予算の規模についてお聞きします。
高市内閣として、いまの日本経済を「物価高や円安など外部環境の変動の影響を受けつつも、賃上げと投資を通じて成長力を高めていく局面」と位置づけておられると承知しております。そして、国民生活の下支えと将来への成長投資を両立させる、いわば“守りと攻めの両立”を目指すというのが今回の経済対策の基本理念であると理解しております。 こうした方向性は、多くの国民が切実に願う「生活の安定」と「未来への展望」の双方に応えるものとして、一定の評価ができると考えます。一方で、理念が実現するかどうかは、政策の中身とその規模が実体経済にどれだけ効果を与え得るかにかかっています。 そこでお伺いします。 今回の補正予算の規模は、現在の景気・物価・需給ギャップの状況を踏まえたうえで、「必要かつ十分な規模」だと判断されたのか。すなわち、国民生活の負担軽減と成長力の強化を実現するために、最適な規模として積算したものなのか。総理のご認識を伺います。
3.
次に、補正予算に対する市場の受け止めについてお伺いします。
コロナ禍以降、補正予算が大規模化する傾向にある中で、市場では国債残高の増加が長期金利の上昇リスクにつながり、企業の資金調達環境を不安定化させる可能性があるとの見方が出ています。また、財政拡大が為替をより円安方向へ押し下げれば、物価対策の実効性が薄れ、せっかく三党合意のもと実現したガソリン暫定税率の廃止による負担軽減効果も、エネルギー価格の上昇に相殺されかねません。こうした市場の受け止めを政府としてどのように分析し、どのようなコミュニケーションを行っていくのか、片山大臣のご所見を伺います。
4.
次に、補正予算の考え方や基金について伺います。
今回の補正では、従来と比べても相当規模で各分野の基金への積み増しが行われています。将来に備えた成長投資や政策の安定的実行のために基金が必要であることは理解しておりますし、中長期的な視点での政策継続性も極めて重要だと考えます。しかし一方で、補正予算は本来、年度内に必要な緊急支出を迅速に実行するためのものであり、基金に積み立てる形で中長期的な支出を手当てすることが妥当なのか疑問が残ります。そこでお伺いします。基金として積む額は、年度内に実施される事業や支援の内容と照らして妥当であると考えられるのでしょうか。また、国民に分かりやすく示す観点から、予算措置の基準や考え方についても見解を伺います。
5.
次に、外交・安全保障環境の変化への対応について伺います。
今回の補正では、防衛力整備計画対象経費や米軍再編事業に関わる経費が積み上げられていますが、これらの額はどのような計画や根拠に基づき算定されたのでしょうか。また、補正予算で対応すべきものなのか、当初予算で十分に対応可能なものを補正で積み増す形になっていないかも確認したいと思います。さらに、GDP比2%水準を無理やり達成するための積み上げではないかとの懸念もあります。これらの点について、政府としての判断や考え方の見解を伺います。
6.
次に、重点支援地方交付金について伺います。
重点支援地方交付金は地域の実情に応じた施策実施を目的としています。しかし、自治体ごとの財政力や行政能力の差を踏まえ、交付金を計画通りに使えるかどうかは不透明です。国は、地域間の格差を是正しつつ政策効果を確実に上げるため、交付金の活用状況を把握・支援・モニタリングする仕組みを強化すべきではないでしょうか。地方の裁量を尊重しつつ、施策効果を確保する制度設計を求めますが、所見を伺います。
7.
次に再エネ賦課金について伺います。
電気代には固定価格買取費用を賄う賦課金が上乗せされ、一般家庭では、2012年の導入時は1月88円、1年1056円だったのが、いつのまにか上がり続け今年度では年約2万円の負担となっているとの試算もあります。補正予算には光熱費支援が盛り込まれていますが、そもそも賦課金が電気料金に組み込まれ、自動的に徴収され続ける仕組み自体を見直すべきではないでしょうか。国民・事業者の負担軽減に向け、制度の再検討を求めますが、ご見解を伺います。
8.
次に、高校生世代の扶養控除について伺います。最近の報道では、政府・与党が高校生の扶養控除を38万円から25万円へ縮小する方向で検討しているとされています。また、この控除縮小で生じる財源を、来年度から始まる高校無償化の原資に回そうとしているのではないかとの見方もあります。しかし、教育支援を拡大すると言いながら、その裏で同じ高校生を育てる家庭に増税で負担を求めるのは、政策として整合性を欠いているのではないですか。さらに、最大58万円の扶養控除が認められる同居高齢者との制度上の整合性も説明されていないのではありませんか。扶養控除は憲法25条に基づく基礎的控除です。なぜ高校生の扶養世帯だけを標的にするのか、総理の答弁を求めます。
9.
次に、教育国債について伺います。
財政学では、将来世代にも便益が及ぶ長期的公共投資は国債で賄うことが理論的に適切とされています。教育・子育て・科学技術への支出はまさに“未来への投資”であり、単年度予算では不十分です。人口減少下で子どもの教育負担を軽減し、将来の成長力を高めるためにも、教育国債を活用し長期安定的にファイナンスする仕組みに改めるべきではないでしょうか。高市総理のご所見を伺います。
10.
次に、消費税について伺います。
物価高騰が続く中、賃上げが追いつかず、生活も事業も厳しさを増しています。物価高騰対策としても、安定的に2%の物価上昇が実現するまで、消費税を5%に引き下げるべきです。複数税率がインボイス導入を招き、免税事業者の取引排除や中小企業の事務負担増を引き起こしています。単一税率へ戻しインボイスを廃止し、中小企業を守るためにも消費税5%への引下げを断行すべきではありませんか。ご見解をお伺いします。
11.
次に、ハイパー償却税制、一括償却も含む加速償却について伺います。
「給料が上がる経済」を実現するには、民間投資を抜本的に後押しし、生産性向上と賃金の底上げにつなげる強力な装置が不可欠です。特にデジタル化、AI、量子、核融合など国家が重点を置く戦略分野への設備投資を加速させる税制こそ必要です。高市総理が掲げる「成長なくして財政健全化なし」を具体化するためにも、本税制の導入を前向きに検討すべきです。最後に改めて、ハイパー償却税制、一括償却も含む加速償却についてのご所見を伺います。
12.
次に、NISAについて伺います。
円安に対する警戒が強まる中、その背景には金利差に加え、年間6兆円規模に拡大したデジタル赤字、さらにNISA拡充後にオルカンやS&P500など外国株式中心のファンドへ日本の個人資金が大量に流出し、海外市場の成長を支えている構造が円安要因の一つとなっているとの指摘があります。他方、企業収益や賃上げなど日本経済にも明るい兆しが見え始め、今こそ国内投資を強化し成長へつなげるべき局面です。高市政権の成長戦略を成功させるためにも、日本株や日本国債を対象とした国内投資枠をNISAに新設すべきではありませんか。ご所見を伺います。
13.
次に、暗号資産に関する税制について伺います。
Web3や分散型技術は、世界的な産業競争の行方を左右する決定的な領域であり、日本として一刻の猶予もなく取り組むべき分野です。しかし現行制度では、暗号資産の利益が雑所得として総合課税され、最高税率55%が適用される仕組みが、国内の事業者・投資家の活動を著しく制約しています。国民民主党は一貫して金融商品と同様の分離課税への見直しを求めてまいりました。高市総理、国内Web3産業の発展のため、抜本的な税制改革に踏み込むお考えを伺います。
14.
次に、自動車関連諸税について伺います。
いま自動車産業を取り巻く国際環境は極めて厳しく、高市首相もその深刻さを十分に認識されていると承知しています。米国のいわゆるトランプ関税により追加的な負担が生じ、国際競争力に影響が及んでいる中、本来なら国内需要を力強く下支えする政策こそ必要です。しかし現状では、自動車には9種類・約9兆円もの税が課され、重い負担が販売減少の一因となっています。とりわけ車両価格の最大3%を課す環境性能割は恒久的に廃止すべきであり、自動車重量税の暫定税率も早急に見直すべきです。昭和期につぎはぎで積み上げられた制度を温存するのではなく、時代にふさわしい公正で合理的な税体系へと大胆に転換すべきではありませんか。高市首相のご所見を伺います。