ニュースリリース
【衆本会議】深作ヘスス議員が石破総理の帰朝報告に対する代表質問
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深作ヘスス政務調査副会長(衆議院議員/神奈川19区)は13日、衆議院本会議で石破総理の訪米帰朝報告に対する質疑を行った。質問の全文は以下の通り。
石破総理日米首脳会談帰朝報告に対する質疑
国民民主党・無所属クラブ
衆議院議員 深作ヘスス
国民民主党・無所属クラブの深作ヘススです。
会派を代表して石破総理大臣の帰朝報告に対して質問いたします。
まず冒頭、日本時間未明に行われた、米露首脳会談についてお伺いします。
報道ではトランプ氏がロシアのプーチン大統領と1時間半にわたって電話会談し、その直後にウクライナのゼレンスキー大統領とも会談、両国の戦闘を停止し、平和的手段による解決を目指すと語ったことを明かしています。昨日12日にはベッセント財務長官、明日14日にバンス副大統領、ルビオ国務長官がゼレンスキー大統領と会談予定で、約3年間にわたって続いた戦いが新たな局面を迎えています。トランプ氏は大統領就任前に、自分なら24時間以内に戦いを止めることができると話していましたが、実際にアメリカの仲介により停戦の可能性が出てきました。日米首脳会談の中でロシアについても議論したことと思いますが、日本政府は今回の停戦、仲介に向けたアメリカの動きは事前に承知をしていたのでしょうか。また、平和的解決の前進に向け、我が国はどのような立場で、どのような役割を担うことをお考えですか。
事態が急転する中で、現状の把握に努め、分析・評価の過程であると推察しますが、積極的に和平プロセスに関与し、平和国家として平和を希求するその思いを総理には行動でお示しいただきたいと思います。
今回の日米首脳会談は、不変で強固な日米同盟を再確認し、両国間の関係深化は当然のことながら、マルチの枠組みを重要視しないと言われてきたトランプ大統領が多国間の連携に言及し、二国間関係のみならず、日米を軸とする多国間連携が今後も安定して継続されることを内外に示すことで、日米間や両国を軸とした枠組みに綻びを見出そうとする国々に明確なメッセージを示すこともできたと前向きに捉えています。
隣国や周辺諸国との歴史的な関係性よりも、ディールを優先するトランプ氏の政治手法に「我が国も高い要求を突きつけられるのではないか」といった不安は杞憂に終わり、両国首脳の関係構築の第一歩として、まずは順調な船出を見届けることができました。
また、共同声明には当局間の積み重ねてきた努力の成果が垣間見え、首脳間のみならず日米両国の国家間の連携が強固であることも明らかになった点も今回の成果であったと考えます。
今回の会談は概ねこれまでの外交方針を確認する形となりましたが、新たな懸案事項かつ、今回の会談でも持ち帰りとなったUSスチール買収問題についてお伺いします。
昨年のバイデン政権による買収阻止命令から、トランプ氏の就任後大幅に米国の態度が軟化し、日本製鐵とUSスチール連携の可能性が見えてきたことは評価できますが、今後行われるとされるトランプ氏と日本製鐵幹部との面会に日本政府はどのように関与するかお答えください。政府はこれまで民間のことは民間に委ねると主張をされていますが、本件に関してアメリカ側は政権が積極的に意思決定に関与しており、すでに民間同士の対話というレベルを超えています。対等な交渉ができるよう側面支援をすることが重要であると考えますが政府の具体的な取り組みをお示しください。
自由・民主主義・基本的人権・法の支配と言った普遍的価値の共有が、日米間の揺るぎない関係を構築する礎となっています。
令和3年に米国主催で行われた「民主主義のためのサミット」で当時の岸田首相は「自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を損なう行動に対しては、有志国が一致してワンボイスで臨んでいかなければならない。」と発言されていますが、この方針は石破政権においても維持されているのでしょうか。
日米首脳会談直後にトランプ大統領は、メキシコ湾をアメリカ湾と呼称変更をする大統領令に署名しました。この名称変更は一方的な現状変更を試みるものと考えられますが、本事案に対し政府はどのような立場を取るのでしょうか。
我が国では国際的に確立された呼称・表記である「日本海」の呼称を変更しようとする試みに直面しており、一方的な現状変更には断固たる姿勢で望まなければなりません。そしてこの原則は同盟国であるアメリカに対しても徹底する必要があると考えます。同盟国のこのような現状変更の試みを黙認すれば、我が国が直面する課題に対して向き合う際の正当性が問われることとなります。
メキシコ湾の呼称問題だけでなく、トランプ氏は「カナダを51番目の州にすることを考えている」と発言し、就任前1月7日の記者会見では、「グリーンランドの購入に向け軍事力や経済的な手段の行使を排除しない」と表明、パレスチナのガザ地区についても「平和のための手段としてアメリカが長期的に所有し再建する」と発言しています。どれも法の支配や自由の尊重といった基本原則から逸脱したもので、民主的プロセスを経ずに現状変更を進めようとしていると国際社会は捉えています。これら基本的価値に対する挑戦とも取れる行動に我が国はどのように向き合い、どのような具体的行動を取るのか総理のお考えをお聞かせください。
トランプ氏は首脳会談後の記者会見で、「日本が今後記録的な量のLNGを輸入する」と発言し、アラスカにおける日米の共同事業についての言及がありました。これは日米間の経済的連携をさらに強めることはもちろん、アラスカからの輸入となれば地理的側面から運搬にかかる時間やコストを抑えることができる可能性があり、何よりも地政学的リスクの回避ができること、そして同盟国からエネルギーを輸入することとなり安全保障の観点からも歓迎したいと思います。
他方で、1300キロ以上にわたるパイプラインの敷設や、港湾の整備、LNG基地建設など莫大なインフラへの投資が必要となり、それら費用の価格が転嫁され、割高になる可能性もあり、購入する際の価格やその量など今後の契約が大変重要となります。
今回の首脳会談では大まかな方向性が示されましたが、今後日本はこの共同事業にどのように参画していくのか、現在の見込みと今後輸入が開始されるまでのロードマップをお示しいただくとともに、日本にどのような負担が求められるとお考えでしょうか。
今回総理は米国と経済的な連携を強めるために、日本が米国への投資を拡大することをトランプ大統領に約束をしてこられました。総理ご自身も会談の端々で交渉は「WinーWin」であるべきだと発言をされていました。私もその通りだと思っています。今回日本の民間投資がアメリカのWinとなったのであれば、日本のWinは何だったとお考えでしょうか。
日米首脳会談冒頭、記者を交えた会談の中で、総理は「忘れ去られた人々」に光をあて、夢と希望を見出せる社会を作ろうとしていることが両首脳の共通点であると語られました。
私もその総理のお考えに賛同し、忘れ去られたと感じている人々の光となるためにも政策実現に全力を尽くして行きたいと考えています。
総理は、地方の過疎化が進みそこに取り残された人というコンテクストでお話になりましたが、忘れ去られた人は過疎化が進む地方にだけいるのではありません。
私は川崎市宮前区で育ち、現在横浜市都筑区に在住しています。今回立候補をした神奈川19区は日本で唯一政令指定都市をまたぐ小選挙区であり、私が育った地域、そして子供たちの故郷となる地を包含した私にとっての国家の原風景です。令和に入ってからも微増ではあるものの、人口増が続く地域ではありますが、この地域にも「私たちは忘れられている」と感じている人たちがいます。
就職氷河期世代に生まれ、時の経済状況によって正規雇用という選択肢が取れなかった現役世代。生まれた時から「失われた時代」の中だけで暮らし、経済の成長・発展という言葉を実感したことがない世代。人口ピラミッドで圧倒的マイノリティとして、声をあげたって私たちの声は届かない、政治は私たちの方を向いていない。そう感じながらも日々の当たり前の生活を、その生活の中にあるささやかな幸せを紡いでいきたいと懸命に生きる多くの人々にも私は光を当てたいと思っています。
今、国民民主党に現役世代を中心に支持が集まっていることを実感しています。それは純粋に私たちの政党を支持しているということではなく、忘れられた多くの現役世代の悲痛な叫びです。政局の狭間で駆け引きにされるような政策ではなく、真に私たちが求める政策を実現してほしい。そんな悲痛な叫びが多くの皆さんからの支持となり、今私はここに立っていると考えています。
日本は実質消費が2年連続でマイナスに陥り、物価高は3年以上にわたって続いています。
現在米国が貿易相手国に仕掛けている関税により輸入物価が上昇し、今後米国のインフレが加速することが考えられます。そしてそのインフレへの対応として金利が引き上げられ、それがさらなるドル高を誘発すると、金利の高いアメリカに世界中からお金が集まることとなります。その結果円安は加速し、今度は日本の輸入物価が上昇することでアメリカのインフレが日本に輸出される形となると考えられますが、総理は現在アメリカが進めようとしている政策の余波をどのように認識し、どのように対応されるのかお答えください。
円が安くなれば現在もうなぎ登りに増えているインバウンドは加速するかもしれません。これまで政府もインバウンド促進のための施策を実施し、これは成功をしていると評価をします。ただしインバウンド消費がGDPに占める割合は1%程度です。我が国においてGDPの約6割を個人消費が占めており、仮にインバウンド消費が倍増しようとも、個人消費の微増の方が遥かに大きなインパクトをもたらします。GDPの6割を個人消費が占める我が国は、主要国の中でも極めて内需主導型の国であり、国民の手取りを増やすことが国内産業の生産力を高めることに繋がり、それが経済の発展につながります。
この、個人消費の原資となる「手取り」を増やす方法として、昨年12月、自公国3党間の幹事長合意で103万円の壁を178万円を目指して引き上げることが合意されました。基礎控除を引き上げ、手取りを増やすことは家計に対する支援でもありますが、内需主導型経済の我が国においては、同時に生産能力を高めることにも繋がります。もし仮に今後米国主導の保護主義が台頭する時代が来ても、それに対応できる体力をつけることにも繋がるのです。昨日この178万円を目指すとした三党合意に関し新たな報道がありました。国民の皆さんも固唾を飲んでこの進展を見守っています。
総理は今回の訪米で防衛力の抜本的強化を表明され、トランプ氏からも歓迎されたと共同声明にも記されています。防衛と経済という両輪を強化していくことが我が国の国力、そして外交力を高めると考えますが総理のお考えをお聞かせください。また現在123万円まで引き上げられた「壁」を三党協議で合意された178万円まで広げていくことが手取りを増やすことに繋がり、ひいては内需主導型の我が国の経済・産業政策を後押しし、国力をあげることにつながると考えますが、総理はどのように考え、忘れ去られたと感じる多くの人たちの声に応えていただけるのでしょうか。
今回の日米首脳会談は当初の様々な不安を解消し、まずはこれまで通りの日米関係が維持されることが明らかになった点においては評価できますが、新たな懸案事項に対してどのように我が国が向き合うのか、特に我が国の根幹にある普遍的価値に対する向き合い方など、今後日本の出方、我が国の一挙手一投足が国際社会からの評価につながり、我が国の価値を定義していきます。共同声明にも記されているように、「武力や威圧による現状変更を認めない」とする我が国の確固たる姿勢、プリンシプルに忠実な主権国家としての矜持を是非お示しいただきたいと思います。
本日未明、米露首脳会談とほぼ同タイミングで、米国国家情報長官に指名されていたギャバード氏の任命が承認されました。私はギャバード長官が米国下院議員時代に彼女の外交政策担当として連邦議会で勤務し、現在も友人として交流をしています。私たち国民民主党は「政争は水際まで」の精神で、主張すべきは主張しつつも、殊に外交・安全保障においては与野党関係なく「国は一枚岩で」の姿勢で取り組んで参りますことをお約束申し上げまして、総理の日米首脳会談帰朝報告に対する質疑とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。