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ニュースリリース

【参本会議】礒﨑哲史副代表が石破総理の帰朝報告に対する代表質問

 礒﨑哲史副代表(参議院議員/全国比例)は12日、参議院本会議で石破総理の訪米帰朝報告に対する質疑を行った。質問の全文は以下の通り。

石破内閣総理大臣訪米の帰朝報告に対する代表質問

令和7年2月12日
国民民主党・新緑風会 礒﨑哲史

 国民民主党・新緑風会の礒﨑哲史です。
 会派を代表して、総理の帰朝報告に関連して、石破総理に質問します。

 今回の日米首脳会談は、トランプ大統領にとって就任後2 人目となる首脳会談でした。これは東アジアを取り巻く環境の重要性、とりわけアメリカの日本に対する期待の高さを物語っていると思います。先ずは本首脳会談を実現させた関係者のご努力に敬意を表したいと思います。
 今回の会談にあたって相当な緊張感をもって臨まれたであろうことは想像に難くありません。その様な中、日米同盟がインド太平洋地域の平和と安定の礎だという認識のもと、同盟の抑止力と対処力の更なる強化で一致したことや、サイバー宇宙分野での連携強化を明記することで一致したことなど率直に評価をしたいと思います。
 会談後の記者会見では、日本の国会における政府答弁を引き合いに笑いを誘うなど、まずはひと段落といったお気持ちではないでしょうか。石破総理、大変お疲れ様でした。
 ただし、ここは日本の国会です。定番の答弁だけでやり過ごされては困ります。真摯に答弁をいただくことを求め質問に入ります。

 ①まず率直に伺います。本会談において、総理が重要視されていたことは、全てトランプ大統領に伝えることが出来ましたか。そのうち何割くらいの項目で認識の一致がはかれたと受け止めておられますか。お答えください。

 トランプ大統領は就任以来、多くの大統領令に署名をしています。
 その内、報道でも大きく扱われている関税について伺います。
 ②今回の会談では関税について、あまり話し合っていないと、両首脳ともに述べておられますが、国内外で関心も高く、『相互関税』と呼ばれる措置の導入が目前であった状況で、本テーマに関して話をしなかった理由についてお伺いします。

 ③今を遡ること約100年前。世界恐慌の最中、アメリカは国内産業保護のため、1930年にスムート・ホーリー関税法を制定し、関税を大幅に引き上げました。しかし、各国が報復関税を導入し、国際貿易が縮小。アメリカの輸出も激減し、世界恐慌をさらに悪化させることとなり、4年後、ルーズベルト政権は関税引き下げへと、政策を転換させました。現状、カナダ、メキシコへの関税は延長されたものの、中国への関税は実際に動き出しており、まさにこの100年前の出来事を想起させますが、過去の教訓と現状について総理はどの様に受け止めておられますか。お答えください。

 ④2024年におけるアメリカの貿易赤字相手国 第1位が中国、第2位がメキシコ、日本は第7位です。
 今回の会談において日米の関税に関する合意はありませんが、引き続き予断を許さない状況が続きます。一方、アメリカの貿易赤字相手国第2位のメキシコには多くの日本企業が進出し、メキシコ国内で製造した製品をアメリカに輸出しています。
 つまりメキシコに対する関税措置は、日本の企業にとって大きな痛手となります。アメリカの相互関税措置が、グローバルにサプライチェーンを構築してきた日本企業に与える影響について、日本政府の認識を伺います。

 ⑤合わせて、大手メーカーと連係し海外に進出している中小企業にとっては非常に厳しい状況が想定されます。こうした中小企業に対して、政府として何らかの支援策を検討するお考えはありますか、お伺いします。

 ⑥アメリカの貿易赤字解消の一環として、アメリカ産LNGの活用について合意がなされました。日本のエネルギー自給率が低く、その多くを中東地域に頼っている現状を踏まえれば、リスク分散の観点で評価できる内容と受け止めています。
 一方でアメリカからの輸入エネルギーが高コストとなれば、国内におけるコストプッシュ型の物価高を加速させることになり、日本の国益に繋がりません。更に、アラスカのLNG開発に多額の投資を求められれば、これもコスト増につながります。更にLNGを購入するのは民間企業であり、価格や契約更新の時期など不確定要素も多いと考えます。トランプ大統領は「日本は間もなく歴史に残る記録的な量の輸入をはじめる」と語ったと伝えられていますが、日本政府として時期や量、価格等に関して、どの様な展開を想定されているか、お答えください。

 ⑦また貿易赤字への対応策としてLNGなどエネルギーの購入以外にどのような観点で意見を交わしたのでしょうか、お伺いします。

 ⑧合わせて、経済安全保障上の重要物資である半導体や、蓄電池に必要なレアメタルなど重要鉱物の安定供給などに向けた協力体制についてどの様な意見交換がなされたのでしょうか。お答え願います。

 ⑨日本製鉄のUSスチール社買収交渉について伺います。会談ではUSスチールを所有するのではなく多額の投資を実施することで合意したと伝えられました。その後『トランプ大統領は、日本製鉄がUSスチールの株式の過半数を保有することはできないと述べた』とも報道されています。
 もともと日本製鉄の計画はUSスチール株を全株取得し、日本製鉄の米子会社とUSスチールを合併し、USスチールの社名や本社所在地は残す予定でした。今回合意した時点における総理の認識は、元々の考え方の理解が進み合意したのか、あるいは方針変更を含めて合意をしたのか、どちらでしょうか、お答えください。

 ⑩今般、トランプ大統領が再び、パリ協定からの離脱を表明しました。今回の大統領令では、パリ協定の離脱に関する規定にかかわらず、即時発効扱いとされており、早期に影響が及ぶことも考えられます。首脳会談において経済やエネルギーなど様々な分野での協力について合意を交わしていますが、地球温暖化に向けた日本の取り組みへの影響について政府の認識を伺います。

 ⑪パリ協定離脱に始まり、WHOからの脱退、OECDの国際課税ルールへの不参加等、トランプ政権はいわゆる国際協調、ルールづくりの枠組みからことごとく抜けようとしています。一方で、自動運転システムやスマートマニュファクチャリング等の国際的なルールづくりは新たなグローバル市場創出のために不可欠です。国際標準化戦略を含めた、国際ルールづくりにおける石破総理のスタンスと、逆行する米国政府にどのようにアプローチしていくおつもりか、お伺いします。

 ⑫北朝鮮による日本人拉致問題についてお伺いします。
 今回の首脳会談に先立ち、石破総理は1月27日の衆議院本会議において、本件について「トランプ氏と緊密に意思疎通を図りたい」と答弁されました。共同声明では、日本の決意に対するアメリカの支持が明記されたことを評価を致します。その上で、問題解決に向けては、日本が具体的に動き出すことが重要と考えますが、具体的取り組みについて総理のお考えをお聞かせください。

 ⑬日米同盟の根底は、「自由・民主主義・人権・法の支配」という普遍的な価値観であるはずです。しかし、今の米国は自国第一主義が普遍的価値観より優先されつつあるといえます。強固な日米同盟を堅持するためには、両国の普遍的価値を重視するよう、これまで以上に日本政府としても働きかけを行っていくべきと考えます。
 その意味において、与野党関係なく政府を支えていくことが重要であると考えます。そこで、今般のような会談に臨まれる際には、外遊後の帰朝報告だけでなく、外遊に向かう前に、与野党の意見を聞く場を持っては如何でしょうか。
 例えば、我が党の玉木雄一郎衆議院議員は、先月にスイスのダボス会議に参加し、独自に多くの各国関係者と直接会って懇談してきました。そこで得た情報やそれに基づく意見や提案も、総理が各国首脳と会って話す際の情報になります。当然、他の多くの与野党の議員の方々も、それぞれ独自の外交チャンネルで得たものがあると思います。
 外交日程を硬直化させないため、形式もこだわらず、党首会談といった場でも良いと思います。政局は水際まで。日本のトップ外交に深みをもたせ、より民意を反映させるためにも、意義のある作業だと考えます。最後に、本提案に対する石破総理のご所見をお伺いし、質問を終わります。