国民民主党 つくろう、新しい答え。

ニュースリリース

【衆本会議】長友しんじ議員が内閣不信任決議案に対し賛成の立場で討論

 長友慎治政調副会長(衆議院議員/宮崎2区)は20日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で議題となった内閣不信任決議案に対する賛成討論を行った。討論の全文は以下の通り。


 国民民主党の長友慎治です。私は、ただいま議題となりました岸田内閣不信任決議案について賛成の立場から討論を行います。

 賛成の最大かつ唯一の理由は、岸田総理、あなたが国民の政治に対する信頼を嫌というほどまでに失墜させたことです。行政府の長として、そして与党自民党の総裁として、自らも仰っている通り「火の玉になって」「先頭に立って」信頼ある政治を推し進める立場にあります。しかし、実際はどうでしょうか。「火だるまになって、たった1人で」迷走しているようにしか見えません。進み方も、方向もまったく間違っています。

 当選1期の野党議員である私にですら、地元を歩く中で「裏金いくらもらっているんだ」などと容赦のない言葉が浴びせられます。志をもって、真っ当に政治に臨む多くの国会議員、地方議員、それを支えて下さる多くの支援者、そして国民の信頼を損ねた責任はあまりにも重大である自覚はあるのでしょうか。

 一昨日、衆議院で与党と日本維新の会が賛成した政治資金規正法の一部を改正する法律案が、参議院の政治改革特別委員会で、委員長職権によって採決され、昨日の参議院本会議でも与党のみの賛成で可決されました。裏金の真相究明はされず、党幹部が非公開非課税で自由に使える政策活動費が合法化されるという、国民の嘲笑をかう悪法が成立したことになります。

 国民をだますような今回の改正を、衆参で賛成した政党以外、一体誰が望んだのでしょうか。しかも自民党、そして公明党はあろうことか、この改正案に自ら附帯決議を付けました。他の野党は対案も出し、慎重かつ十分な審議に応じる姿勢は今なお示し続けています。法案が十分でないと思うのであれば、再度、修正案を出し直せばよいではないですか。

 そもそも、失墜した国民からの信頼を回復するための政治改革でなければならなかったはずです。しかし、問題を起こした自民党自身に当事者意識がなく、真摯な反省すら見られません。私たちは再三再四、衆議院、参議院での丁寧な議論を通して、政治とカネの問題の再発防止を強く訴えてきました。私も政治改革特別委員会の委員の1人として現場を預かりましたが、総理が5月中の衆議院通過にこだわり、細部を詰めることなく、自身の意に沿う一部の党とのみの合意を図り、成案を得るための幅広い十分な議論の場を設けず、強行スケジュールを押し切ろうとしたため、政治改革特別委員会の場は大混乱しました。この期に及んで「自民党は何をやっているんだ」と国民は呆れたのではないでしょうか。そもそも自民党は議論をする気すらなかったと、国民は見抜いています。

 また、自民党派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティーの収入の一部を裏金化した事件について、一昨日行われた、安倍派事務局長の被告人質問において、派閥側から議員側への還流について「2022年8月の幹部会議で継続が決まった」との証言が出ました。

 政治倫理審査会や会見で、同様の説明をしたのは安倍派座長であった塩谷立(しおのやりゅう)元文部科学相のみです。下村博文・元文科相、西村康稔・前経済産業相、世耕弘成・前自民党参議院幹事長の3議員の説明との食い違いが改めて浮き彫りになりました。6月18日の公判では、この4人に同席していた松本事務局長がはっきりと「2022年の8月の会合で再開を決めた」「幹部の1人に頼まれた」と証言しました。この証言が正しければ、下村博文・元文科相、西村康稔・前経済産業相、世耕弘成・前自民党参議院幹事長の3人は、うそをついていたことになります。

 党や派閥の幹部が「これでいいんだ」と思って国会の委員会の場でも平気でうそをつく。多くの所属議員がこれだけの大量の法令違反を犯しても、まともに処分がされず、誰も何の責任もとらない。若手はそれを見習い、悪しき習慣が継承される。このように党内のガバナンスも崩壊する中で、恥も外聞もなく党内の権力争いに終始する。それが今の自民党です。そのトップが岸田総理、あなたです。

 問題を起こした議員、関係者が説明責任を果たしていないことも全く理解できず、大問題ですが自民党は説明責任を果たし、再発防止のためにも原因究明・真相究明に真摯に取り組むべき立場にあります。それにも関わらず、なぜ、派閥の裏金の問題が起きたのか、真相や原因を明らかにしないまま、衆議院でも参議院でも強行に採決することを優先した岸田総理の罪は重く、中身はザル法のまま改正案を成立させた自民党・公明党は国民の審判を仰ぐべきであり、国民からの厳しい鉄槌が下されるべきです。

 30年前の平成の政治改革が行われた時には、問題を起こした当の自民党の中から、政治の在り方そのものを変えていくべきという声が上がったと聞いています。内外の情勢が激動する中で、政権交代も必要だとの声が、何十年も与党だった自民党の中から出てきて、政治改革大綱がまとめられました。しかし、今回はまったく自民党に改革の姿勢が見られません。今、私たちをとりまく内外の情勢は、平成の当時と同じように大きな転換期にありますが、「日本の政治はこのままでよいのか」という大きな問いかけもなく、応急措置にもならない、むしろ、政策活動費の領収証を10年後に公開することにお墨付きを与え、結局は誰も罰せられることがない悪法を通過させた岸田内閣は、不信任以外の何ものでもありません。

 国民も同じように思っています。岸田内閣の支持率が政権発足以降、最低の19.1%になったことが、ANNが6/15、6/16 に行った世論調査で明らかになりました。内閣支持率が2割を切るのは、2012年に自民党が政権に復帰してから初めてです。さらに、政治資金規正法改正案を「評価しない」と答えた人は59%で、「評価する」は22%。総理、政府と自民党に対する国民の不信感が極限に達しているこの状況をどのようにお考えでしょうか。

 昨日の党首討論で、我が党の玉木代表が問うた言葉を、今一度、岸田総理に問いたい。

 「世界に冠たる日本をつくるには、世界に範たる日本である必要がある」

 範を示すべく、総理自ら職を辞し、トップとしての責任を果たすべきです。

「民、信なくば立たず」。国民の政治に対する信頼を取り戻すには、もはや小手先の対策では全く足りません。政党改革、国会改革、同時に選挙制度改革を進め、国や国民が抱える諸課題を建設的な議論と提案で解決していかなればなりません。しかし、現在の岸田内閣の姿勢は、野党の意見に真摯に耳を傾けるどころか、聞いたふりをするだけで、最後にはうそをつく内閣です。これではますます政治不信は広がるばかりです。やはり、政権交代が必要だと今通常国会の岸田内閣の対応をみて確信しました。不信任案の可決成立を起点として、国会改革にすべての政治家が一丸となって取り組むことを心から望み、私の賛成討論といたします。
ご清聴ありがとうございました。