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ニュースリリース

【衆憲法審】玉木代表が憲法改正の条文案作成スケジュールについて発言

憲法審査会発言要旨(2023年12月7日)

国民民主党・無所属クラブ 玉木雄一郎

 岸田総理は、自民党の憲法改正実現本部の会合で、「自民党総裁として目の前の任期中に改正を実現したい」、「党派を超えた連携を目指す改正項目について党としての考え方を取りまとめてほしい」と述べた。意気込みはいい。ただ、今日が臨時国会最後の憲法審査会だ。この国会を振り返って、改正項目の絞り込みや、条文案づくりが1ミリも進まなかったことは残念でならない。岸田総理の目指す来年9月までの総裁任期中に改正するなら、今国会でこそ「党派を超えた連携を目指す改正項目」として、4党1会派で合意が進んだ「緊急事態条項」についての条文案作成に取り掛かるべきではなかったのか。なお、自民党の「自衛隊明記案」は、改憲案としては中途半端で、何より自衛隊違憲論を解消できない内容だ。私は反対だし、まだ意見集約は行われていないと認識している。

 先週、本審査会に、議員任期の特例延長規定を創設する憲法改正条文案をつくる作業部会の設置を求めたが、本日、中谷与党筆頭幹事から「起草に向けた機関」を創設する旨の発言があったことは評価したい。その上で、閉会中も議論を進めていただきたい。衆議院憲法審査会規程8条では、国会の開会・閉会を問わず開会できるとされている。

 立憲民主党さんにも協力いただきたいのは、奥野議員の発言にもあったとおり、御党においても、戦時等、選挙が困難な事態においては、議員任期の延長を可能とする憲法改正も検討の余地があると考える。議員任期の延長規定の創設については、ぜひ前向きに議論していただきたい。「国会中心主義」の観点から合意を得られるテーマだと考える。

 その意味で、立憲民主党に改めて確認したいのは、一時的、暫定的、限定的な役割しか付与されていない参議院の緊急集会で、本予算の議決や条約の承認ができると考えるのか。衆議院の事後的な「同意」が必要な緊急集会が、本予算や条約まで決めるとなると、それは、予算の議決や条約の承認について衆議院の優越や、両院同時活動の原則に反し、違憲の疑いが生じるのではないか。考え方をお知らせいただきたい。

 国民投票法改正案についても一言申し上げたい。政党等による有料ネット広告をどこまで規制するかは、国民広報協議会におけるネット広報がどこまで行われるかとセットで考える必要がある。具体的には、録音録画の公営限度額がどこまで認められるかが重要な要素だ。一番正確な情報発信ができるのは改正案を取りまとめた政党だ。その政党からの発信が禁止される一方で、偽りのプロパガンダが拡散されると、国民の正しい判断が歪められてしまう。

 ここで立憲民主党に質問する。フェイクニュース対策と言った際に、例えば、政党によるネット広告禁止期間中に、護憲を訴える団体が「国民民主党が主張する緊急事態条項はナチスを生み出すものだ」といった事実に反する情報を有料広告で発信した場合、その発信はフェイクニュースとしてきちんと規制されるのか。逆に、改憲を訴える団体が、「自民党の9条改憲案によって、これまで自衛隊ができなかったことができるようになる」といった事実に反する情報を有料広告で発信した場合、その発信はフェイクニュースとして規制できるのか。答弁を求める。これは、実際に起こりうる事案である。

 なお、立憲民主党さんが「データ基本権」を憲法上に明記するといった改憲を進めるなら、国民民主党として共通条文案づくりに協力したい。私たちは3年前の12月に憲法改正に向けた論点整理で、公党の中で初めて「データ基本権」の明記について具体的な条文案を提示した。今話題となっている「自己情報決定権」(いわゆる「自己情報コントロール権」)を18条の2に規定し、「思想良心の自由並びにその形成の自由」を保障する19条改正案を提案し、プロファイリングによるマイクロ・ターゲティングによって思想・良心の形成プロセスが不当に操作されないようにする案も示した。さらに、社会的に大きな影響力を持つに至った「新たな統治者」としてのプラットフォーマーの責任にも注目し、偏りのないバランスの取れた「自律的かつ多様な言論空間を確保」し、インフォメーション・ヘルスの環境を整える責務を課す21条改正案も提案した。こうした内容を踏まえた具体的な条文案づくりを立憲民主党さんとも進めたい。

 最後に申し上げたい。とにかく大切なのはスケジュール管理だ。言いっ放しや、堂々巡りを繰り返すのではなく、議論を具体的に前に進めることだ。改めて、憲法改正の条文案づくりに着手する作業部会の設置を求めて発言を終える。

 <参考>国民民主党「憲法改正に向けた論点整理」(2020年12月)