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ニュースリリース

【衆憲法審】玉木代表が緊急事態における議員任期延長などについて発言

憲法審査会発言要旨(2023年6月15日)

国民民主党代表 玉木雄一郎

 冒頭、緊急事態条項に関する事務方の論点整理に感謝したい。これを見ると、5つの会派でほぼ意見が一致している。ぜひ幹事会の場や作業部会を設置するなどして、議員任期の延長については具体的な条文化作業に入ることを求めたい。すでに国民民主党は、日本維新の会、有志の会の皆さんと具体的な条文案も作成しているので、そうした条文案作りに積極的に貢献したい。首都直下型地震などの緊急事態はいつ発生するか分からない状況にあり、次の衆議院選挙が行われる前に憲法改正を実現することが理想です。加えて、岸田総理自身も、自らの任期中の憲法改正の意欲を示されているのだから、遅くとも、来年の通常国会で発議ができるスケジュールで作業を進められるよう、自民党には作業をリードしていただきたい。

 そして私は、議員任期延長の憲法改正については、立憲民主党とも合意が得られるものと期待している。現に、奥野議員は前回「立憲主義の立場からは、想定しうることは、権力抑制の観点、分立の観点から、憲法にあらかじめきちんと規定しておくべきだと考えている。そして、それは、任期の延長でいくのか、あるいは緊急集会で行くのか、どっちが民主的正統性があるのかということから検討すべきである」と述べておられる。議論次第では、十分に合意の余地があると考えている。

 私たちは、70日を超えて長期に選挙ができない場合に、「民主的正統性がある」制度として、両院同時活動原則に合致した「議員任期の延長」の憲法改正を提案している。同時に、「時の権力者が安易かつ長期に任期を延長して、政権を延命させる」危険性には留意する観点から、司法による権力抑制の仕組みも同時に提案している。

 階委員は、議員任期の延長での対応について、「恣意的な権力行使の余地が広がるように憲法を解釈し、国家権力にとって都合の良い憲法改正を主張することは、立憲主義に名を借りた立憲主義の破壊」とおっしゃられた。しかし私は、緊急集会が70日を超える長期間にわたって緊急集会が対応できるとする解釈こそ、階委員が懸念する「恣意的な権力行使の余地が広がる」ことになると考える。

 なぜなら、参議院と言えど権力だからです。しかも、憲法54条2項にあるとおり、参議院の緊急集会は「内閣の求め」によって開かれるものであって、実質的には時の内閣が主導権を発揮することになる。なぜ、緊急集会で対応する方が、議員任期の延長に比べて、時の内閣の恣意的な権力行使を抑制できると考えるのか、曖昧な解釈に基づいて行われる70日を超える緊急集会での対応の方が、時の内閣の恣意的な権限行使の余地を広げることになるのではないでしょうか。まさに、大石先生の言う「参議院による権力の簒奪」を招くのではないか。改めて説明をお願いしたい。

 また、立憲民主党は、任期延長された議員には民主的正統性が欠けると批判されているが、任期の切れた多くの衆議院議員で構成される内閣の方が、よっぽど民主的正統性を欠いているのではないでしょうか。あわせて考えを伺いたい。

 明日解散して、緊急事態が発生した場合には、私も、緊急集会で対応せざるを得ないと思う。しかし、私たちは立法府の人間だ。奥野委員が述べたように、「立憲主義の立場からは、想定し得ることは、憲法にあらかじめきちんと想定しておくべき」だ。であれば、より民主的正統性を担保できる制度を、憲法改正でつくり、想定される緊急事態に備えるのが責任ある国会議員の姿だと考える。少なくとも私は「選挙困難事態は起こり得ない」と考える「お花畑の立場」ではないことは改めて申し上げる。

 それと、そもそも緊急事態における議員任期延長の憲法改正が「国家権力にとって都合の良い憲法改正である」という主張にも、正直、違和感を覚えます。東日本大震災の際、議員任期を延長したのは、ただただ、あの大混乱の中、有権者も役場の職員も選挙を行うことができず、それに対応するためだったからではないか。仮に、時の権力、とりわけ内閣の暴走を恐れるのであれば、司法のチェックに加えて、緊急事態下であっても内閣不信任案の議決を認める制度にすればいいのではないか。実際、3会派の最新の案では、緊急事態下でも内閣不信任案の提出は可能としている。要は制度の作り方だ。そして、憲法に明記した方が、解釈による権力拡大よりは危険性の抑制はできると考える。

 もう一つ、確認したいのは、階委員は「70日ルールを守れなくなるような選挙困難事態への対応につき議論することはやぶさかではない」と述べておられるが、70日を超えるような選挙実施困難時に緊急集会で対応する場合、その緊急集会は、最大どれだけの期間対応できると考えるのか。そして、選挙ができるようになったと判断し、緊急集会での対応を終わらせ、選挙を実施させる権限を持つのは誰で、また、その際の要件についてはどのように考えているのか、教えていただきたい。選挙実施可能性の判断が「内閣」に委ねられるとするなら、結局、権力維持を目論む内閣は、いつまでも緊急集会で対応することを続けて選挙をしない可能性を排除できないのではないか。特に、内閣と参議院が結託して行う権力の恣意的拡大をどのように防止するのか考えを聞かせていただきたい。

 階委員は「70日という上限を設けず緊急集会の活動を認めるとともに、その権限の範囲は、必要最小限かつ暫定的なものにとどめる」と述べておられるが、権限には限定があるが、期間には限定がないとする解釈そのものが極めて恣意的であり、権力濫用の危険性を払拭できないと思われます。立憲民主党は「70日超の開催を前提に権限の拡大も選択肢」と発言されているので、正直、心配しています。立憲主義の基本は、まず憲法に「書いてあること」を書いてあるとおり尊重することだと考える。そして、立憲主義を徹底するためには、事前に緊急事態における例外的対応を憲法に明定しておくべきだ。もし、緊急集会に、階議員が主張するような拡張された機能を持たせるのであれば、憲法を改正してその要件と効果を憲法に書くべきではないでしょうか。

 私たち国会議員は「立法者」です。例え「蓋然性」が低くても、可能性がある限り国民の生命や権利を守るためのあるべき法制度を構築する責任を負っているはずです。危機に備えるかどうかを決めるのは学者ではありません。それは国民の生命や権利を守る責任を背負った私たち国会議員です。私たちが答えを出していかなくてはならないのです。緊急事態における対応についても、いや、緊急事態における対応こそ、権力の濫用につながりやすい「解釈」に安易に委ねるのではなく、憲法改正によって緊急事態における権力統制のルールを明文化し、立憲主義を守るべきであることを主張して発言を終わります。

以上

<参考>国民民主党「憲法改正に向けた論点整理」(2020年12月)