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ニュースリリース

【衆本会議】斎藤アレックス議員が防衛財源確保法案に反対の立場で討論

 斎藤アレックス議員(衆議院議員/滋賀1区)は23日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で議題となった「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案」(防衛財源確保法案)に対する反対討論を行った。討論の全文は以下のとおり。

 国民民主党・無所属クラブの斎藤アレックスです。
 私は、会派を代表して、「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案」に対し、反対の立場から討論を行います。

 ロシアによるウクライナ侵攻や緊迫する台湾情勢、度重なる北朝鮮のミサイル発射など我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、我が会派としても、「自分の国は自分で守る」という基本理念に基づいて安全保障政策を取りまとめ、昨年末の安保3文書の改定に先立ち政府に提言を行うなど、防衛力を抜本的に強化し、防衛費を増額することは必要であるという認識に立っています。
 しかし、今後5年間に必要とされる43兆円という数字の根拠や、防衛費を確保するための財源についての政府の説明は不十分であり、財源を確保するためとして提出された本法案についても賛成はできません。以下、反対の理由を申し述べます。

 まず、本法案は、「防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源」を確保するための法律案と称するにもかかわらず、その内容は税外収入の確保に限られています。そして、本法案で確保する税外収入1兆4,750億円のうち、大宗を占めるのが外為特会の令和5年度剰余金を前倒しで繰り入れる1兆2,004億円ですが、これは本法案による措置がなかったとしても、来年度の予算審議を経て一般財源に繰り入れを行うことが可能であり、今国会で議論する必要は全くありません。
 他方、政府は、防衛力の抜本的な強化を行うための財源の一部として、税制措置を段階的に実施し、令和9年度には法人税、所得税及びたばこ税で1兆円強を確保する旨を閣議決定しています。しかし、本法案において税制措置に関する事項への言及は一切ありません。なぜ税制措置は閣議決定で足り、逆に外為特会の令和5年度剰余金の繰り入れについてわざわざ今国会で立法措置が必要なのか、委員会の答弁において、鈴木大臣は「政治判断」と繰り返すばかりで、何ら説得的な説明はなされませんでした。
 そもそも、防衛力強化のため税制措置、いわゆる防衛増税の議論は、物価上昇を超える一定の賃上げを複数年度連続で達成するなどして、コロナ禍の経済的なダメージと失われた30年とよばれる経済の長期低迷からの脱却を実現してから行うべきです。現在の政権与党は、過去30年間に亘る経済財政運営の失敗のつけを増税という形で国民に払わせようとしながら、その失敗に正面から向き合うことは相変わらずせず、それどころかある自民党幹部がテレビでこれまでの政権与党の経済財政運営の評価を聞かれて「選挙に勝っているから成功している」という趣旨の発言をするなど、今の政権与党はデータやファクトに基づかない非科学的な経済政策の評価・運営を行っているのではないかと疑わざるを得ません。賃上げと経済回復の機運を削ぐ結果を招く危険性が高いその国家経営の姿勢には深刻な問題があります。
 また、政府は、決算剰余金のうち、毎年0.7兆円を防衛財源に充てるとしていますが、これまで補正予算の財源の一部として活用されてきた決算剰余金を防衛費に使えば、その分だけ補正予算編成時の国債発行が増加することとなり、防衛費の財源に赤字国債は充てないとする政府の説明には疑義が生じます。特に、新型コロナの感染拡大以降、主に赤字国債を財源として巨額の予備費が計上されてきた中で、余った予備費が決算剰余金に回り、それを防衛費の増額に流用するということになれば、もはやそれはある種のマネーロンダリングに他なりません。

 このように、本法案の内容は極めて不完全なものと言わざるを得ません。政府は、防衛費を賄うための財源として、税外収入、歳出改革、決算剰余金、税制措置の4つを示している以上、それら全てを明確に具体化した法案を予算関連法案として再提出し、来年の通常国会で十分な時間を掛けて審議すべきです。

 さいごに、政府は、防衛力強化について、昨年末の安保3文書の改定までは「検討中なので答弁できない」として国会での議論をなおざりにしておきながら、いったん閣議決定を行った後には、国会の場で中身の詳細を質そうとすると、「手の内をさらすことになるので答弁できない」という不誠実な答弁に終始してきました。本法案についても、聞かれたことに答えず関係ないことを延々と答弁するという逃げの姿勢が繰り返されました。これらは、国民の代表たる国会を、ひいては主権者たる国民を軽視するものに他なりません。

 政府におかれては、国会の場において、しっかりと税、社会保障、そして国債発行を含め、真正面から堂々と財源の議論をして頂くことを強く求めて、本法案に対する反対討論といたします。

以上