国民民主党 つくろう、新しい答え。

ニュースリリース

【参本会議】大塚政調会長が防衛財源確保法案に対する質疑

 大塚耕平政務調査会長(参議院議員/愛知県)は24日、参議院本会議で「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案」に対して質疑を行った。質疑の全文は以下の通り。

本会議質問
我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の
確保に関する特別措置法案

令和5年5月24日
国民民主党・新録風会 大塚耕平

 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。会派を代表して、ただいま議題となりました我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案について、総理並びに財務大臣に質問します。
 今回の法案の検討は、昨年8月10日の記者会見において総理が「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と述べたことから始まりました。「抜本的に強化する」とは具体的にどのような装備品、どのような内容を指しているのか、伺います。
 その内容は、その時点においては整備されていなかったわけですから、どのような理由でそのような状態が放置されており、そのことが日本にとってどのような問題と危険をもたらしているのか、総理に伺います。
 記者会見では「新たな防衛三文書の策定と予算について議論を進める」とも発言され、11月22日、有識者会議が報告書を取りまとめました。
 同報告書は防衛力強化のための財源について、「 将来にわたって継続して安定して取り組む必要がある」「安定した財源の確保が基本である」「今を生きる世代全体で分かち合っていくべきである」「非社会保障関係費を対象とした歳出改革による財源の捻出を優先的に検討し、独立行政法人の積立金の早期返納などの工夫も必要としたうえで、足らざる部分は国民全体の負担を視野に入れなければならない。国債発行を前提としてはならない。負担が偏り過ぎないよう幅広い税目による負担が必要なことを明確にし、理解を得る努力を行うべき」などと記し、まるで財務大臣答弁のような内容でした。
 有識者会議が「財源論」にまで踏み込んだことには違和感を覚えます。財源の議論を行うことは立法府の権能です。「代表なくして課税なし」との米国独立戦争時のスローガンが象徴するように、財源論は当初から立法府で議論すべきであったと考えます。
 有識者会議はあくまで「防衛力のあり方」を問われたものであり「財源論」ではないと受け止めていました。 野党に対してのみならず、与党に対しても結論ありきの展開であった印象を拭えません。財源論についての広範な国民的合意、与野党間合意があってこそ一致結束して防衛力強化に臨めるものであります。
 そこで総理に伺います。今回の進め方が適切であったか否か、報告書公表以降の与党内の意見のうち政府案に反映されたことは何か、有識者会議を設置するにあたり総理としてどのような指示を出したのか、以上3点について伺います。
 次に、法案の具体的内容について伺います。
 第1条3項において、在日米軍の駐留に関連する経費を対象にしています。日米安保条約の下、在日米軍に必要かつ合理的な資金協力を行うことを否定するものではありませんが、FMS問題を含め、長年に亘り米国に過度に依存してきたことが今日の日本の安全保障上の問題を深刻化させています。
 本法案は「我が国の防衛力の抜本的な強化」を定めるものであり、わが国の技術力、産業力、ひいては自衛力を高めるためには、在日米軍対応は切り離して考えるべきではなかったか、総理の認識を伺います。
 第2条及び第3条は、特別会計資金を「一般会計に繰り入れることができる」としています。 一方、第4条及び第5条では独法積立金の一部を「国庫納付しなければならない」との義務規定にしています。特別会計資金と独法積立金の扱いに違いを設けた理由について財務大臣に伺います。
 独法等の余剰資金を吸い上げる財務省の意図が感じられますが、なぜ当該2独法だけ先行させ、他の独法や基金は対象にしなかったのか、その理由を財務大臣に伺います。
 第10条では、防衛力強化資金に属する現金を財政融資資金に預託することができるとしています。これでは特別会計や独法積立金から集めた資金を他分野の投融資に流用できることになりますが、そういう認識でいいのか、財務大臣に伺います。
 また、あえて「防衛力強化資金に属する現金」としていますが、現金以外に防衛力強化資金に属するものは何か、財務大臣に伺います。
 付則第3条では財務省設置法改正を定め、財務省に防衛力強化資金を管理する権能を与えています。附則第3条と本則第10条を絡めると、財務省が防衛力強化資金を自由に流用できることになりますが、このような仕組みにした理由を財務大臣に伺います。
 第12条で、防衛力強化資金の受払いを歳入歳出外と定めています。 歳入歳出外にするということは、管理事務を所管する財務省がいつでも容易に使用できることを意味しますが、このような仕組みにした理由を財務大臣に伺います。
 第14条2項において、防衛力整備計画対象経費や防衛力強化資金に繰り入れることを義務づけている「国有財産の処分による収入その他の租税収入以外の収入であって国会の議決を経た範囲に属するもの」とは何でしょうか、財務大臣に伺います。
 防衛力強化資金に組み入れる決算剰余金は前年度予算で不用とされたもの等から構成されます。予備費を含む予算を意図的に過大に編成して決算剰余金を膨らませることが可能です。こうした指摘に対し、どのような運営をすることで懸念を払拭するおつもりか、総理の方針を伺います。
 総理は、令和9年度以降、防衛力を安定的に維持するために必要な追加財源は毎年度約4兆円と述べています。これは、令和8年度予算対比の話ですか、あるいは毎年4兆円増額するということでしょうか。「防衛力を安定的に維持するために必要」の意味ともに、追加財源毎年度約4兆円の定義について、総理に伺います。
 総理は防衛力整備計画の規模を43兆円程度と述べていますが、同計画には「各年度における後年度負担についても適切に管理すること」と記されています。43兆円程度は後年度負担額も含む額なのか否か、仮に含まないとすれば5年間に契約される後年度負担額をいくらと想定しているのか、総理に伺います。
 防衛力強化は必要なものの、増税でその財源を確保することは、現下の景気、及び財政金融状況を鑑みると適切ではありません。現下における可能な工夫として、国民民主党は「日銀保有国債の一部永久国債化」というオペレーションを提案しています。
 日銀が500兆円以上の国債をバランスシートに抱え込んでいる異常な状況が目の前にあります。植田総裁の5年間で正常化することは無理です。期せずして植田総裁の任期5年間は防衛力の抜本的強化を目指す5年間と一致します。
 国債市場は流通量不足に直面しています。日銀が保有する500兆円の国債を日銀に償還するために国民に増税する構図は論理的ではありません。
 日銀保有国債を一部永久国債化すれば、政府の元本返済負担は軽減され、国債発行余力は増します。それを市場で発行することで、 財源調達 及び流通量不足を補えます。
 推奨しているわけではありません。他に合理的かつ相対的に有意な手段がないからこそ提案しています。
 調達した財源をもとに、人材育成、及び技術力・産業力・防衛力を整備することに本気になってきたことが内外に認識できるオペレーションを行えば、市場にはマイナスではなく、ポジティブに受け止められるでしょう。
 日本が防衛強化と経済再生に本気だという印象を与えること、及びそれを実践すること、それが現下の総理の使命だと考えます。
 ただ今申し上げました内容に関する総理の認識と決意とともに、最後にNATOが日本事務所を設置しようとしている件の事実関係、及び日本はNATOに加盟または準加盟する計画があるのかを総理にお伺して、質問といたします。
 ご静聴、ありがとうございました。