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ニュースリリース

【衆本会議】前原代表代行が防衛三文書について質疑

 前原誠司代表代行(衆議員議員/京都2区)は4日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で防衛三文書に対する質問を行った。質問の全文は以下のとおり。

 

 国民民主党の前原誠司です。会派を代表して、防衛 3 文書について質問します。

 1939 年 8 月 23 日、ナチス・ドイツが突如、ソ連と独ソ不可侵条約を締結し、その 5 日後、平沼騏一郎内閣は、「今回、帰結せられた独ソ不可侵条約により、欧州の天地は複雑怪奇なる新情勢を生じた」と、総辞職します。戦っていた国同士が突如、不可侵条約を結ぶことは確かに驚きでしょう。しかし、「複雑怪奇」と総辞職をする事象でしょうか。【問 1】そもそも全ての国家は国益を追求しているのであり、自らの国益にかなうと判断すれば、他国から見れば「複雑怪奇」な決断は当然あり得ます。国家の安全保障を担う我々国会議員は、全てを「想定内」と受け止め、安全保障政策を立案し、遂行する責務があると思いますが、総理の見解を求めます。

 戦後長期政権を担った自民党政治の問題の一つは、同盟国・アメリカへの依存を強めることが現実的な防衛政策だと決めつけ、「自らの国は自ら守る」意志と体制を、十分にとってこなかったことにあります。【問 2】確かに現状では、日米関係を維持・強化するしか現実的な選択肢はありません。しかしアメリカは、日本が他国に主権を侵害されれば、100%、日米安保条約に基づき行動を起こしてくれるのでしょうか。アメリカは民主主義国家です。時の大統領の人気が高いか。上院、下院はどのような勢力構成か。アメリカの世論が日本に対して同情的か。同盟関係に絶対はないと私は考えますが、総理の考えをお示しください。【問 3】この防衛 3 文書は、日米同盟関係の維持・強化とともに、「自分の国を自分で守る」能力を高めることになるのか、ご答弁ください。

 その上で、私には奇妙な議論が国会で行われていることを、指摘せざるを得ません。【問 4】1956 年 2 月に出された、「弾道弾などによる攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置を取ること、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛な範囲に含まれ、可能である」という政府見解に対し、「日米安保条約に基づくアメリカの打撃力という他に手段がありながら、反撃能力を持つことは違憲だ」という主張です。まさに本末転倒。自国ではなくアメリカに頼れというのですか。「米国の打撃力には期待するが、100%行使されるかは分からない。従って自ら反撃能力を持つことは憲法の趣旨に合致する」と明確に言い切るべきです。答弁を求めます。

 鳴り物入りの反撃能力として、トマホークを 400 発購入し、8 隻のイージス艦に搭載するとされています。しかし、アメリカの支援なしでは日本の独自運用は不可能です。これでは、日本が打撃力を持っても、結局アメリカ頼みで、基本的に今までと何ら変わりがありません。【問 5】将来的には単独対処が出来る体制を整えるべきと考えますが、如何ですか。

 中国や北朝鮮が、変速軌道や極超音速など新たなミサイルを開発しています。ミサイル防衛網をさらにレベルアップし、新たな脅威にも対応できるようにしなければなりません。その意味で、イージス・アショアには期待をしていました。多人数で運用するイージス艦には負担が重すぎる。地上配備であれば、より少人数での対応が可能となります。しかし、ブースターを演習地内や海上に落とすことが出来ないと突如、イージス・アショアを断念。新たな選択肢はイージスシステム搭載艦 2 隻となりました。これでは、議論が振出しに戻っただけではありませんか。リクルートワークス研究所は、2040 年に日本では、1100 万人の労働力が不足すると推計しています。今でも自衛官の確保に四苦八苦しているのが現状です。【問 6】人員をより少なく運用できるイージス・アショアをもう一度、探究すべきではありませんか?

 【問 7】岸前防衛大臣は、「範囲内に落とすための改修コスト、期間を考えるととても合理的なものではない」と答弁していますが、では、改修コストと期間が具体的にどれだけかかるのか、そして、何を持って合理的でないと断言するのか、明確な答弁を求めます。

 アクティブ・サイバー・ディフェンス(ACD)の導入は、必要不可欠です。国家安全保障戦略では「武力攻撃に至らないものの、国、重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃の恐れがある場合、これを未然に排除する」とされています。他方、憲法 21 条には「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」と書かれています。【問 8】ACD が、憲法 21 条に違反しない論拠を示して下さい。

 【問 9】サイバー攻撃について、可能な限り未然に攻撃者のサーバ等への侵入・無害化ができるように、政府に対し必要な権限が付与されるようにするとも書かれていますが、専守防衛との整合性について、明確な答弁を求めます。【問 10】ACD の法制化について、一刻も早い成立が必要だと考えますが、タイムスケジュールを示していただきたい。また、【問 11】電気通信事業法、不正アクセス禁止法、通信傍受法など、具体的に改正が必要となる既存法の列挙を求めます。

 今日は財源には触れませんでしたが、政策の実現には具体的な財源が必要不可欠です。防衛力強化が絵に描いた餅にならないよう、責任ある対応を政府に求めて、私の質問を終わります。