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ニュースリリース

【衆本会議】田中けん議員が令和6年度予算案について反対討論

 田中けん政調副会長(衆議院議員/静岡4区)は2日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で議題となった令和6年度予算案に対する反対討論を行った。討論の全文は以下のとおり。

令和6年度予算案に対する反対討論

 国民民主党の田中健です。私は会派を代表して、ただいま議題となりました令和6年度総予算案他二案に反対の立場から討論を行います。

 昨日で能登半島地震の発災から2ヶ月。改めて、失われた尊い命に心からのお悔やみと、被災された皆様にお見舞い申し上げます。
 復旧復興に向けて日々取り組んで頂いている全ての皆様に感謝と敬意を表するところですが、政府の今般の地震における被災者への新たな交付金制度は被災地域・被災者の年齢によって分断を生むものであり、極めて不十分です。立憲民主党・日本維新の会と共同で法案を提出しておりますが、被災者生活再建支援金を拡充し最高額を300万円から600万円に倍増するとともに、支援金の国庫補助率の引き上げ、適用地域の拡大を強く求めます。

 さて、我が国は「長期にわたり停滞する経済」「止まらない少子化傾向」という深刻な問題に直面しています。総理は今国会冒頭の所信表明演説で「『経済の再生』が岸田政権の最大の使命」「経済、とりわけ、賃上げが今まさに喫緊の課題」であると述べられました。この春は、賃金も経済も安定的に上昇する経済社会に向けてステージ転換をはかる正念場です。連合が目標とする「ベアで3%以上、定期昇給とあわせて5%以上」の賃上げ実現のためには、政治と経済界、労働組合が昨年以上に力を合わせなくてはなりません。政治の果たす役割として、最優先課題である「物価上昇を上回る賃金上昇」を実現するための予算編成は急務であります。

 しかし、岸田政権が編成した令和6年度総予算案には、個人負担を増やすなど、賃上げの効果に水を差すものが含まれており、日本の根本的な問題への解決策が欠落しています。これまでと同様、課題解決を先送りするどころか、さらに事態を悪化しかねない点で問題です。

 まず、国民の暮らし・事業経営を圧迫しているガソリン価格や電気代の具体的な高騰対策が盛り込まれていません。特に現在の燃料油価格激変緩和補助金は会計検査院からも問題が指摘されており、本年5月以降の出口戦略として再三再四にわたりトリガー条項凍結解除を提案したにもかかわらず、総理が決断できなかったことは極めて残念です。賃上げの阻害要因を取り除くべく、一日も早く具体的な時期や内容を示し、明確な施策を打つべきです。

 続いて、こども・子育て支援金制度です。こども・子育て政策の強化自体については我々も大いに賛同しますが、政府の検討している内容では、そもそも医療保険の目的外使用であるという問題があるとともに、税金を保険料に付け替え、個人負担を実質的に増やすステルス増税となりうる可能性もあります。これ以上の現役世代の社会保険料負担の増加は、制度の目的に逆行し、むしろ少子化をさらに加速化させかねません。

 また、所得税の定額減税についても本制度では令和6年分の所得税額から一人あたり3万円を控除することとしていますが、本施策の目的が「物価高騰対策」なのか「デフレ脱却」なのか判然とせず、3万円という金額の根拠も、本施策による具体的な効果も不明確です。さらに、給与所得者や事業所得等がある者、事業主のそれぞれに対する減税のタイミングがバラバラで、令和6年度末の確定申告まで減税効果を受けられない場合があることは大きな問題です。

 さて、われわれ国民民主党は「対決よりも解決」の理念のもと常に対案を示してきました。
 限られた時間ですが、以下、具体案を申し述べますので、是非とも参考にして頂き、政府の施策に取り入れて頂きたいと思います。

 まず、「給料があがる経済」を実現させるためにも、あらゆる税制改革が必須です。
 先ほどもふれた通り、ガソリン価格高騰対策としてトリガー条項凍結解除によるガソリン減税や「暫定税率」・「二重課税」の見直しを行うべきです。あわせて、広く国民生活を支える対策として時限的な消費税減税、電気料金値上げに対して再エネ賦課金徴収停止といった所要の措置も講じるべきです。

 また急ピッチな物価上昇を賃金上昇率が上回るまでは、ブラケットクリープ対策としての基礎控除を引き上げる所得税減税が必須ですし、法人税減税として、投資額以上の償却を認める「ハイパー償却税制」の導入や少額減価償却資産特例の上限額の引上げを行うべきです。
 所得税減税については、給付付税額控除制度としたほうが公平性と即効性、簡便性を両立できると考えます。

 子ども・子育て政策としては、「人づくりこそ国づくり」との考え方から、こども・子育て支援における公的給付の所得制限の撤廃や、財政法を改正して、教育や人づくりに関する支出を公債発行対象経費とする「教育国債」を創設、さらに教育科学技術予算の倍増や年少扶養控除の復活などを速やかに行うべきです。

 また、「自分の国は自分で守る」という観点も欠かすことができません。農林水産業関連の物価高騰対策、それに伴う適正な価格転嫁支援や、食料安全保障基礎支払いといった所得補償を行うなど、農林水産業への多角的な支援を行うべきです。
 コロナ禍で顕著になった医薬品供給問題については、薬価制度の見直しなど安定供給の実効性を確保し、イノベーションの促進やセルフメディケーションの推進に向けた施策を打つべきです。

 最後に、歳出・歳入の見直しが必要です。GDP成長率を踏まえると、税収は政府想定よりも上振れが想定されます。今年度税収見積もりについて、増額修正を行い、歳入を見直すべきです。また、政府は長期金利の指標となる10年物国債の想定金利を令和6年度予算では1.9%としていますが、令和6年度の政府の長期金利見通しが0.8%であることから、想定金利を昨年同水準の1.1%に据え置くことで、利払費を縮減します。

 これらを盛り込んだ予算組み替え動議は予算委員会で否決されてしまいましたが、国民民主党は一つずつでも国民生活を支える政策を実現できるよう、引き続き真摯な議論を他党に働きかけてまいります。
 困難な問題に真正面から取り組み、「対決よりも解決」の姿勢で、日本を再生する仕事に全力で取り組むことをお約束して、会派を代表しての討論といたします。ご清聴ありがとうございました。