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ニュースリリース

【衆本会議】玉木代表が「岸田内閣総理大臣によるG7首脳会議出席の報告」について質疑

 玉木雄一郎代表(衆議院議員/香川2区)は31日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で議題となった「岸田内閣総理大臣によるG7首脳会議出席の報告」に対し質疑を行った。質疑の全文は以下のとおり。

岸田内閣総理大臣によるG7首脳会議出席の報告に対する代表質問

令和4年3月31日
玉木雄一郎(国民民主党・無所属クラブ)

 国民民主党代表の玉木雄一郎です。

 今回のG7首脳会合の成果について、私は一定の評価をしています。特に、インド、カンボジアを訪問し、モディ首相、フン・セン首相と首脳会談をしてからG7首脳会合に臨んだことは、アジアのリーダーとしての日本の役割を果たしたと言えます。

【経済制裁の効果】

 ロシアが進めようとしている「力による一方的な現状変更の試み」を許さないためには、国際社会、とりわけG7が連携して対応することが重要です。その意味で、G7とも連携し、国際決済網であるSWIFTからロシアを除外したことは評価します。ただし、その後この経済制裁はどの程度効果を発揮しているのでしょうか。暗号資産による決済がかなり拡大しているともいわれ、ロシアが持ちこたえているようにも見えます。経済制裁の効果について、総理の現状認識を伺います。

【サハリン2撤退の是非】

 極東での石油・ガス開発事業「サハリン2」から、イギリス・オランダ系石油大手のシェルが撤退を発表しました。日本が撤退すれば、スポット市場での調達により債務超過に陥るガス会社も出るとの観測もありますが、日本は「サハリン2」からは撤退しない方針なのでしょうか。事業を継続することはG7の経済制裁の結束を乱すことになりませんか。

【ロシア外交の総括が必要】

 岸田総理、これまでの対ロシア外交をどのように総括しますか。先週21日、ロシアは2016年に当時の安倍首相が合意した、北方四島での共同経済活動からの撤退を表明しています。国民民主党は以前から求めていますが、国際的にも誤ったメッセージを与えかねない「ロシア経済分野協力担当大臣」を廃止すべきではありませんか。

【防衛費の対GDP比】

 先週、フォン・ゲッツェ駐日ドイツ大使からお話を伺う機会がありました。ドイツでは、ロシアのウクライナ侵略を受け、ショルツ首相が対GDP比で1%程度だった国防費を2%以上に増額する方針を表明しましたが、これはこれまで慎重だった中道左派のドイツ社会民主党や環境政党である緑の党が主導して実現したもので、国民の幅広い賛同もあるとのことでした。今こそ、イデオロギーではなく、厳しい安全保障環境の変化に現実的に対応する政治姿勢が日本でも必要です。日本においても防衛費を対GDP比2%程度に増額すべきとの議論もありますが、総理の見解を伺います。

【北朝鮮ミサイルへの追加制裁】

 今月24日に北朝鮮が発射したミサイルは、これまでで最も長く飛翔し、最も高く上がり、最も日本の近くに着弾したミサイルです。ウクライナをめぐり、国連安保理が機能不全に陥る中でのミサイル発射で断じて許されません。総理、日本は国際社会とともに、最大限の追加制裁を行うべきではありませんか。

【原発の自衛隊警護】

 原発への攻撃は国際法に違反しますが、ウクライナ侵略では戦争で原発が実際に標的になりました。昨日、全国知事会も緊急要請を行いましたが、ミサイル攻撃やテロに備えて、自衛隊による原発警護を検討するとともに、地対空誘導弾PAC3の配備などによるミサイル防衛を強化すべきではないですか。

【非核三原則「持ち込ませず」を議論すべき】

 国民民主党は、核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」の非核三原則は維持すべきとの立場です。ただ有事の際の核搭載艦船の寄港など「持ち込ませず」の意味や範囲については、2010年以降、政府は時の政権が判断すると答弁してきました。しかし、有事になって時の政権が場当たり的に判断するのではなく、平時から議論を深めておくべき課題です。1991年の冷戦終結以降、核搭載艦船が寄港する運用はなくなっているとされていますが、非核三原則のうち「持ち込ませず」について、今後生じうるあらゆる事態を想定した認識の共有が、国内においても、米国との間においても必要だと考えます。総理の見解を伺います。

 ウクライナ侵略による経済への影響について伺います。

【スタグフレーションの認識】

 いま、日本は戦後最悪のスタグフレーション、不景気下での物価上昇に陥る可能性があります。岸田総理は日本経済がスタグフレーションに陥っているとの認識はありますか。

【「指し値オペ」による板挟み】

 景気悪化を防ぐため「指し値オペ」で金利上昇を抑制すれば、内外金利差から円安となり物価、特に輸入物価の上昇を招きます。金利上昇抑制と物価上昇抑制の板挟みにならざるを得ませんが、岸田内閣としてどちらを重視しますか。また、為替介入は考えていますか。

【デフレギャップと金融緩和政策】

 現在、潜在成長率と実態との差である「デフレギャップ」がどの程度存在していると総理は認識していますか。コロナ禍からの回復が遅れ、いまだに20兆円規模のデフレギャップが存在しているなら、金融緩和政策を変更すべきではないと考えますが、総理の見解を伺います。賃金が十分に上がらない中での物価上昇は可処分所得を減少させます。金融緩和を続けるなら、消費税減税やトリガー条項発動によるガソリン減税など「家計減税」を追加経済対策の柱とすべきと考えますが、総理の見解を伺います。

【コロナ版金融円滑化法】

 コロナ融資の返済期限が迫っている事業者も多く、中小企業向けの資金繰り対策が重要です。国民民主党が先週23日に国会に提出した「コロナ版金融円滑化法」を早期に成立させ、支払い猶予や支払い条件の変更を柔軟に行うことが必要ではないですか。

【原発再稼働の加速】

 エネルギーの安定供給とともにエネルギー価格の高騰を抑えるためには、法令に基づく安全基準を満たした原子力発電所は再稼働すべきです。また、原発の審査について長期化する傾向があることから、審査体制の強化や、審査プロセスの効率化・合理化が必要ではありませんか。

【経済安全保障からみた原発】

 日本の原発の「国産化率」は現時点では90%を超えていますが、要素技術を持つ企業の原子力事業からの撤退が相次いでいます。アメリカ、イギリスでは原発の新設停止により技術、人材が弱体化し、国内の原子力産業のサプライチェーンを喪失しました。一方、現在世界で建設中の原発の60%が中国製またはロシア製になっています。今のままでは早晩、原発も中国やロシアに頼らざるを得なくなります。経済安全保障の観点からも原発の再稼働が必要ではないでしょうか。総理の見解を伺います。

 

 最後に、先のオンライン国会演説で、ゼレンスキー大統領は「飛行機で15時間もかかるが、お互いの自由を感じる気持ちに差はない」と述べ、我が国と価値観を共有していることを強調しました。一方で、ウクライナに降伏を求めるような意見があります。しかし、日本国憲法前文には「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたい」と謳われています。私たち国民民主党は、まさに「隷従の平和」ではなく、ウクライナの皆さんと共に、自由や独立、人権という価値を守り抜く姿勢を貫くことこそ、日本の歩むべき道だと信じます。ご清聴ありがとうございました。