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ニュースリリース

【参本会議】大塚代表代行が「所得税法等の一部を改正する法律案」について質疑

大塚耕平代表代行(参議院議員/愛知県)は4日、国民民主党を代表し、参議院本会議で議題となった「所得税法等の一部を改正する法律案」への質疑を行った。全文は以下のとおり。

所得税法等の一部を改正する法律案についての本会議質問

令和4年3月4日
国民民主党・新緑風会 大塚耕平

 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。会派を代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。

 冒頭、コロナ対策にご尽力いただいている全ての皆様に敬意を表しますとともに、ロシアの軍事侵攻に晒されているウクライナ国民に連帯の意を表します。

 本題の質問に先立ち、ロシアに対する経済制裁に関して伺います。SWIFTからのロシア排除の検討が進んでいますが、中国のCIPS経由で決済することも可能です。SWIFT及びCIPS経由の決済の実情、SWIFTとCIPSの構造的な違い、とりわけ資金決済が実際にできるCIPSと電文情報授受のみのSWIFTとの構造的な違い、ならびに日本の金融機関の参加行数等について、総理に伺います。

 各国がロシアからの資源輸入を止められず、決済にCIPSを利用すると、結果的に中国の影響力、及び人民元の決済通貨に占める比率を高めることになります。こうした展開に関する総理の認識を伺うとともに、当面のCIPS利用に関して日本の金融機関にどのような指導、要請を行うのか、金融担当大臣に伺います。

 また、仮想通貨決済におけるロシアのウェイトは高く、仮想通貨決済が経済制裁の抜け穴となる可能性があります。ロシア及び世界の貿易における仮想通貨決済の実情とともに、ロシア独自のSWIFT代替インフラであるSPFSの実情等を、金融担当大臣に伺います。

 昨年の総選挙で「給料が上がる経済」の実現を掲げた国民民主党としては、総理が日本の賃金が上がっていないことを認め、日本経済の深刻な構造問題であるという認識を共有したこと、及び賃上げ税制を盛り込んだことは評価したいと思います。しかし、その効果は未知数です。2月9日の衆議院財務金融委員会において、2013年(平成25年)に創設された賃上げ税制の利用件数、減税額は過去8年間で延べ76万件、減税額2兆円との政府答弁がありました。しかし、昨年9月公表の財務省法人企業統計によれば、付加価値に占める人件費はコロナ前の2018年(平成30年)の209兆円から2020年(令和2年)には195兆円と14兆円も減少しています。コロナ禍の影響とは言え、人件費は8年前とほぼ同水準に戻っています。

 これまでの賃上げ税制に対する評価をどのように考え、不十分な点があったとすれば、それは何か、また、それを是正するために今回どのような工夫をしたのか、及び今回の税制が有効に機能すると考える根拠について、総理の認識を伺います。

 今回付加された大企業向けの「継続雇用者給与等支給額が前年度比で4%以上」の基準における「4%」という数字は評価しますが、「継続」の意味を総理に伺います。

 全体の給与水準を上げるためには、初任給や新規雇用者の雇用時給与水準を上げることも重要です。今回の税制はその点にどのように機能するのか、また、正規、非正規双方に効果があるのか否か、総理の認識を伺います。

 「給与等支給額」は「基本給」に加え「賞与」等を合算した概念と考えられます。今回の税制が「基本給」水準を上げることに寄与するか否か、総理の認識を伺います。

 一方、中小企業に関する基準は、「雇用者給与等支給額が前年度比で2.5%以上」となっています。「継続」という冠はついていません。大企業には「継続」を冠し、中小企業には「継続」を冠しなかった理由、並びに大企業は4%、中小企業は2.5%を基準とした理由を総理に伺います。

 この手法では、低賃金の非正規雇用を増やして人件費総額は増加しても、1人当たり賃金は低下したというアベノミクス下の傾向を再現することになりかねません。今回はそうなるのか、ならないのか、また、ならないようにどのような工夫をしているのか、総理の予想と所見を伺います。

 また、大企業は4%、中小企業は2.5%という基準では、大企業と中小企業の給与水準格差が益々広がり、若い人たちを中心に中小企業に就職するインセンティブが低下します。中小企業の賃上げ率基準を大企業より高くし、それでもなお中小企業の賃上げインセンティブを低下させない、あるいは賃上げ原資を確保させるような税制改革こそ、目指すべき姿ではないでしょうか。総理の認識を伺います。

 今国会に提出された「租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書」を見ると、資本金1億円以下の黒字法人数は1,035,525社で、全法人の38%です。つまり、残る62%、1,681,062社の賃上げインセンティブにはなっていません。黒字法人のうち、この租特を利用したのは98,043社、黒字法人のわずか9.4%です。資本金1億円以下の中堅、中小企業全体に占める割合は3.6%に過ぎません。なぜこれほど利用率が低いのか、総理の認識を伺います。

 さらに、今回の賃上げ税制で最も是正が必要な点は、大企業、中小企業とも、控除限度額が従来と同水準、すなわち法人税額又は所得税額の20%に据え置かれていることです。既存の賃上げ税制を利用している企業は既に上限に達している先が多く、今回の見直しではさらに賃上げを行うインセンティブにはならないケースが多いと聞き及びます。この点の実情、及び控除限度額を据え置いた理由について、総理の認識を伺います。

 赤字企業にも賃上げインセンティブを提供できるよう、国民民主党は法人事業税、固定資産税を対象にした法案を参議院に提出済です。もちろん、地方の歳入に配慮することも付加しての制度設計です。さらに消費税も対象にしています。過日、税理士の先生方と議論した際、賃上げ税制の中で一番効果的だと評価されたのは消費税減税です。それは消費税の納税義務は事業者にあり、消費税を消費者に転嫁するか否かの判断は事業者に委ねられている売上税的な性格が強いうえ、適用対象企業のカバレッジが一番広くなるからです。法人税よりも法人事業税、固定資産税、消費税の方が賃上げ税制を利用するインセンティブが高くなる、とりわけ消費税減税が一番効果的という考え方について、総理の認識とその根拠を伺います。

 次にガソリン価格高騰対策について伺います。高騰対策の現在の実施状況、トリガー条項凍結解除を含む更なる対策についての検討進捗状況を、総理に伺います。

 そもそも、ガソリン税等に上乗せされ続けている「当分の間税率」、及びガソリン税に消費税が課税されている「Tax on Tax」という不可解な仕組みを解消することが必要です。1974年から始まった「暫定措置」であったはずの上乗せ分25.1円が50年近く経った今も続いている「当面の間税率」そのものを撤廃すべきです。総理の認識を伺います。

 1リットル当たり53.8円も上乗せされているガソリン税に、さらに10%の消費税を課税する「Tax on Tax」も止めるべきです。止めれば直ちに5.38円のガソリン価格引き下げになります。総理の認識を伺います。

 速やかに「当分の間」の「暫定措置」及び「Tax on Tax」という不合理な対応を止めることが、自動車保有台数の多い地方の景気対策であるとともに、究極のガソリン価格引き下げ対策と考えますが、総理の認識を伺います。

 自動車産業が100年に1度の大変革に直面している中で、時代錯誤の自動車税制を放置するようでは、日本経済の屋台骨である自動車関連の産業及び技術が世界の潮流からますます遅れをとります。総理の認識と危機感を伺います。

 エコカー減税が終了する2023年度に自動車税制の抜本改革を行うことを提案し、総理の決意を伺うとともに、重ねてウクライナ国民に連帯の意を表し、戦争の早期終結を願って質問を終わります。

以上