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ニュースリリース

【衆本会議】岸本選対委員長が「重要土地等調査法案」について質疑

 岸本周平選挙対策委員長(衆議院議員/和歌山1区)は11日、衆議院本会議において、重要土地等調査法案について質問しました。質問内容は以下の通り。

重要土地等調査法案に関する代表質問

2021年5月11日
国民民主党 岸本周平

 国民民主党・無所属クラブの岸本周平です。本法案について会派を代表して小此木八郎大臣(領土問題担当特命大臣)へ質問いたします。

 我が国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ、いわゆる重要施設周辺や国境離島等の区域内にある土地等について、その機能を阻害する行為の用に供されることを防止することの重要性は言うまでもありません。このタイミングで政府から法案が提出されたことは評価したいと思います。

 一方で、刑事罰に担保された取引の事前の届け出や利用規制など、私権を制限する内容を含むものでありますので、通常の経済活動に悪影響を与えないようにすることが肝要です。

 まず、自衛隊の施設や米軍基地、海上保安庁の施設などの「重要施設」の周辺おおむね1000mの区域を「注視区域」とすることは、「重要施設」の存在する市町村の経済活動にどのような影響があると考えるかおうかがいします。特に、「特別注視区域」に指定された場合には、調査対象になるのみならず、事前届け出の対象になり、通常の不動産取引に悪影響を及ぼすのではないか。200㎡という面積の制限は妥当なのかお聞きします。

 重要施設として、「生活関連施設」が定義されていますが、国民保護法に基づく「生活関連等施設」とは同じなのですか、異なるのですか。原子力関係施設、自衛隊が共用する民間空港、鉄軌道施設、放送局、ダムなどのインフラ施設も対象になるのでしょうか。

 経済活動に大きな影響を与える可能性があるため、「注視区域」を指定する場合に、関係機関の長への協議や土地等利用状況審議会の意見聴取が定められていますが、さらに区域指定についての一般の意見公募や国会報告を追加し、民主的な統制を行うべきではないかうかがいます。

 また、届出事項として、契約当事者に関する情報が定められていますが、現実の土地取引の慣行等を考えると、「売り主の前の所有者に関する情報」についても対象とすべきではないでしょうか。

 そして、調査の結果、機能阻害行為の用に供し、または供する明らかなおそれがあると認められる時には、利用中止などの「勧告」、さらには正当な理由なく「勧告」に従わない時には「命令」が出されます。この命令違反には2年以下の懲役または200万円以下の罰金という刑事罰がくだされます。

 そうだとすると、この機能阻害行為に関しては、具体的な予見可能性が必要だと考えます。たとえば、航空法第73条の4第5項では、命令の対象となる「安全阻害行為等」に関して、「乗降口または非常口の扉の開閉装置を正当な理由なく操作する行為、便所において喫煙する行為、航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務を妨げる行為」などの例示が列挙されています。

 しかし、本法案の条文には阻害行為の例示すらありません。阻害行為の具体的な内容は、政府の「基本方針」に丸投げになっています。国民の権利義務に重大な影響を与える問題ですから、少なくとも法律の明文上、「施設の運営に支障をきたす構築物の設置」、あるいは「電波妨害、施設への侵入の準備行為」など具体的な機能阻害行為の例示が必要だと考えますがいかがでしょうか。

 また、国民の権利義務に重大な影響を与える「勧告」や「命令」に関しては、民主的統制の観点から、その実施状況について国会への報告を求めるよう法律で明確に定めるべきだと考えますがいかがでしょうか。

 以上につき、合理的な説明をいただけない場合には、委員会質疑を通じて、建設的な修正提案をさせていただくことを申し添え、民主的統制の観点から立法府として最低限の関与が必要であることを強く訴えて質問を終わります。