2021.02.09-国会

【衆本会議】前原代表代行が「所得税法等の一部を改正する法律案」に対して質問

 国民民主党の前原誠司代表代行(衆議院議員/京都2区)は9日、国民民主党・無所属クラブを代表し、「所得税法等の一部を改正する法律案」に対する質疑に立ちました。

 質問の全文は以下のとおり。

所得税法等の一部を改正する法律案に対する質問

国民民主党・無所属クラブ 前原 誠司

 国民民主党の前原誠司です。私は会派を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案について、賃上げ及び投資の促進に係る税制、及び中小企業における所得拡大促進税制の見直しに絞って、菅総理に質問いたします。

 日本の宿痾の一つが、上がらない賃金です。直近で日本の平均名目所得が最も高かったのは1997年ですが、この年の時間当たりの賃金を各国とも100とした場合、コロナ前の2018年の日本の名目賃金は先進国で唯一下落し、8.2%減の91.8となります。これに対しイギリスは92%、アメリカは81%も上昇しています。物価上昇率を割り引いた実質賃金で見ても日本は10%のマイナス。イギリスは41%、アメリカは25%の増加となります。

 第2次安倍政権誕生後、日本銀行が異次元の金融緩和と称する大規模な国債の引き受けを行い、株価や債券価格は大幅に上昇しました。コロナ禍に見舞われる前の7年間で、企業の経常利益は64%、内部留保は73%上昇しましたが、名目賃金は5%しか伸びず、実質賃金は4%、むしろ下がっています。

 政府が何もしてこなかった、というつもりはありません。金融緩和や財政出動に加え、春闘では政府自ら官製の賃上げ交渉を行う。最低賃金も2016年から4年連続の3%引き上げ。同一労働同一賃金も制度化されました。そして、賃上げを行った企業への税制優遇措置、これも2013年から行われています。にもかかわらず、賃金はなかなか上がりません。勿論、日本のみならず世界中が今はコロナ禍。需要が蒸発し、賃上げどころではない企業や個人経営者が多数存在しています。とにかく必要な財政出動を行い、生き残るべき企業を守り、雇用を守り、国民の生活と健康を守ることに専念すべきであることは、論を待ちません。

 【問1】その上で、菅総理に伺います。世界の中で日本だけ賃金が上がらない主な原因は何だと考えておられるか。その原因を列挙し、【問2】ポストコロナにおいて、それらを克服するための具体的対応策をそれぞれ示し、【問3】政府として、年度を区切って賃上げの目標を名目、実質ともに明確に示すべきだと考えますが、答弁を求めます。

 【問4】加えて、中小零細企業の再編によって生産性を上げることが日本の成長につながると主張されるディビッド・アトキンソン氏を、総理は政府の成長戦略会議のメンバーに選ばれていますが、アトキンソン氏の、この持論に賛同されているのかも、お答えください。

 また、ポストコロナの時代には、世界の先進国と比べても未だに低い最低賃金を、現実的に、しかし着実に上げていくべきだと私は考えます。中小零細企業を経営される方々にとって、最低賃金の引き上げは、非常に抵抗感の強いテーマであることはよく認識をしています。しかし、日本のGDPにおいて消費の占める割合は約55%。賃金が低ければ購買力が上がらず、経済成長は見込めません。それによって苦しい経営状況が続くのです。負の連鎖を断ち切らなければなりません。【問5】コロナが収まれば、最低賃金の引き上げを継続的に行うべきだと思いますが、如何でしょうか?

 さて、賃上げ及び投資の促進にかかる税制の見直しですが、現行制度と異なるのが、「継続雇用者給与等支給額:対前年同月比3%以上」という要件が無くなり、「新規雇用者給与等支給額:対前年度増加率2%以上」という新たな要件に変わったことです。「国内設備投資額:当期の減価償却費の総額の95%以上」もなくなりました。他方、「雇用者給与等支給額:対前年度を上回ること」という要件が残っていることから推察すると、【問6】コロナ禍において、「賃金よりも雇用優先した」、そして「国内設備投資要件は企業にとっては厳しすぎるために削除した」、という理解で良いのか。お答えください。

 【問7】時限措置は2年ですが、コロナが落ち着いた後は、従来の「賃金も設備投資も」という組み合わせに戻すべきだと考えますが、如何でしょうか?

 【問8】また、中小企業における所得拡大促進税制の見直しについても、コロナ対応で継続雇用の要件を外していると考えてよいのか。【問9】さらに、適用期限を2年延長するとしているが、これもポストコロナでは継続雇用要件を復活させるべきだと考えますが、答弁を求めます。

 菅総理は、イノベーションの中核に「デジタル化」「グリーン化」を置いておられます。大賛成です。ただ、「デジタル・テクノロジーの発展に伴う寡占化の進展」は労働分配率の低下、つまり賃金の低下をさらにもたらす可能性があります。しかし、労働分配率の低下はイノベーションによる宿命ではなく、例えばスウェーデンのように、「持続的な賃上げ」「円滑な労働移動」「政府による能力開発の支援」を行えば、デジタル化の進展は賃上げの大きな武器に、むしろなり得ます。【問10】労働流動性を高める必要性、【問11】そして、その前提として、政府による能力開発支援、再教育支援が不可欠だと考えますが、総理の答弁を求め、私の質問を終わります。

 ご清聴、ありがとうございました。

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