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ニュースリリース

【衆本会議】玉木代表が高市総理の所信表明演説に対する代表質問で登壇

 玉木雄一郎代表(衆議院議員/香川2区)は5日、衆議院本会議において、高市総理大臣の所信表明演説に対する代表質問を行った。全文は以下の通り。

第219回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説に対する代表質問

令和7年11月5日
玉木雄一郎(国民民主党・無所属クラブ)

 国民民主党代表の玉木雄一郎です。まず、高市内閣の発足にお祝い申し上げます。今回の質問に当たっては、高市総理に聞きたい質問をインターネットを通じて募集し、2,000件を超えるご提案やアイデアをいただきました。この場を借りてご協力いただいた皆様に感謝するとともに、その想いを背負って質問したいと思います。高市政権は「約束を守る」政権であることを期待して質問に入ります。

■物価高騰対策

(高市政権は「3党合意」を守るのか)
 まず冒頭、高市総理に、昨年12月11日に自民党、公明党、国民民主党の三党の幹事長間で結んだ公党間の約束である「3党合意」を守るつもりがあるのか、確認します。今すぐやるべき物価高対策、たった2項目です。暫定税率廃止でガソリンをリッター25.1円値下げする。103万円の「年収の壁」を178万円を目指して引き上げ、所得税の負担を軽くして手取りを増やす。高市総理にこの2つを決断していただければ、国民民主党は政治の安定に向けた環境づくりに協力する方針です。

(ガソリン暫定税率廃止)
 その意味で、国民民主党が2021年の衆院選挙から訴え続けてきた、ガソリンの暫定税率の年内廃止が決まったことは大きな前進です。高市総理のリーダーシップに、そして、片山財務大臣をはじめ政府及び与野党各党の関係者のご尽力に感謝申し上げます。ただし、見合いの財源については、物価高騰対策による負担軽減策であることを忘れず、急で安易な増税はすべきではないことは念押ししておきます。ガソリン減税についても、高市総理のおっしゃる「増税なき税収増」を目指す方針を堅持するのか、伺います。

(「103万円の壁」の更なる引き上げ)
 次に、いわゆる「103万円の壁」について伺います。所信表明演説では「いわゆる103万円の壁については、これまでの政党間の協議を踏まえ、今年の年末調整では160万円まで対応する」と述べられましたが、それは年収200万円以下の約300万人、納税者の約5%に過ぎません。そもそも、「生きるための最低限のコストには課税しない」ための基礎控除に複雑な年収制限を設けることは、税の原則のひとつである「簡素」からかけ離れたもので、基礎控除の額を一律に引き上げるべきではないでしょうか。また、所信表明では「基礎控除を物価に連動した形で更に引き上げる税制措置について、真摯に議論を進めます。」とも述べられましたが、物価だけでなく賃金にも連動させないと、働き控えはなくなりません。今年も最低賃金が上がったことを踏まえれば、178万円でも足りないくらいです。働き控えをなくすなら、基礎控除をインフレだけではなく最低賃金の上昇に連動させる必要がありますが、高市総理の考えをお聞かせください。

(電気・ガス・灯油対策と補正予算)
 総理、国民はインフレに苦しんでいます。一刻も早く物価高騰対策を打つべきです。12末までの年内に講じることができる物価高騰対策として、具体的にどのようなメニューを考えているのか、検討中のものも含め可能な限りお示しください。特に、電気代・ガス代対策は具体的にどのような水準を考えていますか。また、積雪寒冷地帯では灯油の支援も必要です。灯油についても支援対象に加えるべきではないでしょうか。また、補正予算の規模はどの程度を考えているのか、お示しください。

■経済政策と成長戦略

(責任ある積極財政と「増税なき税収増」)
 所信表明演説では、今年1月の石破前総理の施政方針演説にあった「プライマリーバランス黒字化」の文字がなくなっていました。高市政権は、財政健全化目標としての「プライマリーバランス黒字化」は撤回するのか、維持するのかをお答えください。また、「政府債務残高の対GDP比を引き下げていく」と述べられましたが、高市総理は、今後、何を財政健全化の指標とするのかを伺います。
 国民民主党は、経済が成長すれば、増税しなくても税収を増やすことは可能だと考えます。その意味で、高市総理が述べた「税率を上げずとも税収を増加させることを目指」す考えには賛成です。任期中、増税はしないという方針で間違いないか、高市総理の基本方針をお聞かせください。

(「PB黒字分」の使途)
 今年6月に石破内閣で決定した「骨太方針2025」では、「PB(プライマリーバランス)の黒字化を達成した後、黒字幅が一定水準を超えた場合には、経済成長等に資するような政策の拡充を通じて経済社会に還元することをあらかじめルール化することについても検討に着手していく。」とありますが、このPB黒字分の使いみちに関するルール化は、いつまでにどのように決めるのでしょうか。全て国債の発行抑制に充てるのではなく、減税や成長投資に回すべきではありませんか。高市内閣の成長投資に関する方針を伺います。

(国民民主党「新・三本の矢」による成長戦略)
 国民民主党は、名目GDPを約10年で1,000兆円に引き上げる成長戦略、「新・三本の矢」を参院選挙で訴え、若い世代を中心に大きな反響がありました。「手取りを増やす」「投資を増やす」「教育科学技術予算を増やす」の3本です。経済成長を実現するためには、経済学的には、①労働投入量を増やす、②資本蓄積を増やす、③生産性を向上させる、この3つを組み合わせるしかありません。簡単に言えば、人手・お金・タイパです。
 労働投入を増やすためには、まず、人手不足を解消する必要があります。そこで、国民民主党は、働き控えをなくすために「年収の壁」の引き上げを提案しました。それが第一の矢、「手取りを増やす」です。次に、第二の矢として、投資を増やすために、 投資額以上の減価償却を認め、企業が投資すればするほど得する「ハイパー償却税制」を提案しています。そして、第三の矢として、イノベーションを起こし、日本経済全体の生産性を向上させるために、教育・科学技術予算の倍増を訴えています。名目GDPが1,000兆円になれば、税収は120兆円程度になると見込まれ、財政も健全化します。高市内閣には、国民民主党の掲げる「新・三本の矢」も取り入れた新たな経済成長戦略を立てるべきだと考えますが、高市総理の考えをお聞きします。

■社会保障制度改革

(医療制度改革で医療費4兆円削減、社会保険料負担年間6万円削減は可能か)
 現役世代の社会保険料負担が限界です。国民民主党としても、公的保険の対象範囲の見直しなど、医療制度改革には賛成ですが、与党である日本維新の会が主張する「医療費4兆円、社会保険料年間6万円の削減」は、高齢化に伴う医療費の自然増がある中で、困難な目標に思われます。責任与党として実現は可能なのか、高市総理の考えを伺います。

(病院の赤字の解消と社会保険料引き下げの両立は可能か)
 現在、物価や人件費の高騰に制度が追いつかず、全国の病院経営が危機的状況に陥っています。速やかな財政支援や抜本的な診療報酬の引き上げが必要な一方、それでは社会保険料も上がってしまいます。赤字病院の経営を支援すると同時に、現役世代の社会保険料を抑制するために、高市総理はどのような具体策を考えているのか、お聞かせください。

(薬価の毎年改定見直しが急務)
 薬価制度について伺います。薬の原材料価格も高騰するインフレの中、医療費削減を毎年の薬価引き下げに依存し続けた結果、薬不足やイノベーションを阻害するなど深刻な弊害が出ています。海外では使える薬も日本では使えない「ドラッグロス」も発生しています。高市総理、薬価を毎年引き下げる中間年改定を決めた2016年末の4大臣会合をやり直すつもりはありませんか。名目GDP成長率が医療費の伸び率を上回っていることを踏まえた新たな財政フレームに移行すべきです。薬価制度の見直しこそ、新たな経済政策への転換の象徴になると考えますが、高市総理の考えをお尋ねします。

(社会保険料の「年収の壁」対策の効果と抜本改革)
 「年収の壁」には税の壁と社会保険料の壁があります。いわゆる106万円、130万円の「社会保険料の壁」については、来年3月までの時限措置が講じられています。しかし、日本経済新聞が2023年12月に年収の壁を意識しながら働いているパート職など20~40代の女性1000人に調査したところ、対策があっても就労時間を増やす人は3割にとどまるとされています。政府として、これまで講じてきた「年収の壁・支援強化パッケージ」の効果をどのように評価していますか。また、対策が終わったら再び就業調整するとの回答が65%もある中で、来年3月に時限措置が終了した後の抜本改革をどう考えているのか、併せて伺います。

(ケアマネ研修の廃止)
 国民民主党は、ケアマネージャーの更新研修の廃止を昨年の衆院選から訴えてきました。時間もお金もかかる更新研修の負担が原因でケアマネを辞める方もいて、今のままでは人材不足が深刻化します。先日、厚生労働省の審議会でも廃止の方向性が示されましたが、現行のケアマネ更新研修は一旦廃止し、オンライン研修や日々の業務の中で学べる仕組みを導入するなど制度を見直すべきだと考えますが、高市総理の見解をお聞きします。

■政治行政改革

(政治とカネ)
 公明党が連立を離脱した最大の理由が「政治とカネ」、中でも企業団体献金規制への自民党の対応への不満だと理解していますが、自民・維新の連立合意では、「政治とカネ」について具体的な合意がなく、全て先送りになっています。今日の混乱した政治状況を招いた一番の理由が「政治とカネ」であれば、せめて企業団体献金を受け取る主体を、原則党本部や都道府県連に限定する「受け手規制」を導入すべきです。これを今年3月から共に訴えてきた国民民主党と公明党で法案を提出するので、自民党にも賛成していただけませんか。
 仮に、議員定数を減らしたとしても、個々の議員が不正を行なってしまえば問題の解決にはつながりません。企業団体献金の禁止を訴えてきた日本維新の会には、自民党を説得して、「受け手規制」法案に与党として賛成していただきたい。自民党に企業団体献金の禁止を求めなくなったのなら、せめて「受け手規制」には賛成していただけませんか。日本維新の会の大臣がいらっしゃらないので、代わりに高市総理に答弁を求めます。

(議員定数削減)
 国民民主党は議員定数の削減について、自民、維新で法案をまとめて、この国会冒頭に提出するなら賛成すると申し上げましたが、いまだ法案提出の動きが見えません。連立合意書の中でも、臨時国会を「目指す」とトーンダウンし、高市総理の所信表明演説でも言及がありませんでした。高市総理、議員定数削減法案はいつ国会に提出しますか。自民党総裁として伺います。また、法案の内容は、選挙制度改革の議論と整合性の取れたものであるべきと考えますが、現在進んでいる国会における選挙制度改革議論の結論を前倒しするつもりはあるか、併せて伺います。国民民主党としても、選挙制度改革と整合性の取れた定数削減案を取りまとめる予定なので、与野党各党に協力を求めていきます。なお、与党の中からは、議員定数削減を争点に、年内にも解散総選挙との話が出ていますが、そのようなことを考えているのか、高市総理の考えをお聞かせください。

(副首都構想への対案)
 自民・維新の連立合意で「絶対条件」とされた副首都構想ですが、そもそも首都の定義がないと議論さえ始まりません。「首都」の法的定義について総理の見解を伺います。その上で、日本維新の会の骨子素案では、指定都市の廃止が副首都の要件になっていますが、二重行政を解消する方法には、指定都市の「廃止」だけでなく、指定都市を強化拡張する「特別市制度」もあります。副首都制度の検討に入る前提条件として特別市の制度化が必要であると考えており、いずれ法案を国会に提出するので賛成していただけませんか。高市総理の見解を伺います。

■中小企業の賃上げ支援

(政労使会議の実施)
 次に賃上げについて伺います。国民民主党は、名目賃金上昇率を経済政策の重要指標としており、日本をあげて賃上げに取り組む環境整備を訴えてきました。そのために重要な役割を果たしてきた政府・労働界・経済界の代表者による政労使会議や地方版政労使会議を高市政権においても続けるつもりがあるのか、方針をお聞かせください。

(中小企業の賃上げ促進)
 中小企業からは賃上げが難しいとの声をよく聞きます。特に、社会保険料の事業主負担の重さが原因の一つです。賃上げした中小企業には、法人税を減税する制度がありますが、これは法人税を課税される黒字企業しか恩恵を受けられません。賃上げした中小企業に対し、中小企業の6割以上を占める赤字法人も負担している社会保険料の事業主負担を減免することで、賃上げを促してはどうでしょうか。高市総理の見解をお尋ねします。

■教育、子育て

(「教育国債」による子育て教育、科学技術予算倍増)
 「責任ある積極財政」というのであれば、財源調達にこそ従来とは異なる新しい手法を採り入れるべきです。国民民主党は、教育・科学技術など人的資本形成に資する予算には「教育国債」という新たな国債を充てることを提案し、法案も提出しました。高市内閣では、取りやすい社会保険料で現役世代から徴収するのではなく、子育て、教育、科学技術分野など「未来への投資」には、建設国債のように使い途を限定して発行される「教育国債」を充てるべきと考えますが、高市総理の考えを伺います。教育国債の発行による未来への投資の拡充こそが、「責任ある積極財政」の象徴になると考えます。

(基礎研究振興のための大学運営費交付金の増額)
 世界的に見て、我が国の研究開発力が失速しており、強い危機感を持っています。高市総理、競争的資金に偏ったこれまでの政策を見直し、大学の運営費交付金を増額するなどして、成果がすぐに出ないような基礎研究にも研究者が腰を据えて取り組めるようにすべきではありませんか。

(奨学金の返済免除と奨学金減税)
 学生だけでなく、すでに大学等を卒業した人も多額の奨学金の返済に苦しんでいます。国民民主党は上限150万円の奨学金債務の免除を提案しています。高市総理、20代、30代の結婚を応援する観点からも、奨学金債務を一部免除してはどうでしょうか。または、住宅ローン減税のように、奨学金の債務残高に応じて所得税の控除額を引き上げる「奨学金減税」を導入すべきと考えますが、総理の見解を伺います。

(年少扶養控除の復活)
 全国を回って、子育て世代から一番要望の多いのが、16歳未満の子どもの年少扶養控除の復活です。シンプルに年少扶養控除を復活させることが効果の高い子育て支援策になると考えます。国民民主党はこの国会に年少扶養控除復活法案を提出しましたが、年少扶養控除復活に対する高市総理の見解をお示しください。

(障がい児福祉の所得制限撤廃)
 障がい児福祉のうち補装具の補助について所得制限が撤廃されたことは評価しますが、福岡市や鎌倉市は独自に通所支援や福祉サービスについて、所得制限のない低額化や無償化を決めました。総理、成人の障がい年金には所得制限はないのに、児童の障がい年金とも言える特別児童扶養手当や障がい児福祉手当に所得制限があるのはおかしいとは思いませんか。障がい児福祉の所得制限は全廃すべきだと考えますが、総理の見解を伺います。

(障がい児の「18歳の壁」)
 障がいのある子どもたちの「18歳の壁」について伺います。特別支援学校を卒業するまでは放課後デイサービスで午後6~7時まで安心して過ごせますが、卒業後に通う生活介護事業所などは多くが午後3~4時で終了してしまいます。特に医療的ケア児が夕方以降安心して過ごせる場所がなく、親が離職に追い込まれることもあります。さいたま市では「夕方支援」として居場所を提供する制度を始めていますが、特に医療的ケア児が成人後も地域で安心して暮らせるような社会資本の整備が必要です。総理の考えをお聞かせください。

■就職氷河期世代対策

(就職氷河期対策)
 就職氷河期課題への対策について伺います。総理、これまで政府が行なってきた「就職氷河期対策」の効果をどのように評価していますか。また、高市政権でも就職氷河期世代への支援を継続していく方針ですか。継続するとして、どのような支援メニューを考えているのか、高市総理の考えを伺います。

■外交、安全保障

(共同声明のない日米首脳会談)
 日米首脳会談は、まさにグッドスタートだったと思います。高市総理自身のご尽力、そして外交当局、防衛当局をはじめ関係者のご努力に敬意を表します。その上で、気になることを何点か指摘します。まず、なぜ、過去の首脳会談では出されていた日米共同声明を出さなかったのでしょうか。特に、歴代の総理大臣がアメリカ大統領と発表する共同声明には、米国の対日防衛義務を定める安保条約5条の尖閣諸島への適用が明記されていましたが、今回はこうした文書がありません。口頭ででも、適用について確認したのか伺います。また、従来、日米共同声明に盛り込まれていた台湾海峡への言及もありませんでした。こちらも、口頭などで確認したのかをお尋ねします。

(防衛費増額の前倒しと財源)
 防衛費増額について、具体的にどのような計画で進めようとしているのか、また、新たな財源が必要なのか、必要ならその財源に新たな増税を考えているのか、高市総理の考えを伺います。また、安倍元総理は「防衛国債」の発行を考えていたとされますが、高市総理の「防衛国債」発行についての考えを伺います。

(防衛装備移転運用指針の見直し)
 国民民主党は、3年前にまとめた「国民民主党の安全保障政策2022」において、防衛装備や技術移転を通じて、外交的影響力を高めるため、防衛装備移転三原則の運用指針見直しを打ち出しています。国際共同開発・生産に関する海外移転を除けば、救難、輸送、警戒、監視及び掃海の5分野に限定されている運用指針を見直し、移転対象の防衛装備を拡大する必要があると考えますが、いつまでに見直すつもりか、高市総理に伺います。

(自動車関税対策としての環境性能割廃止)
 日米関税交渉の結果、日本がアメリカに輸出する自動車・自動車部品には15%の関税が課せられ、米国内での販売が減少する可能性があることから、国内販売をサポートする必要があると考えます。そのため、自動車取得税の事実上の後継として導入された、自動車価格に最大3%上乗せされている環境性能割を廃止すべきと考えますが、高市総理の見解をお示しください。

(スパイ防止法)
 現在、国民民主党安全保障調査会の作業部会でスパイ防止法の起草作業を行なっています。我が党案は、単にインテリジェンス機関の設置や能力向上を目指すだけではなく、国民の自由と人権の尊重や、インテリジェンスの最前線で働く同胞の保護も含むバランスのとれた内容です。高市政権でも、まずは国家インテリジェンス戦略を策定し、スパイ防止に係る大原則を定めるべきではありませんか。また、現在、最前線で働いている方々やその家族を守るための安全確保策を強化すべきと考えますが、高市総理の考えを伺います。

(拉致問題)
 拉致問題の解決に向けて、高市総理が「手段を選ばない」と強い決意を示されたことを支持します。高市政権では、北朝鮮による拉致問題をどのように解決しようとしているのか、その具体的な方針を伺います。

■外国人政策

(外国人政策の司令塔機能強化)
 今年8月に鈴木前法務大臣がまとめた報告によれば、日本の総人口に占める外国人比率10%台が、想定される2070年よりも早く到達する可能性があるとされています。高市総理も同じ認識か伺います。これまで政府は、外国人を多数受け入れておきながら移民とは認めなかったため、いわゆる移民政策を実施せず、外国人の受け入れや共生に関する政策のほとんどを地方自治体に丸投げにしてきました。もし、今後も外国人を受け入れるのであれば、国として統一的な外国人政策を実行する司令塔機能を政府に設け、受け入れ上限数を設定することが必要だと考えますが、高市総理の考えをお尋ねします。

(外国人土地取得規制法)
 次に外国人による土地取得規制について伺います。私たち国民民主党は、防衛施設や国境離島などが対象となっている重要土地等調査法を見直す法案を国会に提出しています。防衛・外交安全保障分野などに限らず、経済安全保障、すなわち科学技術やインフラ、文化、水源等の各分野に係る土地取得を規制すべきと考えますが、高市総理が所信表明で述べた土地取得等のルールの在り方の検討において、対象をどこまで拡大するのか、お聞かせください。

(「空室税」創設・短期売買抑制の必要性)
 バブルの時でさえ、年収の5倍で家を買えることを目指していましたが、今都会では年収の10倍以上となっており、とても手が届きません。投機目的の不動産売買が都市における現役世代の住宅取得を難しくしています。国民民主党はカナダのような投機・空室税の創設や、バブル時代に導入していた5年以内の短期の不動産譲渡に対する課税強化を検討しています。高市総理は適正価格の住宅取得をどのように実現するつもりなのか、伺います。

(オーバーツーリズム対策と出国税の増税)
 政府は、2030年に年間約6,000万人の外国人観光客受け入れと、観光消費額を約15兆円に拡大するという目標を掲げていますが、他方で、オーバーツーリズム対策を的確に取らないと国民の生活に混乱が生じます。その財源として、国民民主党は、出国税の増税や入国税の創設、外国人旅行客に対する消費税免税措置の見直しなどを提案していますが、オーバーツーリズム対策についての高市総理の見解をお示しください。

■エネルギー政策

(原子力発電所再稼働に向けた国の役割)
 世界でデータセンター等の電力消費量が急増しています。デジタル化や経済成長の前提は、安価で安定的な電力供給であり、そのために原子力発電所の早期再稼働が欠かせません。とりわけ西日本に比べて割高となっている東日本の安価で安定した電力供給のためには、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を急ぐべきです。再稼働への技術的準備が整い、あとは新潟県の同意のみになっていますが、国として柏崎刈羽の再稼働に向けて具体的にどのような役割を果たすつもりか、総理の見解を伺います。また、再エネ賦課金が高い電気代の要因となっていますが、お手本としたドイツは2022年7月に再エネ賦課金を廃止し、原子力回帰に舵を切りました。日本も再エネ賦課金の徴収をやめて電気代を下げるべきではないですか、高市総理の見解をお尋ねします。

(レア・アース確保のための海洋開発)
 今、世界ではレア・アースの取引が注目されています。中国はレア・アースの国際取引の大半を占めていますが、中国に過度に依存することは経済安全保障上も問題です。政府は、来年1月から南鳥島沖海域においてレア・アースの試掘を始めるようですが、海底からのレア・アースの掘削は世界初の試みで、成果が期待されます。また、日本の海底に眠る「メタンハイドレート」の開発も期待されています。日本は海洋国家であり、もっと海洋開発、技術革新を進め、鉱物資源の確保とエネルギー自給率の向上を目指すべきだと考えますが、高市総理の考えを伺います。

■農政

(コメ政策の見直しと備蓄米放出)
 石破前総理は、私との党首討論で、コメの適正価格は5kg3,000円台が適当と答弁しましたが、高市総理はコメの適正価格をどの程度と考えていますか。現在の5kg4,000円台は高いと思いますか。また、鈴木農相は、今後、増産方針を見直すと述べていますが、石破前総理は不快感を示しておられます。政策がコロコロ変わる「猫の目農政」にしてはいけません。高市政権では、事実上の生産数量目標の割り当て、事実上の減反政策を継続して、国による生産量や米価のコントロールを継続するのか、伺います。その場合、米の値段が高止まりする可能性があります。備蓄米の放出はやめるとのことですが、政府として、コメの高騰対策をどのように考えているのか。お米券を配るのかなど、具体的にお示しください。

(熊被害対策)
 熊被害が深刻です。10月31日に国民民主党として官房長官に緊急要請し、特に自治体職員等による「ガバメントハンター」を含む捕獲技術者・専門職員の確保・育成の支援を求めました。秋田県の猟友会の会長さんからも話を伺いましたが、人手が足りないそうです。政府として熊駆除に当たる人材確保・育成支援を具体的にどのように考えているのか、高市総理の見解を伺います。

■憲法改正、皇室典範改正

(憲法改正)
 歴代の総理も、所信表明演説では憲法改正の意欲を示すのですが、結局できないまま今日に至っています。しかも今、発議に必要な衆参で総議員の3分の2を確保することは容易ではありません。高市総裁は、いつまでに、どのような憲法改正が必要と考えているのか、憲法改正の必要性と目指す改正の時期についての基本認識をお聞かせください。

(皇室典範改正)
 安定的な皇位継承や皇族数確保に関する与野党協議が停滞しています。2021年の政府有識者会議の報告書が出てもう4年が経ちます。女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する案と、養子縁組による男系男子の旧皇族の皇室復帰案が、有力な2案とされていますが、自民党と立憲民主党との見解の相違が埋まらないまま、今日に至っています。高市総理として、この停滞をどのように打開するつもりか、お考えを伺います。

(むすび)
 私たち国民民主党は、これからも「対決より解決」の姿勢で、未来を先取りする政策を先手先手で打ち出していきます。我が党の掲げる現役世代の手取りを増やす政策や、成長志向の経済政策については、高市内閣の掲げる政策との重なりが多いのも確かです。他方、高市政権への期待が高い分、できなかった時の失望も大きくなります。現役世、若い人たちの期待を裏切らないよう、高市総理には「決断と前進」を求めます。私たち国民民主党も、国家国民のためであるならば、「決してあきらめません。」これが、私たち国民民主党の不動の方針です。これからも、対決より解決、政策本位で、高市総理に負けず劣らず、停滞する日本経済を再び元気にする政策に全力で取り組みます。

以上