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ニュースリリース

【衆本会議】長友慎治議員が食料・農業・農村基本法改正案について質疑

 長友慎治政務調査副会長(衆議院議員/宮崎2区)は26日、衆議院本会議で議題となった食料・農業・農村基本法改正案について質疑を行った。質疑の全文は以下の通り。

「食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案」について

                              令和6年3月26日
長友慎治(国民民主党・無所属)

 国民民主党の長友慎治です。私は会派を代表し、只今議題となりました法律案について質問いたします。

 現行の基本法で「食料安全保障」は不測の場合に対処するものとされ、もっぱら危機管理対応という位置づけでした。それに対し改正案は、不測時だけでなく平時も含めて考慮すべきものと捉えており、食料の安定的な供給だけでなく、国民一人一人が入手できるという食料アクセスの確保にまで踏み込んでいます。このこと自体は評価しますが、平時から食料安全保障を確立するというなら、食料自給率を向上させることが不可欠です。今の日本の食料自給率はカロリーベースで38%ですが、これをまずは50%に引き上げ、さらに上を目指していく必要があると我が党は考えますが見解を伺います。(内閣総理大臣)

 農水省が2021年11月に実施した「食生活・ライフスタイル調査」によれば、食料自給率について「詳しい内容を知っている」と答えたのは6.2%、「おおよその内容を知っている」と答えたのは36.6%でした。翌2022年11月にも同様の調査をおこなっていますが、「詳しい内容を知っている」と答えたのは6.0%、「おおよその内容を知っている」と答えたのは34.4%。2022年2月にウクライナ戦争が始まり、食料価格が高騰しているにもかかわらず、食料自給率の認知度が下がっています。今はインフレにより食料価格が高騰していますが、食料がないわけではありません。スーパーなどにいけば食品は以前と変わらず並んでいるため、「食料安全保障」と言っても実感がわかない人が多いのかもしれません。しかし、農水省も同じスタンスでは困ります。「食生活・ライフスタイル調査」の説明文では「現在は食料の安定供給に懸念はない」と2021年、2022年も書かれていましたが、今も同じ認識なのか伺います。さらに国民1人1人に対し「食料安全保障」の考えをどのように浸透させるのか教えてください。(農林水産大臣)

 農業従事者の高齢化と急速な減少が続いています。日本の農業行政の補助金制度は、基盤整備事業やメーカーなど業者に流れるものが多く、欧州のように生産者に直接支払いされる制度は少ないです。気象災害による生産減少や被害、家畜疾病による一斉処分、飼料や肥料の高騰、海流の変化に伴う漁獲量の減少など一次産業をめぐる厳しい情勢に対して食料及び食品の原材料を供給する農畜水産業を継続する上で、生産者の生活を保障できる柔軟な所得支援制度を確立すべきと考えるが見解を伺います。(内閣総理大臣)

 農業従事者の減少は深刻です。現在の生産者は、農産物がいくらで売られるか分からずに生産しています。そのような状況で、再生産価格を下回る価格での取引が多発しています。言い換えれば、農産物を出荷すれば出荷するほど赤字です。各主力作物の再生産可能な価格を設定し、最低限、生産者の所得を維持できる仕組みの構築が急務です。食料安全保障の観点から、すべての農産物に「最低価格保証制度」を導入することはできないのか伺います。(内閣総理大臣)

 「農業・農村所得の倍増目標」というものがあります。「農業・農村の所得を10年間で倍増させる」目標のことで、自民党農林部会が2013年4月にまとめた「農業・農村所得倍増目標10カ年戦略」で提起されました。それを受けて、政府は所得倍増を農政の正式な目標に定め、2013年12月に決定した「農林水産業・地域の活力創造プラン」で「農業・農村所得を今後10年間で倍増させる」と明記しました。10年の節目を間もなく迎えますが、結果としてどうなったのか教えてください。また、現場を回っていると農村、農家が疲弊し所得が上がった実感はないという声ばかりが聞こえてきますが、その声は政府にも届いているのでしょうか? 回答を求めます。(内閣総理大臣)

 農家の皆様の所得を上げるためには、価格転嫁が必要です。「食べることで農業を支える」という消費者側の理解を促すことも欠かせません。改正案では食料の安定供給には農業者だけでなく、食品メーカーや消費者も責務を負う「食料システム」という考え方を打ち出しました。ヨーロッパで先行する考え方ですが、消費者の理解と納得を得る働きかけが鍵となります。どのように実現するのか見解を伺います。(内閣総理大臣)

 さらに日本の農業を応援するためには、まずは「買う」ことです。地元で頑張っている農家さんから農産物を買って食べることが一番です。できれば、販売所や産地直送で農家さんから直接買って、消費者と生産者が直接つながり、国民が一体となって「地産地消」を進めることが重要ですが政府としての施策を伺います。(内閣総理大臣)

 有機農産物や特別栽培農産物の生産拡大には、契約取引を前提として生産されたものが確実に販売できる仕組み作りが重要です。全国で有機農業、環境保全型農業に取り組む生産者は少しずつ増えてはいるものの、有機農産物や特別栽培農産物が流通上で一部評価されず、適正価格とは言えない値段で売られている現状が多くあります。そこから脱却するために契約販売の推進を行い、制度として支援する仕組みが必要と考えますが見解を伺います。(内閣総理大臣)

 安心・安全で環境にも優しい農産物の持続的な生産・消費の手段としては公共調達が最も有効です。有機農業生産と消費の推進に当たっては、学校給食における有機農産物の取り扱いの先進事例を踏まえて、国が積極的に推進するべきです。全国で有機農産物による学校給食が実現できるように、行政と生産者、関係団体が連携した仕組みづくりを求めます。また、子どもたちが食と農についての豊かな体験と知識に触れられるよう、学校教育における食育について基本法で補強すべきと考えるが見解を伺います。(内閣総理大臣)
 国連は2028年までを「家族農業の10年」と定め、家族農業をSDGs達成の鍵と位置付けています。EU・中国をはじめ世界の潮流は有機農業、減化学合成農薬、減化学肥料栽培に向かっています。有機農業をはじめとする環境に配慮した持続可能な農業生産の推進は、人と自然にやさしく、生物多様性の保全に貢献し長期的・社会的・総合的に経営効率が高いと考えます。環境保全・生物多様性保全など持続可能な食料・農業システムをあらゆる農政の前提として、家族農業の役割、政府の役割を明らかにすべきと考えますが、見解を伺います。(内閣総理大臣)

 私は食のつくり手を特集した情報誌と、その生産者が収穫した食べ物がセットで定期的に届く食べ物付き情報誌の「宮崎ひなた食べる通信」を地元で2019年2月に創刊し、今日まで5年間、発行を続けています。全国の消費者に農業者や漁業など一次産業の真の価値を伝え、都市部の生活者と農村部の生産者を結び、農村の価値、生産者の想いを発信してきました。それらの取材を通し、過去30年間、農業の生産性は上がった一方、農家は減り、農村が寂れてしまっていることを実感します。農村は食料を生産する場だけではありません。いくら1人の農家がもうかっても、学校が廃校になり、子どもが消えて、店もなくなり、鉄道や公共交通機関もなくなれば、地域もJAもその農家さんも厳しくなります。だからこそ農村は「一流の田舎であれ」というのが「食べる通信」を全国ではじめて創刊した高橋博之さんの言葉です。「一流の田舎」には都市部から若者をはじめ人が集まります。農村での営みにこそ価値や魅力を感じる人は確かにいます。東京一極集中から農村に人を呼び込むため「農村プロデューサー」を農水省は育成していますが、その成果と今後の取り組みをどのように加速させていくのか教えてください。(農林水産大臣)

 私たち国民民主党は、農業・農村を大切にする政党として、これからも現場目線の地域の実情に応じた農政を進め、農家の皆さんが将来展望を持てる、安心して営農継続ができる農政を進めていくことに全力で取り組むことをお誓い申し上げ、質問を終わります。

ご清聴、ありがとうございました。

以上