ニュースリリース
【衆本会議】浅野哲青年局長が内閣不信任決議案に対し反対の立場で討論
浅野哲青年局長(衆議院議員/茨城5区)は16日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で議題となった内閣不信任決議案に対する反対討論を行った。
また、内閣不信任案が否決されたことを受け、玉木代表は記者団の取材に応じ、「まだ国会が残っている。賃上げ、物価高騰対策に万全を期して国民の負託に応えるべきだ」と述べた。
浅野議員が行った討論の全文は以下のとおり。
令和5年6月16日
国民民主党・無所属クラブ
浅 野 哲
国民民主党の浅野哲です。私は、ただいま議題となりました岸田内閣不信任決議案について反対の立場から討論を行うものであります。
ただし、我々は岸田内閣を全面的に信任しているわけではありません。この反対は、近年の国会で漫然と行われてきた会期末の内閣不信任決議案提出という行為を、多くの有権者は必ずしも望んでいないという現実に沿って行動するものであります。もちろん、時の内閣に不信任に足る事由がある場合には、内閣不信任決議案をもって政権と全面対決することを否定するものではありません。しかし、国会がいま為すべきは、国民の生活不安・将来不安を払拭し、外交上の様々な懸念に対応するために万全を期することであり、現時点での内閣不信任決議案の提出には賛同しかねるものであります。
まず、昨夜のことになりますが、岸田総理は官邸内で今国会中の解散は考えていない事を明言されました。その時点で、内閣不信任決議案が提出されたとしても、まずもって成立する見込みはなく、さらに、総理に解散するつもりがないという事は、誰の目から見ても明らかでした。そのような状況でも、なお内閣不信任決議案を提出するという行為が、国家国民にとってどの様な意義があるのかを考えますと、私達にその真意を見出すことはできません。
さらに本日の午前中、私は立憲民主党会派の皆さんとともに、公務員として働く方々の労働基本権の確立に資するため、国家公務員法等の一部を改正する法律案ほか4案を共同提出してまいりました。この法案は、自律的労使関係制度をもたない国家公務員ならびに地方公務員の皆様に対して団結権や協定締結権等を付与し、労使が職員の勤務条件等について真摯に向き合い、公務員がやりがいをもって働ける環境を構築するための法案で、国民民主党としては党内審査プロセスの例外を作ってでも、公務員の皆様の職場環境改善を図るべきとの思いで、党内一致して共同提出に賛同したものであります。
しかし、そのような法案を提出した直後に、内閣不信任決議案を提出するというのは、この法案の成立にむけて議論を行う機会を自ら放棄することに等しく、今朝、共に提出をした立憲民主党会派の提出議員の皆様の心境を思うと、このタイミングでの内閣不信任決議案の提出は大変理解に苦しく、また、この法案の作成に関わり、その成立を望む公務員の皆様の心情を察すると、大変遺憾であると言わざるをえません。
そもそも、私たちが本来取り組むべきは、先ほどのように、現在の法制度の改善を望む国民の意を汲んだ取組みを進めることのほか、持続的な賃上げの実現や、目の前の物価高対策・エネルギーの安定確保、少子化対策等の重要な政策課題に対して、国民生活における安心と安全、そして安定のため、着実な前進・改善を図っていくことです。
ロシアのウクライナ侵略がもたらした世界のエネルギー危機は深刻の度を増しています。今後、LNG をはじめとした化石資源の獲得競争は激しさを増し、アジアの一部地域では資源価格の高騰から計画停電を行う国も出てきました。ヨーロッパ諸国でも一旦停止した火力発電所の緊急稼働や、原子力発電所の新設計画など大きな政策変更につながっています。我が国においても、エネルギーコストの上昇やそれに起因した物価高騰が続いており、コロナ禍を乗り越えたばかりの地域生活は大きな危機にさらされています。
その様な状況を鑑み、私達国民民主党は先日「物価高騰対策・熱中症予防のための緊急家計支援パッケージ」を策定・発表しました。現在行われている電気料金・ガソリン料金の負担軽減策の継続や水道料金の減免などを盛り込み、日々の生活現場でご苦労をされている人々のくらしを支える内容となっています。引き続き、政策本位の姿勢を貫いてまいります。
最後に、岸田政権が先日公表した「こども未来戦略方針」に対して、一言申し上げたいと思います。児童手当や育休取得促進、託児サービスの利便性向上など、個々の政策を充実させることは結構ですが、少子化対策の本質は、子育て世代の方々がこどもを産み育てられると思うことができる環境をつくりだすことだと考えます。その観点から、いま政府が為すべきことは、子育て世代の1収入を増やすこと、2受益と負担のバランスを改善すること、この2つだと考えます。
1996年をピークに我が国の実質賃金は四半世紀下がり続けています。この実質賃金の低下と、出生数の低下の相関係数は「0.93」。きわめて強い相関があることから、まず子育て世代の給料を上げることが大前提です。だからこそ、私たち国民民主党は「給料が上がる経済の実現」を最優先課題に掲げ、様々な政策を提案・実現してきました。その上で、重い教育費負担は少子化を助長することが内閣府の調査でも明らかになっていることから、私たちは「教育無償化」および「奨学金返済の減免」を訴えています。
また、受益と負担のバランスを改善することは、言い換えれば、税負担・社会保険料負担を減らすことと、控除や給付、および無償化などの公的支援を増やすことであり、児童手当の拡充の裏側で議論が進められている16歳から18歳の扶養控除廃止や、こども保険なる社会保険料の上乗せは、子育て世代の負担を増やすことで少子化対策に逆行する悪手にほかなりません。
そして、忘れてはならないのは女性の負担軽減です。これまでの政権の下では、女性に家庭内の家事、育児、介護の一切を任せ、自助共助を国民自身に押し付けることによって、国の福祉予算を軽減させていました。現在、我が国を覆っている少子化は、固定化された性別役割分担意識や男女不平等、長時間労働や非正規雇用のまん延、多様な家族の形を認めてこなかった固定的家族観など、我が国が抱える個々の政治課題による合併症なのです。そのことを理解し、多面的な政策的手当をしなければ、我が国の未来は到底変わりません。
私たち国民民主党は、政権与党だけがこの国を前に進めるエンジンだとは思いません。建設的な野党がいてこそ、与党もおごることなく、かたよらず、公平な視点を持つことができるものと考えます。だからこそ、今という時代に野党である者は、目の前の政局だけを考えるのではなく、より深く未来を見つめ、国家国民のために議論を尽くす姿勢を貫くべきだと考えます。
「強い者が間違っているならば、私たちは勇気をもって正していく。」
「大きな者が見逃しているならば、私たちは信念をもって訴えていく。」
これからも国民民主党は、この言葉のとおり、対決より解決の姿勢で、国民生活向上のため全力を尽くすことをお約束申し上げ、私の討論を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
以上