ニュースリリース
【談話】政府の新たな原子力政策について
【談話】政府の新たな原子力政策について
令和4年12月23日
国民民主党エネルギー調査会長
衆議院議員 浅野 哲
資源の少ない我が国がカーボン・ニュートラル社会を目指す上で、原子力エネルギーは、将来にわたり安定的にエネルギーを確保しつつ脱炭素化を実現するための政策上重要な選択肢である。しかし、現在のエネルギー政策上の原子力発電の位置づけの曖昧さや発電所の長期停止が続く中で、現場第一線で原子力安全を支える人材・技術・産業基盤の持続可能性が問われてきた。
さらに近年は、環境意識の高まりに加えロシアのウクライナ侵攻を受けた各国の政策転換により現下のエネルギー情勢は非連続的な変化を続けている。この様な状況を受け、国民民主党は安全性が確認された原子力発電所の稼働や次世代炉へのリプレース等を通じ、エネルギー安全保障の確保とカーボン・ニュートラルの両立を支える技術、国内サプライチェーンと人材の維持・向上を図ること等を提案してきた。
12月22日に開催された第5回GX実行会議において、政府はカーボン・ニュートラル社会の実現にむけた当面のエネルギー政策指針となる「GX実現にむけた基本方針~今後10年を見据えたロードマップ~」(以降、「基本方針」と呼称)を決定した。
今回、政府が示した基本方針には、将来にわたって持続的に原子力を活用するための再稼働や運転期間に関する規制の見直し、次世代革新炉の開発・建設、研究開発や人材育成、サプライチェーン維持・強化に対する支援拡充などが明記された。その内容に国民民主党が選挙公約などを通じて提案してきた政策と整合する内容が含まれていたことは評価する。
他方、福島第一原子力発電所事故後の処理と被災地復興、避難計画の策定、最終処分地の確保など、政府が責任をもって取組むべき重要課題は山積しており、政府には着実な対応を強く求める。また、運転期間延長に関しては、安全性に関する科学的根拠とそれらを担保する規制の在り方について、十分かつ丁寧な説明を政府や原子力規制委員会に求めていくとともに、それらを通して国民から十分な理解を得ることが必要不可欠である。
エネルギー政策を見直すことは、国民生活や産業・雇用等に多大な影響を及ぼすことから、既に確立した脱炭素化技術や既存の設備・インフラを最大限に活用しつつ段階的にアプローチする必要がある。国民民主党は国内産業の競争力低下や空洞化、雇用への悪影響等を与えない「公正な移行」のための対策を講じるとともに産業界や労働界など幅広い国民との丁寧な対話を重視し、現実的なエネルギー政策を構築していく。
以上