ニュースリリース
【参本会議】浜野よしふみ議員が政治資金規正法改正案に対する反対討論
浜野喜史選挙対策委員長(参議院議員/全国比例)は19日、国民民主党を代表し、参議院本会議で議題となった「政治資金規正法の一部を改正する法律案」(自由民主党・無所属の会提出)に対する反対討論を行った。討論の全文は以下のとおり。
国民民主党・新緑風会の浜野喜史です。
ただいま議題となりました、衆議院で公明党と日本維新の会が賛成した、自民党の政治資金規正法改正法案について、反対の討論を行います。
「今や、幾多の先人の努力の積み重ねにより築き上げられてきた議会制民主主義や政党政治は、その土台を大きく突き崩されかねない極めて憂慮すべき事態となっている。
政治家にとって国民の尊敬と信頼が最高の基盤であることを忘れ、政治家が政界内部にのみ配慮するようになると、国民の常識と遊離することになる」
これは、現状のことを言っているのではありません。
平成元年、リクルート問題等による政治不信が高まる中、竹下総理から諮問を受けた「政治改革に関する有識者会議」がまとめた提言の一部です。
平成の時代が過ぎ、令和の世になっても、またもや政治が、先達の警告した「憂慮すべき事態」に陥ってしまっていることを遺憾に思います。
また、「政治改革に関する有識者会議」の提言には、
「政治腐敗は、つまるところ、政治倫理、すなわち、国民の常識を無視するところから生じる」
という記述もあります。「政治倫理」とは『国民の常識』であります。
私たちは、こうした考え方に立ち戻り、政治資金の問題をはじめとした諸課題について、『国民の常識』に照らして、どうあるべきかを議論していく必要があります。
この観点に立って、以下、自民党案に反対の理由を述べます。
真相の究明
反対理由の核心は、真相の究明がなされていないこと、さらに究明のための努力がなされていないことにあります。
今回の法改正のそもそものきっかけは、自民党の一部の派閥・議員の収支報告書の不記載・虚偽記載の問題です。この不正を「誰が」「いつ」「どのような理由で」始め、行ってきたのか、明らかにしなければ、再発防止策はとれません。
自民党の行った、弁護士も参加された聴き取り調査の報告書を拝見しましたが、聴取事項は「収支報告書の訂正内容」「不記載となっていた金銭の有無及びその内容」「金銭の還付があったか否か」「還付金が存在していた事実の認識の有無」「還付金が記載されていなかったことの認識の有無とその理由」「還付金の管理者・管理方法」「還付金の使用の有無・使途」「本件についての所信」これが全てです。
不正を「誰が」「いつ」「どのような理由で」始め、行ってきたのか、ということを究明することにつながる聴取事項が全く見当たらず、真相を究明しようとする姿勢がないと断ぜざるを得ません。
事件の発覚以降、なぜかほとんどの派閥の解散が行われました。自民党内において、「派閥の存在が問題なのではなく、不正が問題なのでは」との議論があったと聞きます。同感であり、なぜ派閥を解散したのか。いまだ理解不能です。
また、パーティ券購入の公開について「10 万円超であるべき」「いや、5 万円超であるべき」との議論も行われてきましたが、それが再発防止に資する議論なのかと、これまた未だ違和感が拭えません。こうした理解不能な対応や議論の迷走は、真相の究明がなされていないことが生み出した混乱ではないでしょうか。
徹底した調査を行い、その上で法改正を行うことを求めます。
以上で、反対の理由は尽くされていると考えますが、次に、改正法案の問題点を述べます。
政策活動費
政策活動費についてです。
この本会議で、衆議院で公明・維新が賛成した自民党案が可決されれば、今まで、政治資金規正法に明記のなかったいわゆる政策活動費が法律に規定されることとなります。
この法案には、「10 年後に領収証を公開する」「年間の上限額を設定する」などの日本維新の会の意見を踏まえた内容が盛り込まれています。
10 年後であっても、領収証の黒塗りは否定されない。罰則は、その要否を含めて検討する。10 年後の領収証で脱税が発覚しても、最長7 年の時効が成立しており、罪に問われることはない。
『国民の常識』に照らして、透明性向上に値する、納得いく制度とは到底言えません。
また、政策活動費を必要な支出とする一方、年間の上限額を設ける理由は何か、との問いに「透明性の確保のため」と意味不明な説明がなされました。必要な支出なら、限度額など設けずに、正々堂々と支出すればよいのではないですか。
こんな法改正をすれば、政策活動費というものに対する国民の不信を逆に高めることになりかねません。
これまでの「いわゆる政策活動費」として支出するほうがまだマシと言えるのではないでしょうか。
代表者の責任の強化
また、不正の再発防止策と言えそうな国会議員関係政治団体の代表者の責任強化についても、国民民主党の提出法案にあるような「収支報告書の提出を会計責任者のみならず代表者の国会議員にも義務付ける」というシンプルかつ実効性あるものではなく、確認書の交付が導入されるのみです。
確認書を出すにあたり、入出金の具体的な流れをどこまでチェックすべきかが不明確であり、形式的な確認書を出しただけで罰則を免れる事となるのではないかといった指摘まであります。これが、本当に不正に対する抑止力になるのか、はなはだ疑問です。
政党交付金の交付停止
しかしながら、ただ一つ、評価できる点もあります。
今回の法案の附則13 条では、私たち国民民主党が主張してきた、犯罪があった場合の「政党交付金の交付停止」について「交付をしないこととする制度を創設するため、必要な措置が講ぜられるものとする」とされています。
一方、「外国人のパーティ券購入禁止」や「自分の政党支部への寄付による節税の禁止」については「検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする」とされ、措置を講じるのだか講じないのだかわからない規定になっています。
それに対して、「政党交付金の交付停止」は制度を創設するため、必要な措置を講じることを断定しています。
私たち国民民主党の提案を明確に法案に取り入れたことを評価します。今回の法案全体を撤回し、この部分だけの改正を行われることを強くおすすめ申し上げます。
今回の法改正のそもそものきっかけは、自民党の一部の派閥・議員の収支報告書の不記載・虚偽記載の問題です。この不正を「誰が」「いつ」「どのような理由で」始め、行ってきたのか。
それを今、明らかにしないまま、派閥を解散することで目先を変え、実効性があるのか疑わしい法改正を行っても、政治不信が解消されるとは思えません。
徹底調査の上で、『国民の常識』に基づいた法改正をすることを求め、反対討論を終わります。