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ニュースリリース

【衆憲法審】玉木代表が憲法改正のスケジュールなどについて発言

憲法審査会発言要旨(2024年6月6日)

国民民主党・無所属クラブ 玉木雄一郎

 憲法審査会も今国会、残り2回となった。「起草委員会」の速やかに設置し条文案づくりに着手することを繰り返し提案してきたが、もう時間がない。昨日、自民党の憲法改正実現本部は、今国会中の(憲法改正原案の国会)提出に向け他党との協議を古屋本部長ら執行部に一任したと報じられているが、一方で同日、自民党の浜田国対委員長は「まずは今ある法案を全て通す努力を優先すべき」と発言したと報道されており、慎重な姿勢を示している。一昨日、石井参院国対委員長に至っては、「国対担当の使命は政府提出法案を全て成立させることだ。条文案が出てきて法案審査に支障が出ないよう、しっかり対応したい」とまで述べたそうだ。  

 自民党の方針がバラバラではないか。今国会中の憲法改正原案の国会提出は諦めたのか。中谷元筆頭幹事の考えを確認したい。  

 やる気がわずかでも残っているなら、来週はせめて「要綱形式」で議論をしよう。もう時間はない。もし、今国会で改正原案の提出にすら至らなければ、それは自民党総裁としての総理の責任にも直結するのではないか。発議なんて夢また夢だ。  

 私たち国民民主党が「緊急事態における国会機能維持を可能とする憲法改正」の条文案をまとめてから1年半、維新や有志の会とともに3党派の共通条文案を作ってから丸一年が経過した。この間、自民党は何をしていたのか。2018年に4項目のたたき台素案を提示してから6年以上経ても、条文案へのアップデートすらしていないではないか。  

 やるならやると覚悟を決めて、スケジュールを決め、戦略的に取り組んでもらいたい。 例えば、本気で今国会で憲法改正原案の国会提出を進めたいなら、野党案を上回るような政治改革案を出して、国会をもっと円満に運営すべきだったのではないか。今のような裏金を許すザル法では国会が混乱するのは当たり前で、憲法改正に向けた戦略的な取組ができていないことには苦言を申し上げておく。  

 残りの時間は、「緊急事態における国会機能維持を可能とする憲法改正」について申し上げる。もはや論点は出尽くしており、これ以上発言するすることはないが、今日は、立憲民主党の本庄幹事が質問に答えてくれたので再質問する。  

①まず、選挙困難事態には繰延投票で対応できる言ったが、そもそも、繰延投票で何日間までなら延期できると考えるのか。70日以上を超えてもいつまでも繰延可能なのか。  

②次に、2011年に野田内閣で閣議決定されているとおり、仮に法律で選挙期日を延期できたとしても、その間の議員任期を延期することはできない。仮に、繰延投票で70日を超える長期にわたって選挙期日を延期する場合には、その間、国会議員が不在になる。私たちは、70日を超える長期にわたって参議院の緊急集会で対応するには憲法上 限界があると考える。いわゆる「スーパー緊急集会」を認めるなら憲法改正が必要ではないか。そして、こうした長期にわたる議員不在の状況を生み出す判断を、選挙管理委員会に委ねて良いと考えているのか。あわせて答えていただきたい。  

③最後に、政府見解では、最初の選挙期日さえ解散から40日以内に設定されていれば、繰延べられた投票期日は40日を過ぎても問題ないとしているが、逆に言えば、形式上でも選挙はスタートさせておく必要がある。そうなると「期日前投票」で大きな問題を生じる。投票が困難だから選挙期日を延期したのに期日前投票ができるのはおかしいし、選挙困難事態に選挙活動ができるのもおかしい。また、仮に違反行為があっても、災害で職員も被災していれば警告もできない。それでも繰延投票で対応できると考えるのか。  

 やはり「長期にわたって」「選挙の一体性が害されるほど広範に」選挙が困難な事態、すなわち、選挙困難事態に備えて、選挙期日の延期とその間の議員任期の延長ができる規定を憲法に設ける必要があると考える。  

 最後に、与野党各党に呼び掛けたい。国民投票広報協議会の機能に関して、フェイク ニュース対策の議論が行われているが、憲法審査会での議論の現実を、変な煽りを入れずに、それぞれの支援者に説明してもらいたい。  

 例えば、今の自民党の9条改正案によって、違憲論が解消されるとともに自衛隊の権限が大きく拡大し新たにできることが増えるような説明をするのもフェイクだし、一方で、9条改正で、帝国陸海軍が復活し軍国主義日本が復活するかのごとき説明もフェイクだ。ネット上のフェイクニュースを心配する前に、私たちが極力扇動的な言葉や行動を控え、冷静な憲法論、法律論を展開することが最大のフェイクニュース対策になる。このことを申し上げて発言を終える。  

<参考>国民民主党「憲法改正に向けた論点整理」(2020年12月)