国民民主党 つくろう、新しい答え。

ニュースリリース

【衆本会議】田中けん議員が子ども・子育て支援法等改正案について質疑

 田中けん政調副会長(衆議院議員/静岡4区)は2日、衆議院本会議で子ども・子育て支援法等改正案について質問を行った。質問の全文は以下の通り。

24.04.01
国民民主党 田中健

「子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案」について

 国民民主党の田中健です。私は会派を代表し、ただいま議題となりました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

〇子ども子育て支援金について

 この法案において、政府は少子化対策の財源として、子ども子育て支援金の新設を提案しています。総理は「支援金は歳出改革と賃上げによって実質的な負担はない」と説明してきました。今回こども家庭庁から示された給付と拠出の試算は、負担額をすべての国民の数で割り、平均値を示しただけのものであり、月450円という金額が独り歩きするのは負担をごまかすかのように言われても仕方がありません。そこで伺います。

 年収によっては、毎月の負担額が1000円や1500円をこえることはあり得るのでしょうか。

 具体的に、年収が600万円の場合、800万円の場合、1000万円の場合、それぞれ組合健保加入の被保険者一人当たりの平均の負担額はいくらになるのかお示しください。

 試算表の中で、組合健保における医療保険料額は加入者一人当たり11,300円とありますが、この額から保険料負担額は1円も増えないということでよいのか。総理に伺います。

 支援金の国民負担ゼロは、2つの前提をクリアしなくては成り立ちません。一つは歳出改革です。工程表には、医療介護の3割負担の見直し、つまり高齢者の窓口負担の問題が、また支援金の賦課に金融所得勘案、つまり金融所得をどう把捉するのかの問題を始め多くの検討課題が掲げられています。それぞれの課題で財源をどれだけ捻出できるのかは示されておらず、また熟議が必要なテーマばかりであり、実現性が全く見えません。これを財源と言えるのでしょうか。歳出削減1.1兆円の中身をお示しください。また歳出改革の内容次第では、窓口負担の増加、受診控えなど医療や介護制度のサービス低下につながることはないのか総理の考えを伺います。

 改革工程表の改革ができなった場合は、実質的に負担が増えることになるのでしょうか、それとも子ども・子育て支援特例公債の発行を継続し、負担を増やさないようにするのでしょうか。すでに後期高齢者医療制度の窓口負担原則2割の導入などは、選挙を意識した与党の反対で遅れているのではないですか、総理の見解を伺います。

 もう一つの前提は賃上げです。賃上げは労使の協議によって決まるものであり、確実にすべての労働者の賃金が上がるとは言えません。実際、春闘においても、賃上げに至っていない中小零細企業は数多く存在します。どうして負担がないと言い切れるのでしょうか。賃金が上がらない被保険者であっても、負担は増えないといえるのか、総理の見解を伺います。

 また社会保険料が上がることは、賃上げにマイナスになるのではとの懸念の声があがっています。賃上げに関する課題で、正社員が雇えないのも、可処分所得が増えないのも、「社会保険料の負担が大きい」ことが国民民主党で行ったアンケート調査でも明らかになっています。国を挙げて賃上げを進めている中、社会保険料が増えることは、賃上げマインドを下げることにつながることはないのか。そもそも支援金が労使折半であり、事業主負担も発生する中、会社側の負担金は本来従業員の給料にまわすことができるのではないか、総理の考えを伺います

 このままでは、子ども子育て支援金は、現役世代に重く負担ののしかかるステルス増税となります。保険料の目的外使用が問題であることのみならず、企業にとっても社会保険料の更なる負担増となり、賃上げ抑制の要因にもなりかねず、子どもを産み育てる世代の支援という少子化対策と逆行します。制度設計を見直すべきです。

〇子ども・子育てに関する給付について

 年少扶養控除の廃止等により、児童手当受給時に比して実質手取りが減少する世帯が生まれています。国民民主党は、異次元の少子化対策は、若者世代、子育て世代、両世代の異次元の可処分所得対策であり、1日も早く教育無償化を実現し、子どもたちを奨学金返済から解放し、結婚や出産がリスクだと思わない社会を創ることが必要だ、と訴えてきました。その意味では、扶養控除の維持拡充と、年少扶養控除の復活については、検討するかしないかでなく、もはやこれは少子化対策の前提であります。実質手取りが減少する世帯が生じない額を最低限支給すべきです。年少扶養控除の復活についての総理の見解を伺います。

〇こども誰でも通園制度について

 こども誰でも通園制度は、利用者は助かるという声がある一方、現場からは不安の声が上がっています。モデル事業を行った自治体からは月10時間の時間制約について、短時間しか利用できないのは託児になってしまう、質の高い保育をうける権利を守る観点からすると時間制限をなくしてほしいという声。また都市部では、待機児童が存在しており、働きたくても働けないという問題があり、後回しにされるのではないかとの声。保育士からはただ預かればいいわけでなく、保育の質を担保すべきとの声。どれも大切な声です。

 10時間の時間制約は今後拡大しいく考えはあるのか伺います。またどの地域においても希望の施設が利用できる環境を整備すべきであります。保育士などの保育施設で働くすべての賃金や労働条件を改善し、質の高い保育を提供するための必要な人材を確保すべきであると考えるが総理の見解を伺います。

 保育士の配置基準がようやく改善されますが、すべての子供が良質な保育を利用できる権利をもつ「保育保障」の実現を目指していくためは、さらなる改善が必要です。配置基準に関して今後どのように改善を図っていくのか、猶予期間を続けるのではなく、期限を区切って早期に改善すべきだと考えますが、総理の考えを伺います。

 政府は、異次元の少子化対策はこれでスウェーデンなみになったと言っていますが、国際比較可能なGDP比では2%が2.4%になっただけで、スウェーデンの3.4%にはいまだ至っていません。自分の国を「子供を産み育てやすい国だと思うか」の国際意識調査では、日本4.4%に対し、スウェーデンは80.4%、大きな開きがあります。この現実を直視してほしいと思います。結婚したくてもできない、子どもを産みたくても産めない、社会保険料負担で手取りが増えない限界だ、国民民主党は、国民から寄せられた1つ1つの声を大切に、人づくりこそくにづくりを愚直に訴えていくことを誓い質問を終わります。