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ニュースリリース

【参本会議】田村まみ議員がデジタル社会形成基本法等改正案に対して質疑

 田村まみ議員(参議院議員/全国比例)は5日、参議院本会議で「デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律​案」に対して質疑を行った。質疑の全文は以下の通り。

デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案に対する本会議質疑

 国民民主党・新緑風会の田村まみです。私は会派を代表し、ただいま議題となりましたデジタル規制改革推進一括法案について質問をいたします。

 本法律案は、デジタル技術の効果的な活用がアナログ規制によって妨げられないよう、デジタル臨時行政調査会において検討が進められたものと承知しています。アナログ規制の一括見直しには、国民の利便性向上のみならず、経済成長、人手不足解消といった効果も期待されています。一方で、高齢者をはじめとするデジタル技術に不慣れな方や、デジタル化の対応を求められる事業者にとって過度な負担とならないよう留意しながら進めていく必要があると考えます。
 そこで、河野大臣にお伺いします。今般のアナログ規制等の一括見直しは、我が国の社会にどのような効果、影響をもたらすと考えているでしょうか。期待される経済効果や懸念事項も含め、具体的に答弁願います。

 また、本法律案には検討条項などは規定されていませんが、今後の検証をどのように進めますか。河野大臣の答弁を求めます。

 今年の1月31日、日本フランチャイズチェーン協会が「デジタル技術を活用した酒類・たばこ年齢確認ガイドライン」を公表しました。法律上、20歳未満の飲酒・喫煙は禁止されており、酒・たばこの販売時には年齢確認を行う必要から、無人レジなどでの販売が難しい状況にありました。このガイドラインにより、デジタル技術を活用した年齢確認の方法とその保証レベルについての一定の基準などが示されました。
 この酒・たばこの年齢確認は7項目のアナログ規制には該当せず、今回の法改正の対象ではありませんが、デジタル臨調や関係省庁との協議等を通じて、実質的に利便性向上や業務効率化を妨げている規制を乗り越えた事例と言えます。このガイドラインを踏まえ、年齢確認の手法にデジタル技術が活用されれば、利便性向上や業務効率化に加え、有人レジでの年齢確認においても確実性を高めることができ、ひいてはカスタマーハラスメントの防止にもつながるなど、幅広い効果が期待されます。
 この事例のように、我が国に存在する規制の中には、7項目のアナログ規制以外にも、デジタル技術の活用が困難とされ、アナログ的手法により対応せざるを得ない、実質的にアナログ規制と解されるものがあるのではないでしょうか。こうしたものについても、7項目のアナログ規制の見直しと同様にデジタル臨調が調査し、洗い出し・点検を行うべきではないかと考えますが、河野大臣のご所見を伺います。

 このように実質的にアナログ規制と解されるものについて、たとえ民間ガイドライン等により解決が見込まれる場合でも、複数の省庁にまたがって確認が必要な策定作業や、行政含む現場への周知を民間団体等が独力で進めるのは困難です。引き続きデジタル庁による伴走型支援等の対策を講じる必要があると考えますが、デジタル庁所管の河野大臣の方針をお示しください。

 デジタル社会を実現し、国民生活の利便性、効率性を向上させていくためにマイナンバー制度は有用な社会インフラとなることが期待されますが、国民が安全・安心に利用できることが前提です。政府は必要なツールとしてマイナンバーカードの普及・利活用に取り組んでいますが、マイナンバーと健康保険証や銀行口座との紐づけ誤り、別人へのマイナポイント付与などの人為的なミス、急速にカード保有者が増えた負荷によるシステムエラーなど、デジタル化を進める中でこうしたトラブルが起きる可能性は排除できません。だからこそ、今回の事案による国民の不安を正面から受け止め、その解消に向けて真摯な説明と迅速な対応が必要だと考えますが、河野大臣、加藤厚生労働大臣の答弁を求めます。

 こうした人為的なミスやシステムエラーはなぜ起きたのでしょうか。マイナポイント事業の駆け込みによる利用者急増、紙の保険証の性急な廃止決定による入力作業の集中など、その時々の政府の決定が、現場で作業をする人員やシステムに過大な負荷をかけたのではありませんか。より踏み込んだ原因究明と根本的な再発防止策が必要と考えますが、河野大臣の見解を伺います。

 国民が安心して利用できる制度とするために、2024年秋とされている健康保険証の廃止についてはいったん延期とすることが現実的ではないでしょうか。加藤厚生労働大臣の決断と、事業の円滑化・正常化を求めます。

 マイナンバーカードの保有者に対しマイナンバーカードと同等の機能を搭載する「スマホ用電子証明書搭載サービス」が本年5月11日に始まりました。デジタル社会構想会議の議論では、電子証明書のスマホ搭載を評価しつつ、有識者の委員から、「カードとスマホを両方携帯するのではなくて、スマホ1つで済ませられるようにすべきだ」といった指摘もなされています。
 今後、マイナンバーカードなしに、スマホだけで様々なサービスの利用や申込ができるようになることに加え、電子証明書を搭載可能なスマホの機種・OSの拡充も目指す中で、マイナンバーカードの必要性や活用方法をどのように考えているのでしょうか。河野大臣の所見を伺います。
 あわせて、カードとスマホのどちらを主流とするのか、あるいはどう棲み分けるのか、政府が目指す方向性について河野大臣に伺います。

 デジタル社会構想会議では、マイナンバーカード券面の氏名や住所などの記載が、持ち歩く上でリスクと考える方もいることから、券面記載内容を見直すことでマイナンバーカード活用の道が開けるとの指摘がありました。他方で、今般のデータ入力ミス等によって健康保険のオンライン資格確認ができない場合には、券面記載事項をもとに確認することも対応策として示されています。マイナンバーカードの利活用の観点から、券面記載内容の見直しについて河野大臣の見解をお示しください。

 昨年、電力需給ひっ迫警報が東日本で発令されました。家庭や事業者に緊急の節電要請がなされ、社会に戸惑いと混乱を生じたことは記憶に新しいところです。今後デジタル社会の進展に伴い、電力はこれまで以上に欠かすことのできないインフラとなり、その裏返しで電力ひっ迫、停電時の混乱もより大きなものになると予想されます。
 民間の調査によると、事業継続計画・BCPを策定している企業の割合は17.7%にとどまり、電力ひっ迫や停電について盛り込んでいるところはさらに少ないのが現状です。デジタル社会の実現を目指す政府として、電力の安定供給への努力はもとより需要側のレジリエンス向上についても、例えばひな型をつくるなどして企業のBCP策定を後押ししていく必要があるのではないでしょうか。河野デジタル大臣、西村経済産業大臣の見解を伺います。

 年齢確認をめぐる事例やマイナンバーの活用においても、デジタル庁だけでは完結せず、各省庁が自治体や事業者の実情も踏まえつつ、それぞれの所管する法令を運用しているのが実情です。
 今後、デジタル技術が進展していくことに伴い、各省庁が個別に、実情に即した点検・見直しを行うことが重要ですが、デジタル庁も、デジタル社会の形成を図る司令塔としての機能を果たし、強く見直しを推進していただきたいと考えます。
 デジタル庁と各省庁のどちらが主導権を持つのかなど、関係性はどのように整理されているのでしょうか。デジタル社会の実現に向けた河野大臣の決意とあわせて最後にお伺いし、質問を終わります。