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ニュースリリース

【衆本会議】浅野哲議員が電気事業法等改正案に対する質疑

 浅野哲議員(衆議院議員/茨城5区)は30日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」に対する質疑を行った。質疑の全文は以下のとおり。

GX脱炭素電源法案に関する質疑事項

令和5年3月30日
国民民主党・無所属
浅野 哲

国民民主党の浅野哲です。
ただいま議題となりましたGX脱炭素電源法案について質問いたします。

(再エネの自家消費促進)
 ロシアのウクライナ侵攻以降、化石資源の調達価格が高騰し、我が国の電気料金は上昇を続けています。国民民主党は、国民生活や国内経済を守るため、再エネ賦課金の徴収停止法案や電気代負担軽減策を早くから主張しました。しかし、これらはあくまでも電気を「買って使う」ことを前提とした対策です。現在は、家庭で発電した再エネ電気の市場価値(\16/kWh)のほうが、購入する電気料金単価(\19.91~\30.6/kWh、プラン名:東京電力スタンダードS)よりも低くなっており、電気を「自宅で作って、ためて、使う」ことが経済合理的な状況になりつつあります。再エネの最大限導入をめざすなら、再エネの「自家消費化」を普及策の中心に据えて取組むべきではありませんか(経済産業大臣)

(再エネ立地の全体最適化)
 本法案は、再エネ導入に資する系統整備を進めるため、計画認定制度の創設や交付金の前倒し、貸付制度創設などを進める内容です。しかし、肝心の再エネ電源が系統の何処に、どの位の規模で設置されるかは手当てされていません。政府は広域系統整備計画の具体化にあたっては、系統内の需給バランスや調整力配置を勘案しながら再エネの立地誘導による全体最適化を進める考えはありませんか(経済産業大臣)

(安全かつ適正な労働環境の確保)
 建設業の時間外労働規制の適用を目前に控え、系統整備や再エネ導入などの現場作業員の働き方改革が急務です。しかし、現場では日中の作業停電が行えず、無停電作業や深夜作業を行わざるを得ない現場もあり、作業上の安全リスクや恒常的な長時間労働等が懸念されている状況にあります。再エネの導入拡大を図るにあたっては、作業者の安全確保や労働環境の適正化を図る必要があると考えますが政府の認識を伺います(経済産業大臣)

(運転期間の科学的根拠)
 本法案では、これまで原子炉等規制法で定められていた発電所の運転期間の上限規定が削除され、電気事業法の中で規定されることとなりました。しかし、規制のための法律で運転上限を定めることと、利用のための法律で運転上限を定めることはそもそもその意味合いが異なるのではないでしょうか。運転期間を40年とした理由を紐解くと、当初、原子炉設置許可の審査の際に40 年運転を仮定して評価が行われていたからであり、科学的評価に基づくものとは認められませんでした。電気事業法で上限を定めるにあたっては科学的根拠に基づく合理的な内容とすべきと考えます。政府において、これまでに原子力発電所の運転期間に応じた機器の不具合発生率や物性の変化などの科学的評価を実施した事実を把握していれば、その内容も含めてご答弁願います(原子力規制委員会委員長)

(原子力サプライチェーンの維持強化)
 国内の原子力発電所の長期停止が続く中で、原子力の現場で安全を支えてきた人材・技術・産業基盤の持続可能性が危機に陥っています。日本原子力産業協会によると、現場作業者の60%が運転停止期間の長期化によって技術の維持・伝承ができないと感じており、その内84%がOJT機会の喪失を挙げています。また、国内企業の中には原子力事業から撤退する企業も出ており状況は深刻です。政府は原子力基本法改正案第二条の三の第一号で、技術や人材、産業基盤の維持強化を国の基本的施策に挙げていますが、具体的にどのような取組みを行う考えでしょうか(経済産業大臣)

(原子力技術の国際展開)
 国際原子力機関(IAEA)によると、2050年までに全世界で約400GWの原子力発電所の新規建設が行われ、設備容量は現在の倍になる見通しだそうです。しかし、現在進行中の新設案件の多くが中国・ロシアに集中しており、今後、世界中の原子力発電所が中国・ロシアの影響下におかれる可能性があります。他方、我が国の原子力産業はフランスに匹敵する広範なサプライチェーンを有しており、今後の国際的な新規建設プロジェクトに対する日本の貢献が欧米諸国から期待されています。岸田総理は、昨年5月にバイデン大統領と臨んだ日米首脳共同声明の中で、日米の原子力協力の拡大に合意しました。今後、具体的にどのようなテーマで協力を深めていくのか、また、我が国の原子力技術の国際展開についてのお考えもお聞かせください(内閣総理大臣)

(原子力に関する国際連携)
 来月15日にはG7気候・エネルギー・環境大臣会合が札幌で開催され、5月19日からはG7広島サミットが開催されます。いまや環境問題とエネルギー安全保障、経済安全保障は密接不可分であり、我が国は欧米諸国と共に、ロシアや中国が世界のエネルギー市場にかける攻勢に対応していかなければなりません。ロシアと中国の連携がかつてなく顕在化する中、これらの会合は、我が国が培ってきた原子力関連技術やエネルギーマネジメント技術、高効率火力発電技術やそれらを培ってきた産業基盤の政治的重要性を伝える絶好の機会でもあります。それぞれの会合の中で、日本のエネルギー関連産業の強みをPRし、国際協力や事業の海外展開につなげていくべきと考えますがそれぞれのお考えをお聞かせください(内閣総理大臣および経済産業大臣)

以上で私の発言を終わります。
ご清聴ありがとうございました。

以上