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ニュースリリース

【参本会議】田村まみ国民運動局長が「障害者総合支援法等の一部を改正する法律案」に対して質疑

 田村まみ国民運動局長(参議院議員/全国比例)は5日、国民民主党を代表し、参議院本会議で議題となった「障害者総合支援法等の一部を改正する法律案」に対する質疑を行った。質問の全文は以下のとおり。

 国民民主党・新緑風会の田村まみです。
 「障害者総合支援法等の一部を改正する法律案」について、会派を代表して加藤厚生労働大臣に質問いたします。

 今まで医療・介護分野のみに法的根拠があったデータベースについて、障害福祉・難病対策の分野にもおいて法的根拠の整備が進みます。
 実際に、多くの難病や小児慢性疾病は、先天性疾患をはじめ遺伝子に起因するものがあり、データベースの活用によって、いまだ原因が分からない希少疾病の全容が明らかになる、また遺伝子治療の推進をはじめ新たな治療法の確立につながり、患者にとって福音となり得ます。
 他方、遺伝子情報そのものについては、法的保護の枠組がわが国には整備されていません。米国では遺伝子情報による差別・偏見の是正を目的とするGINA法によって個人情報保護が図られています。
現実の医療の現場では、遺伝子パネル検査、ゲノム医療をはじめ遺伝子情報が既に取り扱われていることを鑑みると、わが国でも早急に法的整備を進めるべきと考えますが大臣の見解を尋ねします。

 本年8月、ジュネーブの国連本部において、障害者権利条約に基づく初めての対日審査が行われ、9月9日、国連の 障害者権利委員会は 総括所見を公表しました。その中で、精神障害のある人の強制的な入院制度の見直し等が勧告されています。
 本法案は、総括所見の公表から間もない提出ということもあり、勧告が求める内容からは不十分な改正となっています。
 本法案の附則第3条には、 精神保健福祉法の規定による本人の同意がない場合の入院の制度の在り方等に関し、障害者権利条約の実施について精神障害者等の意見を聴きつつ、検討する旨の規定が置かれています。その検討に当たっては、衆議院において、「海外の制度との対比などを行いながら、権利擁護の仕組みを含め、速やかな検討に着手したい」との答弁がありました。

 当然、その速やかな検討により、国連への次回定期報告の2028年に間に必ず合わせる必要があると考えます。
 また、本法案の附則第2条では、法施行5年後の検討規定を置いていますが、附則第3条で特出されている「本人の同意がない場合の入院の制度の在り方」以外にも、5年を待たず議論を開始すべき課題は山積しています。
 今後、それらの検討に向けた方針(ほうしん)及びスケジュールについて伺います。

 本法案では、医療(いりょう)保護(ほご)入院(にゅういん)について、入院期間を厚生労働省令で定め、期間ごとに入院の要件を確認し期間の更新を可能としています。
 日本の精神科 病院における平均在院(へいきんざいいん)日数(にっすう)が、世界各国と比較して突出して長いことについて、加藤厚生労働大臣は衆議院で、「精神障害者の退院支援を具体的に進めるに当たり、患者本人の抱える多様な課題を解決するための仕組みが必ずしも十分でないといったことが指摘されている」と答弁しています。
 本法案によって入院期間の短縮化(たんしゅくか)や退院支援の充実をどのように図っていくのでしょうか。

 本法案では、市町(しちょう)村長(そんちょう)同意(どうい)による医療保護入院者等(など)を対象に、患者の孤独感や自尊心の低下を軽減し、権利(けんり)擁護(ようご)を図ることを目的として、「入院者(にゅういんしゃ)訪問(ほうもん)支援事業」を創設します。しかし、この事業は都道府県等(とう)の任意事業となっています。自治体によって支援員の人員不足や予算上の問題から、必須事業とすることが困難なためでしょうか。入院者(にゅういんしゃ)訪問(ほうもん) 支援事業をしっかりと機能させていき、将来的にはどの病院に入院しても 支援を受けられる体制を目指していくことが必要と考えますが見解を伺います。
 くわえて、非自発的な入院患者(かんじゃ)にかぎらず、全ての精神障害入院(にゅういん)患者(かんじゃ)に対してアドボケイトを図る、本人の話を丁寧に聞く施策(しさく)を図ることが、結果的に、脱施設化(だつしせつか)や地域(ちいき)移行(いこう)を進め、長期化する入院期間を短縮していくことにつながると考えますが大臣のお考えをお尋ねします。

 障害者雇用は、民間企業において18年連続で過去最高数を記録し、着実に進展しています。一方で、障害者(しょうがいしゃ)雇用(こよう) 納付(のうふ)金(きん)財政(ざいせい)は令和4年から単年度収支がマイナスの推計となっています。本法案では一定数の雇用を超過した場合に調整金や報奨金を減額することとしていますが、これらの減額によって障害者 雇用者数が減退(げんたい)しないでしょうか。
 また、新設する助成金制度により、どのように雇用の促進・支援につながるのか伺います。

 来年は5年に1度の法定雇用率の検討が予定されており、除外率の一律10ポイントの引下げが行われることなどから、企業はさらに障害者雇用を進めていくことが求められます。このような中、本法案によって、週(しゅう)所定(しょてい)労働(ろうどう)時間(じかん)が10時間以上20時間未満の精神障害者や重度の身体・知的障害者を「0.5人カウント」すること により、短い時間であっても働きたい、という方々の雇用促進につながることが期待されます。一方で、法定雇用率を達成することが主目的となって、もっと働きたいと希望する方々の雇用までが 週10時間に留め置かれてしまうようなことにはならないでしょうか。
 障害者ができる限り希望する勤務形態・時間で働くことができるような雇用の在り方が求められますが、そのための方策について伺います。

 本法案では、就労アセスメントの機会を設けることにより、就労系 障害(しょうがい)福祉(ふくし)サービスから一般就労への移行・定着を図っていく「就労(しゅうろう)選択(せんたく)支援(しえん)」サービスが創設 されます。一般就労への移行期などの就労中に、一時的に就労(しゅうろう)系(けい)障害(しょうがい)福祉(ふくし)サービスを利用できることを障害者 総合支援法に位置づけることなどにより、雇用と福祉が連携して、よりきめ細かな支援が提供されるようになることが期待されます。一方で、新たなサービスの指定事業所が、評価を意識するあまり、就労系障害(しょうがい)福祉(ふくし)サービスで働く方々を、過度に一般就労に結び付ける懸念があります。本人の意思、希望をどのように担保していくのか伺います。

 直近では障がい者雇用者数の進展の一方、令和3年の障害者雇用率 未達成(みたっせい)企業(きぎょう)は5万6千618社あり、このうち障害者を1人も雇用していない企業は3万2千644社あります 。これらの「障害者雇用 ゼロ企業」の多くが中小企業であり、いかにその雇用を進めるかが大きな課題となっています。令和元年の障害者(しょうがいしゃ)雇用(こよう)促進法(そくしんほう)改正で創設した、障害者雇用の取組の状況が優良な中小事業(じぎょう)主(ぬし)を認定する「もにす認定」制度令和4年9月30日時点でわずか184事業主です。その認知度や効果はどの程度高まっているのでしょうか。
 これまでの認定状況(じょうきょう)及(およ)びその効果、課題についてどのように分析しているか伺います。

 障害者雇用率(こようりつ)の算定において親会社の一事業所と見なされる子会社、特例(とくれい)子会社(こがいしゃ)の認定を受けている企業は令和3年6月現在、562社あり、4万1千700名を超える方が雇用 されています。このように、本社では法定(ほうてい)雇用率(こようりつ)の達成が困難な場合等において、特例子会社制度(せいど)は雇用を促進するための一定の役割を果たしています。中小企業においても、複数の事業主で実雇用率を通算できる制度として、「事業協同組合等(とう)算定特例」制度 があり、本法案では、有限責任事業(じぎょう)組合(くみあい)をその対象として追加することとしています。中小企業での障害者 雇用促進の根本的解決にはつながらないと考えますが、どのような効果が期待できると考えるか、その狙いについて伺います。

 本法案では、障がい者が地域で生活、就労するうえで必要な支援を強化する多くのメニューが用意されています。しかし、それらを実行していくための予算、人員確保が何より重要であり、来年度以降の予算編成や、次期障害(しょうがい)福祉(ふくし)サービスなど報酬改定の処遇(しょぐう)改善(かいぜん)加算(かさん)に しっかりと反映させていかなければならないと考えます。
 構造的な賃上げを掲げる総理の下での厚生労働大臣の御決意を伺います。

 先日、民間企業との共同出資会社を次々設立し心身障がい者の就労機会を拡大している、大分県別府市の社会福祉法人「太陽の家」を視察しました。1977年に慈善ではなく収益事業としてはじめた日本で初めて車いすの障がいのある人がレジで働くスーパーマーケット「サンストア」の店舗が現在まで引き継がれていました。
 故(こ)中村(なかむら)裕(ゆたか)医師のノー・チャリティー・バット・ア・チャンス『保護より機会を』、の設立理念を目の当たりにしました。
 国会議員の1人として、一人の想いと行動で始まる挑戦を、広く国民の福祉のため立法で支えることを誓い質問を終わります。