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ニュースリリース

【参本会議】大塚代表代行が「岸田内閣総理大臣によるG7首脳会議出席の報告」について質疑

 大塚耕平代表代行(参議院議員/愛知県)は1日、国民民主党を代表し、参議院本会議で議題となった「岸田内閣総理大臣によるG7首脳会議出席の報告」に対し質疑を行った。質疑の全文は以下のとおり。

G7首脳会合報告に関連する質疑

令和4年4月1日
国民民主党・新緑風会 大塚耕平

 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。会派を代表して総理のG7首脳会合報告に関連して質問します。総理のロシア対応には基本的に賛意を示しますが、いくつかの発言について真意等を伺います。

 総理は首脳会談等において、ロシアに「甚大なコスト」「高い代償」を払わせるという発言を繰り返しています。「甚大なコスト」「高い代償」とは具体的にどのようなことを指すのか、伺います。

 「国際秩序の根幹を巡る歴史の岐路」という表現も繰り返し使っています。「歴史の岐路」をどのように認識し、どのように日本を舵取りしようとしているのか、伺います。

 G7唯一のアジアの国として、アジアでもロシア包囲網の形成に貢献すると述べていますが、具体的にどういうことか伺います。

 来年のG7議長国としてロシアに対する国際的取組みをリードしていくとも述べています。具体的にどういうことか伺います。

 2月27日の会見では「ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことは、もはやできない」と述べています。今後どのようにロシアと向き合うのか、方針を伺います。

 制裁について質問します。ロシア金融機関のSWIFT排除によって、日本の金融機関が現在までに対ロシア決済を止めた規模について財務大臣に伺います。

 対ロシア最恵国待遇撤回のために今国会で法改正を行うようですが、ロシアも日本の最恵国待遇を外すでしょう。日露どちらに関税上の影響が大きいのか、財務大臣に伺います。

 経済制裁には反射効果が伴います。反射効果をどの程度と想定し、対策をどのように考えているのか、総理に伺います。

 財務大臣に伺います。仮想通貨を用いた制裁回避を防ぐための外為法改正案において、交換業者に対する規制強化の内容、有効性、チェック体制について、伺います。

 次に、総理に伺います。81の軍事関連団体を輸出禁止対象としたほか、ロシア政府関係者及びプーチン政権に近いオリガルヒと呼ばれる財閥関係者等を制裁対象に指定したと聞きますが、開示可能な範囲で詳細を伺います。合わせて日本側の企業等がそれを遵守しているか否かのチェックをどのように行うのか、伺います。

 次に、ウクライナ支援等について総理に伺います。人道支援2億ドル、借款2億ドルは、それぞれ具体的にいつ実行するのでしょうか。

 ポーランド等周辺国への避難者支援のために、自衛隊医官の派遣等、保健医療分野での人的貢献を表明していますが、具体的にいつ、何人の体制で派遣するのでしょうか。

 避難民受入れ方針も表明しました。日本語教育、就労支援、定住支援も行うと報道されていますが、具体的にいつから、何人ぐらいを受入れる方針か、伺います。

 ウクライナ滞在中の邦人数、及び退避等の検討状況についても伺います。

 次に、ロシア情勢について質問します。プーチン大統領には3つの支持基盤があると言われており、第1はシロビキと呼ばれる軍、諜報、警察組織です。ところが全ロシア将校協会が「ウクライナ侵攻計画中止」「プーチン辞任」を求める公開書簡を発表したと報道されています。つまり、支持基盤の軍が反旗を翻しています。諜報機関では、ウクライナ情勢を報告する立場であったFSB(連邦保安庁)局長が軟禁されたと報道されています。これらの事実関係を外務大臣に伺います。

 第2はオリガルヒと呼ばれる新興財閥集団です。関係者が欧米諸国に蓄積している金融資産、不動産等にも差し押さえの動きが広がっています。そうした中、2020年ロシア1位の富豪であるオリガルヒ有力者が外国企業の資産接収に反対したと報道されています。この事実関係についても、外務大臣に伺います。

 第3はメディアです。プーチン大統領は3大テレビ局を完全支配していますが、メディアでも反プーチンの動きが見られます。3月14日、国営テレビのニュース番組中、女性スタッフが反戦プラカードをもって抗議活動をした様子が全世界で放映されました。欧米政府、西側メディアはプーチン大統領のウクライナ侵攻は判断ミスという論調ですが、大統領を支える支持基盤、シロビキ、オリガルヒ、メディアの実情を含め、プーチン政権の現状をどのように分析、認識しているのか、総理に伺います。

 総理は、エネルギーや食料価格高騰の影響を受けている国に対し、G7が支援に取り組むことが重要と述べていますが、日本自身が最も影響を受けている国かもしれません。総理の認識を伺います。経済制裁の余波で事業不能となった企業があるほか、ロシアから撤退する企業も相次いでいます。トヨタ、日産等のサンクトペテルブルク工場稼働停止等、実例は枚挙に暇がありません。

 しかも、プーチン大統領は撤退企業の資産を国有化する方針を示しました。日本企業の動向、及び今後の影響、それに対する政府の支援策等、現状の認識と対応を総理に伺います。

 食品も影響が直撃しています。ロシアとウクライナが世界の輸出量の約3割を占める小麦価格急騰も顕著です。幅広い食品価格に影響が出ています。食品への影響、量確保、価格対策について、総理に伺います。

 制裁の反射効果が大きい典型例が日ロ共同事業サハリン2です。サハリン2のLNGは3日で日本に届き、量も価格も安定し、ホルムズ海峡のような危険海域も通りません。因みに中東産の輸送には約3週間かかります。サハリン2からのLNG供給が途絶えれば、高騰するスポット市場での調達を余儀なくされ、電気代やガス代が上がり、国民生活に影響が出ます。2月28日、サハリン2からシェルが撤退を表明しました。撤退外国企業の資産接収が予測される中、出資している三井物産と三菱商事がシェルを追随することは困難です。サハリン2を手放せば電力安定供給やエネルギー安全保障が脅かされ、中国に権益を奪われるでしょう。伊藤忠商事、丸紅等が参画する原油開発事業サハリン1も事情は同じです。

 ロシア制裁に関してリーダーシップを発揮する決意の総理は、サハリン1、2について、総合的な国益の観点からどのように対処するのでしょうか。考えを伺います。

 日本以上にロシアの化石燃料依存度が高いのはEUです。原油の約3割、天然ガスの約5割をロシアに依存しているため、エネルギー分野を制裁の例外にしたままです。ロシアからの化石燃料輸入が止まればEUは苦しくなりますが、ロシアも収入を失います。しかし、ロシアは中国と結ぶパイプライン「シベリアの力」を2019年末に開通させ、モンゴル経由の「シベリアの力2」も建設中です。

 先の本会議でSWIFTに代わるロシアSPFSや中国CIPSのことを質問しました。決済網、エネルギーとも、中露両国は周到に次の展開を想定していると言えます。むしろ、西側諸国の方が中露両国に政治的に厳しい姿勢で臨みながら、経済、資源的には依存している構図です。日本は中露両国とどのような外交通商関係で臨み、安全保障戦略をとるのか。欧米諸国にどのような意見を述べるのか。総理の考えを伺います。

 ゼレンスキー大統領は先の国会演説の中で、国連改革について「日本のリーダーシップが大きな役割を果たせる」と述べました。3月2日、40年ぶり、国連史上11回目のESS(緊急特別会合)が開催され、ロシアに軍事行動即時停止を求める決議案が圧倒的賛成多数で採択されました。ESSは拒否権濫用防止のために1950年に編み出された手法です。ロシアの今後の動き次第では、日本が主導してさらなるESS開催を模索することを含め、非民主的な拒否権制度の見直し等、国連改革、安保理改革に取り組む総理の方針と決意を伺い、質問とします。