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ニュースリリース

【衆本会議】浅野国対委員長代理が「経済安全保障推進法案」について質疑

浅野哲国対委員長代理(衆議院議員/茨城5区)は17日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で議題となった「経済安全保障推進法案」について質疑を行った。質疑の全文は以下のとおり。

経済安全保障推進法案に関する質問

国民民主党・無所属クラブの浅野 哲です。

冒頭、この度のロシア軍によるウクライナへの侵略行為で犠牲となられた方々に、心より哀悼の誠を捧げるとともに、ロシア軍の作戦中止と即時撤退を求めます。

私は会派を代表して、経済安全保障推進法案を中心に質問します。

サプライチェーン強靭化

 本法案では、サプライチェーンに対する政府の調査権限が新設される予定です。米国では事業者に対し応答義務が課せられている一方、本法案では「応答努力義務」が規定されています。産業界への配慮としては一定の理解ができるものの、調査の実効性を確保する必要があることから事業者側のインセンティブ(またはディスインセンティブ)の在り方について、これまでの議論経過と政府の見解を伺います。

 「特定重要物資」と指定された物資については、所管大臣に備蓄等の必要な措置を講ずる責務が規定されています。例えば、エネルギー資源については、水素やバイオ燃料等が注目されていますが、エネルギー安全保障の観点から、これらの国内製造を国家戦略に含めるべきと考えますが如何でしょうか。特に、発電所等で発生する大量の熱を利用する水素・バイオ燃料の製造環境およびサプライチェーン構築は戦略として強力に推進すべきと考えますが、経済産業大臣の見解を伺います。

原油高騰対策

 関連して、現在、国際取引の現場では原油の価格が高騰し、国内のエネルギー供給環境に重大な支障をきたしかねない事態となっており、現在行われているガソリン元売りへの補助と併せて、「トリガー条項」の発動が多くの国民から期待されています。この間、懸念事項とされてきた「地方財政への影響緩和策」や「発動/解除方法の具体化」等について早急に結論を得るべきと考えますが、総理から関係省庁に対し検討をご指示いただけませんか。

追加の経済対策

 コロナ禍で国内経済は疲弊し、GDPギャップは27兆円(内閣府による試算)の「需要不足」。原油高に起因した物価上昇がおこる中、景気後退と物価上昇が同時に起こるスタグフレーションの現実味が増しています。国内外の諸情勢の先行きが不透明感を増す中、すみやかに追加の経済対策の検討に入るべきと考えます。国民民主党は「事業者の金融支援」「エネルギー安定供給の確保」「防衛関連予算の拡充」等のため最低でも10兆、できれば20兆円規模の対策が必要と考え検討を進めておりますが、追加予算の必要性について総理のご認識を伺います。

総合的な経済安全保障法制にむけた論点                                                                       

 ここからは、日本の経済安全保障施策をより総合的な内容とするための論点を3つ提示させていただき、それらに対する政府の見解を求めたいと思います。

 1つ目は「人材の育成・確保」についてです。経済安全保障分野において、経済活動を支える人材の安定的確保と優秀な人材の育成は重要な論点です。例えば、セキュリティー人材が不足していると答えた企業の割合は、米国16%に対し、日本は86%にのぼるそうです[1]。ですが、本法案では人材の育成・確保に関する強い問題意識は感じられません。何故でしょうか。

 2つ目は「信頼できる相手との取引重点化」についてです。経済安全保障分野において、特定の国家(とりわけ非友好的な関係にある国家)に特定の品目を依存している状態は危険です。一方、信頼できる相手と共同でサプライチェーンを構築することは、相互の脆弱性を克服することにもつながると考えます。この様な観点でTPP11の意義、そして、昨年バイデン政権が提唱した「インド太平洋経済枠組み」に対する総理のご認識を伺います。

 3つ目は「人権デューデリジェンスへの対応」についてです。近年、欧米等では人権の観点から輸出規制や輸入規制を強化する動きが活発化しています。米国のバイデン政権も強制労働に基づく製品の輸入を禁止するなど、人権を重視する姿勢を明確にしました。企業の人権デユーデリジェンスへの対応不足が国際取引網から排除されるリスクにもなり始めている中、本格的な法制化の必要性について萩生田大臣に伺います。

国民民主党は、以上の論点をはじめ我が国の経済安全保障を確保するために必要なより包括的な政策パッケージをまとめた法案「総合的経済安全保障施策推進法案」を提出しました。我が国の経済安全保障施策体系のさらなる充実にむけて、総理にもぜひご一読いただき、参考にしていただきたいと思いますが、総理、我々の法案を読んでいただけますか。

最後に一言申し上げます。今の時代、日本に住む我々は、より困難な状況に置かれている人々が世界に多くいることを常に思い出すことが重要だと思います。経済安全保障を考える上でも、我が国の繁栄のみならず、他の国の繁栄にも心を向け、便益を分け合う精神を忘れない様にしなければなりません。最後にある言葉をご紹介いたします。

「繁栄した『経済国家』であることを誇る前に、『道義国家』であることを目指すべきである。」

以上で私の発言を終わります。ご静聴ありがとうございました。