ニュースリリース
【衆本会議】田中けん議員が衆議院本会議で「消費者契約法」並びに「法人等寄附不当勧誘防止法」に対する賛成討論
田中けん国会対策副委員長(衆議院議員/静岡4区)は8日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で議題となった「消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案」並びに「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等による法律案」に対する賛成討論を行った。討論の全文は以下の通り。
令和4年12月8日
国民民主党・無所属クラブ
田中健
国民民主党の田中健です。
私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、「消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案」並びに「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等による法律案」に賛成の立場で討論いたします。
本年7月8日に起きた安倍晋三元首相の銃撃事件。その後、旧統一教会の問題が明らかになるなか、主に二つの論点に焦点が当たりました。一つは献金被害に遭った人をどう救済するか、もう一つは旧統一教会という宗教法人を解散させるべきか、という議論です。
今回の法案制定の過程で、私たち国民民主党は自民公明との実務者協議の中で当初から、心理的支配利用に伴う暴利行為による寄付の募集を禁じる規定、家族による損害賠償を可能とする民法の特例、を創設することを提案してきました。それが配慮義務の3条1項・2項に盛り込まれることになりました。
また、3項に関しても、参考にすべきと提案していた公益法人法第17条3項にある、「財産の使途について誤認させる恐れのある行為」をもとに配慮義務が作られたと聞いています。このように新法の骨格は、国民民主党が与野党協議で提案した考え方を反映したものになっています。もちろん、完ぺきではなく、多くの課題は残りますが、今できうる限りの対策を盛り込み、契約だけでなく単独行為も対象とし、法人等から寄付の勧誘を受ける個人の権利の保護が一歩前進したと考え、賛成することといたしました。
今回の新法案がわかりづらいのは、寄付の禁止行為と配慮義務が別々であるがごとく議論されてきたことです。寄付募集に当たっては、規範となる配慮義務という大枠の中に、特に悪質である禁止行為を定め、違反した場合の罰則規定を設けた、という枠組みです。そもそも配慮義務の内容自体も行ってはいけないことであります。だからこそ、配慮義務に違反して寄付を集めることが、民法709条の不法行為に当たり、同条にもとづく損害賠償請求と対象となり、寄付により生活が困難になった配偶者・扶養親族も被害者として民法709条の不法行為による損害賠償請求の当事者となりうることを質疑の中で明らかにしました。
また、第3条2項家族への配慮義務違反は、宗教法人法第81条1項1号の法令違反に当たり、正体隠しや身分を偽っての伝道は、第3条3項配慮義務違反になると同時に、宗教法人法第81条1項2号の宗教団体の目的を著しく逸脱した行為に当たることも明らかになりました。
つまり、新法第3条に定める配慮義務に違反して寄付を集めることが、①組織的②継続的③悪質な形で行われた場合には、宗教法人法81条第1項に基づく解散命令の対象になりえるということです。
今回の新法と宗教法人法がしっかりと連携していることがわかります。
他方、債権者代位権の特例を作って家族の救済措置を広げたこと、将来の教育費などについても返金を求めることができるようになることは評価します。が、特別代理人の選任の壁、扶養義務の範囲が狭いことと、無資力要件があるため取り戻せる額が限定されることが課題として挙げられています。債権者代位制度の実効性を検証すること、親等の無資力要件の適用について、家族の状況等を踏まえ柔軟に対応することを求めます。
新法案は、寄付を対象としたことで壺を売る等の売買には適用とならず、問題となっている霊感商法は現行の消費者契約法の取り消しでしか対応できません。今後の見直しの際には、広く心理的支配を作出及び利用することを禁ずる規定を刑法に定めることも視野に入れ、その際には、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律と関連づけることも併せて検討することを求めます。
さらに、法テラスの機能強化にあたっては、法テラスが利用者に負担を求める立替・償還制度となっており、困窮した配偶者や、未成年の信者3世などは利用しにくい状況にあります。給付制の導入など利用者の経済的負担を軽減するための実効的な対策を講じることを求めます。
最後に、献金をどう扱うかは、自分の財産の使い道は自分で決めるという基本的な財産権との衝突をどう回避していくかが大きな問題です。その中で、親の過度な献金によって修学旅行に行けない、奨学金まで献金され、進学の道が閉ざされるなど、子どもたちの不利益を確実に救済しなくてはなりません。
30年来政治が放置してきた旧統一教会の問題はこの法律が成立したからといってすべてが解決するわけではありません。今後、宗教法人法の改正による献金規制の在り方を議論し、中長期的にはカルト対策の検討会をつくり、本質的な問題解決に迫るための体制づくりが不可欠です。取り組みを前に進めていくことを求め私の討論といたします。
ご静聴ありがとうごさいました。