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ニュースリリース

【衆本会議】斎藤議員が「刑法等改正案」について質疑

 斎藤アレックス議員(衆議院議員/滋賀1区)は21日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で議題となった「刑法等の一部を改正する法律案」並びに「刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案」に対する質疑を行った。質疑の全文は以下のとおり。

「刑法等の一部を改正する法律案」並びに「刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案」に対する質問

令和4年4月21日
国民民主党・無所属クラブ
斎藤 アレックス

国民民主党の斎藤アレックスです。私は会派を代表して、ただいま議題となりました「刑法等の一部を改正する法律案」等について質問いたします。

私が大学に入学した 2004 年、米国のフェイスブックや、日本のミクシィといった SNS のサービスが始まり、それ以来そういったサービスとともに私も生活をしてきました。今日では、主要な SNS は世界で数十億を超すユーザー数を抱えるようになるなど、日々のコミュニケーションに欠かせない存在となりました。それは、私たち国会議員が行う日々の政治活動や選挙運動でも同様だと感じます。一方で、SNSなどのインターネットを介したコミュニケーションでは相手の顔が見えず匿名性が高いこと、情報拡散が容易なことなどから、社会問題を引き起こす例が相次いでいます。テレビ番組の出演者が誹謗(ひぼう)中傷を受けて自殺に追い込まれた事件は国内に衝撃を与え、こういった痛ましい事件を繰り返さないための規制などが必要だと私も感じます。

本法律案には、このようなインターネット上の誹謗中傷の社会問題化を踏まえて、侮辱罪の法定刑を引き上げる内容が含まれています。まず、法定刑を引き上げることがどのようにインターネット上での侮辱等の犯罪に対する抑止に繋がるのか、政府の認識をお聞かせください。

今回の侮辱罪の法定刑引上げに関する法制審議会刑事法部会での審議はわずか 2 回となっており、十分な議論が尽くされないまま法定刑の引き上げの方向性が決まったとの懸念がありますが、その懸念の声にはどうお答えになりますか。今回の法定刑の引き上げに関しては、通常の言論活動に対する委縮効果を生じさせないか、懸念の声があることも事実です。いま、ウクライナの人々は多大な犠牲を強いられながら、強固な意志でロシアからの侵略に抗っています。生命を賭して自国の自由や民主主義を独裁国家から守ろうとするウクライナの人々を見て、改めて我が国の自由や民主主義の基礎となっている言論の自由を擁護することの重要性を認識させられます。政府には、今回の法定刑の引き上げが正当な言論活動、例えば政治的な批判や評論行為については処罰の対象とならないとの明確な答弁を求めます。

同時に、SNS での誹謗中傷をなくしていくために、法定刑の引き上げのみでは十分な効果が上がらない可能性が高いと認識すべきだと思います。日本でも利用者の多い短文型のSNSである米国の「Twitter」社は、世界一の富豪となったイーロン・マスク氏から買収提案を現在受けており、マスク氏は Twitter のコンテンツ規制の緩和を目指しているとされています。国民の重要な表現、コミュニケーションの場となっているSNSですが、これらはあくまで民間の営利企業によって運営されており、企業の自主性に任せるだけでは、株主や経営陣の意向で、規制の在り方が、望ましくない姿に容易に変更させられてしまう危険性があることを、今回のマスク氏による買収騒動が示していると思います。誹謗中傷の拡散を防ぐための仕組みや規制を、SNSの運営会社側に義務付け、監視していく国の取り組みを強化していくべきだと思料いたしますが、政府の認識を伺います。

また、昨今では、インターネット上での人格も自分自身の個を形成する重要な一部となっていることなどに鑑みれば、SNS上での表現行為に関する知識などは、学校で行う「社会的自立と社会参画の力を育む教育」の極めて重要な要素であるはずです。また、真偽が疑わしい情報が容易に拡散するインターネットの特性を理解して、情報の取捨選択を行う力は、もはや全国民にとって必要な技能となっています。学校教育などを通じてSNSなどのインターネット上の言論空間との付き合い方を学ぶ、情報モラル教育やデジタル・シチズンシップ教育の取り組みを強化することが肝要だと思いますが、政府の認識を伺います。21 世紀の情報化社会においては、国民の言論の自由を擁護しつつ、インターネット上での誹謗中傷やストーカー行為など、犯罪行為を未然に防ぐための仕組みは、国民の生命と尊厳を守る上で益々重要になってきます。法定刑の引上げに安易に頼ることなく、あるべきSNSの規制や教育の取り組みなどを論じ、実現していくことを求めて、私の質問を終わります。

ありがとうございました。