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ニュースリリース

【参本会議】矢田副代表が「子ども・子育て支援法及び児童手当法改正案」について質疑

 矢田わか子副代表(参議院議員/全国比例)は12日、参議院本会議において、子ども・子育て支援法及び児童手当法改正案について質問しました。質問内容は以下の通り。

「子ども・子育て支援法及び児童手当法改正案」に対する代表質問

国民民主党・新緑風会  矢田わか子

 国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。会派を代表し、「子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案」に対し、質問いたします。

 今回提出された法案は、子育て支援のための環境整備という趣旨ではありますが、すでに、昨年春より、コロナ禍にあって出生数ならびに妊娠届出数は減少しています。また妊娠・出産したとしても、妊娠した母親の休業問題、産婦人科の受入体制、あるいは母親・父親学級の中止や産後のフォローの問題など、妊娠・出産・子育てに関する環境はますます厳しくなっています。

 単に保育所整備という待機児童問題への対応のみならず、必要な財源を確保して、国を挙げてトータルで子育てを支援していく体制こそが、今求められているのです。

 このような状況のもとで、子育てに関する二つの法案が束ねて国会審議にかかることになりましたが、幾つかの点で見過ごすことができないものがあり、以下、7点について坂本少子化担当大臣に質問いたします。

 まず、少子化問題を考える際には、日本は一体いつから、なぜ、子どもを産み育てることをあきらめなければならない国になってしまったのか、このことを明らかにしなければなりません。平成の時代に入り、女性の社会参加が飛躍的に進む中で、子育て期に女性が労働市場から離れ、子育てが終われば仕事に復帰するという、いわゆる「M字型カーブ」が緩(ゆる)やかになり、子どもを育てながら仕事を継続していく女性が増えました。

 しかし、社会における性別役割分担意識は根強く残り、家事や育児といった家庭責任は、大半が女性の肩に大きく「のしかかる」という状態が続いています。「日本の育児期の女性は、世界で一番、睡眠時間が短い」というデータもあるほど、子どもを持つことは過酷な生活を強いられる、ということでもあります。

 さらに、非正規労働が増加し、安定した雇用、安定した収入が得られない労働者が増えていく中で、結婚や出産・子どもを諦めてきた人も少なくありません。

 このような、子育て環境の問題、特に女性への負担が依然として過度になっている現状が少子化の一因にもなっていると考えますが、少子化担当大臣は、女性の雇用と生活についてどのような認識をもっておられるのか、ご見解を求めます。

 次に、今回、児童手当制度が改正されますが、児童手当の本来の目的について伺います。

 政府の「少子化社会対策大綱」においては、児童手当は、「子育てに関する支援」の一環とされており、ひいては、少子化対策としても位置付けられています。しかし、待機児童対策としての財源捻出を児童手当の支給制限によるという今回のやり方が本当に少子化対策に繋がるのでしょうか。実際、当事者である子育て世帯の多くがこの政策に反対しておられます。私の手元には、48198名を越える児童手当改正に反対する署名が届いています。

 この措置によって少子化がどのように改善されるのか、少子化担当大臣より、明確に立法事実と政策効果の見通しを説明いただきたいと思います。

 次に、待機児童対策の財源捻出の課題について伺います。

 わが国の子育て関連予算は、令和2年度で5.9兆円しかなく、GDPに占める割合はたった1%に過ぎず、OECD加盟国の中でも最下位です。そもそも子育て予算については、主として一般会計より拠出すべきだと考えますが、今回のように、児童手当の財源を削って、これを回すというやり方では、子育て予算の全体額が増える方向には進みません。

 政府は、「新子育て安心プラン」において、保育の受け皿確保で、令和7年度までに必要な追加予算として1,440億円を確保するとされています。このうち0~2歳児相当分の約1,000億円については事業主拠出金を充てますが、それでも440億円の不足分が生じるとし、児童手当特例給付の見直しによって財源を捻出しようとしています。しかし、これにより捻出される財源は370億円しかならず、残りの不足分をどのように捻出されるのか、大臣より説明をお願いします。

 次に、幼児教育無償化などに関する所得制限の問題について質問します。近年、導入された「0~2歳児の保育料無償化」や「高等教育における入学金や授業料の減免措置」は、子ども2人の世帯で、夫婦合算270万円以下の低所得者層を対象とした政策であり、中間所得者の多くは対象外となっています。本年3月15日の予算委員会でも、私は、この中間層には配慮されない所得制限の問題を指摘させていただきましたが、菅総理大臣からは、「制度のはざまにある部分についてもしっかりと検討していきたい」との答弁がありました。

 少子化対策のためにも、本来、子どもを産み・育てる潜在力をもっている中間層への支援について、所得制限の見直しと、保育・教育費の軽減化に繋がるトータルパッケージ政策を打ち出す必要があると考えますが、総理大臣の答弁も踏まえ、坂本大臣のご見解をお願いします。

 次に、具体的に児童手当の所得制限の在り方について質問します。

 2010年、民主党政権下において、少子化の解消に向けて、「社会全体で子育てを支援する」という理念のもとに、児童手当の所得制限をすべて外した「子ども手当制度」が施行されました。また、この時に財源対策として年少扶養控除が廃止されましたが、トータルとして家計収入は増えることになりました。しかし、この後、所得制限を伴う児童手当制度が復活しましたが、年少扶養控除の撤廃は継続されたままとなりました。これによる家計への影響は所得階層毎に違ってきますが、所得制限を強めるのであれば、年少扶養控除は復活すべきです。政府としては、今回の法改正を含め、負担と給付の関係を試算され、国民に公表して理解を求めるべきであると考えますが、大臣の見解を伺います。

 関連して、特例給付の改正について伺います。2012年の児童手当制度の改正において、所得制限により、標準世帯においては、どちらかの親の年収が 960万円以上の世帯には児童手当の給付が停止されました。それに代わりに、特例給付として一律5,000円の支給が決められました。この特例給付の支給の目的は何だったのでしょうか。その際の一律5,000円という給付額を決めた根拠と併せ、大臣より説明をいただきたいと思います。

 少子化対策大綱において、児童手当は、「多子世帯や子供の年齢の応じた給付の拡充、重点化が必要」と指摘しています。当然の意見ですが、政府は、児童手当の目的を、「児童の養育に伴う家計の経済的負担を社会的に分担すること」としています。

 私どもは、児童手当の政策目的は、低所得世帯だけではなく、高所得世帯を含むすべての家庭に及ぶものと考えます。現在、税制や社会保険制度で一定の所得再分配がすでに機能していますが、児童手当をはじめ、子育て制度において所得制限を厳しく適用すれば、さらなる可処分所得の低下を招き、労働意欲にも影響することにもなります。今回の改正は、少子化対策の目的との整合性がとれているものとは思えません。大臣の見解を伺います。

 2015年、安倍政権は危機的な少子化の打開に向けて「希望出生率1.8」を掲げました。しかし「子供はほしい。でも育てるにはお金がかかる」、こういった言葉を何度、聞いたことでしょう。1日も早く、子どもを持ちたいと願う人が、ちゅうちょすることなく、子どもを育てる 社会にしなければなりません。

 一人親もふたり親も、また親の所得には関係なく、「子育て世帯を社会全体で支える」。この思いを皆さんと共有したいと思います。

 最後に、今回の法改正に対する審議が、少子化問題を解決するための充実した議論となることを期待し、私からの代表質問といたします。