ニュースリリース
【参本会議】矢田わか子副代表が新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案に対して質問
国民民主党の矢田わか子議員(参議院議員/全国比例)は2日、国民民主党・新緑風会を代表し、新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案に対する質疑に立ちました。
ダイジェスト動画及び質問全文は以下の通り。
「新型インフルエンザ等対策特別措置法等改正案」に対する代表質問
国民民主党・新緑風会 矢田わか子
国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。会派を代表し、「新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案」に対して質問いたします。
まず、質問の前に、新型コロナウイルス感染により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、現在、療養中の方々の1日も早いご快復をお祈り申し上げます。
また、この瞬間も医療現場などで懸命に命と向き合っていただいている医療機関・保健所関係者の皆様に心からの感謝を申し上げます。
政府は、1年にわたり感染症対策を講じてきましたが、今なお、多くの方々が、コロナ感染の不安におびえ、また経営難に陥り、日々の生活も苦しい状況に置かれています。
今回の法改正が、真に、この状況を打破し、感染拡大を食い止め、日常を取り戻すことができるのか、そのような国民の皆様の思いに添いながら、質疑をいたします。
まず、これまでのコロナ対策の総括について3点伺います。
政府は、昨年8月の「新型コロナウイルス感染症対策本部」において、冬季期間の感染拡大に備え、医療供給体制や検査体制を拡充する「今後の取組み方針」を決定しましたが、この方針を着実に実行していれば、現在のような深刻な状況は、回避できたと思われます。
これは、政治が本来の役割を果たし切れていないということであり、私たちはこの現状を猛省せねばなりません。この国のリーダー、菅総理のご認識をお聞かせ下さい。
次に雇用対策について伺います。
コロナによる失業者は政府統計で8万人を超え、雇用への影響は甚大です。ある民間調査によると、パートなどで仕事が半分以下、または休業手当の出ていない方は女性だけで90万人にのぼるとされ、非正規労働者や女性労働者を中心に深刻な影響が出ています。
そこで提案します。今後、ワクチン接種の開始などに伴い、保健所業務などではさらなる人手不足が予測されます。また生活難の方々への公的相談窓口の強化も必須です。このような公的部門で積極的に失業者を採用していくことも一つの有効な雇用対策になると考えますが、いかがでしょうか。これまでの雇用対策の評価・総括とともに、厚生労働大臣の見解を伺います。
3点目に、補償措置制度の継続について伺います。
昨年、政府は、感染症により経済的な影響を受ける国民、事業者に対して様々な補償措置を設けましたが、そのほとんどは1度きりの支給や、対象期間の期限が迫っているものもあります。
たとえば「休業支援金・給付金」、「小学校休業等対応助成金」、「妊婦の休業補償」などの制度は、4月以降も継続する必要があります。
また、これらの助成金は利用率が極めて低いことを踏まえ、周知徹底とともに、個人申請化を進めるなど、利用時に障害となっている手続き的な問題の改善が必要と考えます。
雇用調整助成金の特例措置も含め、大幅な延長が必要であり、これらの制度改善と支援の延長について厚労大臣の見解をお願いします。
次に、「特措法改正案」について4点伺います。
まず、新設される「まん延防止等重点措置」ですが、この措置は、国民の行動や経済活動に関わる「私権の制限」が行われるという意味で、緊急事態宣言下と変わらないにもかかわらず、国会への報告義務や、国として専門家の意見を聴くという科学的客観性を担保するプロセスがありません。
また、この措置の発令要件は、政令で定められることとなっており、現在、何ら明確になっていません。このような重要な法改正をする場合は、予定する政令の内容も同時に明確にすべきです。
私権制限に関わる重要な政策の遂行に関しては、議会による民主的な統制が不可欠であり、時の政権の裁量により、過度な権限行使が行われる懸念も出てきます。国として、この新たな予防的措置がなぜ必要となるのか、その理由とともに、今、指摘した民主的統制と科学的客観性の確保に関する懸念について西村大臣の見解を求めます。
2点目に病床確保のための施策について伺います。
現在、感染が判明した多くの方が、入院先や宿泊療養先が見つからず、自宅待機状態になっており、東京都だけでも、その人数は約4,200人もおられます。昨年12月から今年1月までの間で、自宅で亡くなられた感染者は29名でしたが、このうち調整中の方が10名もおられます。まさに、医療供給体制の整備、加えて療養先の調整業務や、自宅療養者のフォロー業務を担う保健所の体制強化は喫緊の課題です。
政府は、昨年末、感染患者の病床を増設する場合、補助金を増額することを決めましたが、実際には、人材確保やICUの整備などの課題もあり、民間の医療機関や大学病院で感染患者の受入れが進むのかは非常に不透明な状況です。
現行の特措法第31条3項は「医療関係者に対し、患者等に対する医療等を行うべきことを指示することができる」と規定していますが、実際に指示されたことは一度もなく、この条文で指示ができないのであれば、まずはひっ迫する病床確保に関し実効性ある法改正を行うべきと考えますが、厚労大臣と西村大臣の見解を求めます。
3点目に、「営業制限と補償」について伺います。
国民民主党は、店舗や事業の休業や操業時間の短縮など国民の協力を求める場合は、万全な補償をセットで盛り込むべきとの考えを主張し続けてきました。
今回の改正案では、営業時間短縮などの要請・命令に従わない場合の罰則が明文化されましたが、罰則を設けるからには、営業制限によって逸失する利益に対し、十分な補償措置をとるべきです。
条文上、罰則規定は明確ですが、補償については「必要な財政上の措置、その他の必要な措置を効果的に講ずるものとする」と、極めて抽象的な記述になっており、これでは全くバランスがとれていません。
補償に関しては、事業者が倒産することなく、事業の継続と従業員の雇用が守られる補償水準の確保が必要です。財政上の措置の基準を明確にし、国と地方公共団体がこの点に責任を持つことを国民の前に示す必要があると考えますが、総理大臣のご見解を求めます。
4点目として一律の協力金に関して伺います。
現在、緊急事態宣言下にある都府県では、飲食業で時短要請に応じた事業者に「一律1日最大6万円」の協力金が支給されています。しかし、この措置は飲食業に限定され、納入業者などの関連業種には、一部、協力金が出されますが、その他の業種には何らの補償もありません。
苦しいのは飲食店だけではありません。売上の落ち込みはありとあらゆる業種の店舗に及んでおり、営業時間の短縮に応じている他業種店舗から不満の声が出ています。
さらに、飲食店でも、事業規模によってかかる経費は当然異なり、一律協力金のみでは損失補填に至らず、経営危機に直面する店舗が出ています。
東京商工リサーチが昨年12月に実施した調査では、「このままの感染状況が続けば、飲食店の32%が廃業を検討する」という結果が出ています。
昨年の持続化給付金の申請手続きでは、確定申告書や売上台帳の提出がありましたが、これに加え「従業員名簿」があれば、それぞれの事業規模を把握することができ、段階的な協力金を支給できるはずです。罰則の前に、事業規模に応じた協力金の支給は必須要件だと思いますが、総理の見解を伺いたいと思います。
次に、感染症法改正について、伺います。
まず、罰則に関してです。改正案では、感染者がホテル等における宿泊療養の要請に応じない場合、都道府県知事は「入院勧告」し、この要請に応じない場合は罰則が与えられます。
この罰則は、刑事罰から行政罰に修正されましたが、宿泊療養や入院勧告に応じないことにも、さまざまな理由が発生する可能性があり、行政罰といえども、悪質なケースに絞るなど慎重に運用すべきと考えます。
この罰則は、刑事罰から行政罰に修正されましたが、宿泊療養や入院勧告に応じないことにも、さまざまな理由が発生する可能性があり、行政罰といえども、悪質なケースに絞るなど慎重に運用すべきと考えます。
二つ目は、宿泊療養における感染者の安心を確保するための管理体制の課題です。ホテル療養等に対する便益を高め、健康管理を強化することによって、感染者による協力へのインセンティブを高めることができると考えます。
例えば、療養者には、スマートフォンとデータ連携できるパルスオキシメータを配布し、クラウド等を利用して医師・看護師や保健師が一括管理すれば、管理する側の作業量削減にもつながり、療養者側も容体の急変時にも即座の対応が可能となります。厚労大臣の見解を求めます。
以上、9項目について質問いたしましたが、今回の法案における不明点、疑問点は多岐にわたっております。国民のみなさんにとっても、疑問や不安が残らぬよう、政府として説明責任を果たされることを要望いたします。
一日も早い感染症の封じ込めに向けて、与野党を超えて知恵を出し合うことが大事です。国民民主党としても全力を尽くすことをお誓いし、代表質問を終わります。