ニュースリリース
【参本会議】榛葉幹事長が「宅地造成等規制法の一部を改正する法律案」について質疑
榛葉賀津也幹事長(参議院議員/静岡県)は11日、国民民主党を代表し、参議院本会議で議題となった「宅地造成等規制法の一部を改正する法律案」に対する質疑を行った。質疑の全文は以下のとおり。
宅地造成等規制法等改正案 質問
令和4年 5月11日
国民民主党・新緑風会 榛葉賀津也
私は、国民民主党、新緑風会を代表して、ただいま議題となりました「宅地造成等規制法の一部を改正する法律案」に対し、政府に質問します。
昨年7月、静岡県熱海市において、大雨によって盛り土が崩落し、土石流が発生、死者・行方不明者28名、住宅被害98棟の甚大な被害が発生しました。改めて被害に遭われた皆様に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。今回の熱海市の土石流災害に関して、静岡県は、「発生原因究明作業チーム」と「行政手続き確認作業チーム」を設置し、原因と責任の解明に取り組んだと承知しています。そこで、熱海市の盛り土崩落による被災地の復旧、復興状況を斉藤大臣に伺います。また、2つの作業チームによって、どのような課題や今後の教訓を得たのか斉藤大臣の説明を求めます。
建設工事で発生した土砂、いわゆる「建設発生土」について、国は、廃棄物処理法における「廃棄物」には該当しないとしており、一部は、山間部の埋め立てや農地のかさ上げを理由に無秩序に投棄され、1980年代からすでに問題となっていました。その為、建設発生土の持込みを、首長の許可制にするなどの規制を盛り込んだ条例は、1980年に千葉県市川市が、全国で始めて制定し、これまで26都府県、419市町村で制定されています。このように、建設発生土による不適切な盛り土は、以前から全国で問題になっていましたが、何故、これまで国が規制する法律を作らず、各自治体の条例で対応してきたのか、斉藤大臣の見解を伺います。
国は、熱海の盛り土災害を受けて、全国で約3万6千カ所の盛り土の総点検を行い、昨年度末には、点検が概ね完了したと聞いています。危険な盛り土が、全国にいくつあるのか、早期に危険箇所を把握し、危険防止工事の優先順位リストを作成すべきと考えますが、斉藤大臣の見解を伺います。また、危険防止工事は誰が行うのか、財源は誰が負担するのか、すでにある盛り土に対し、今回の法改正が適用されるのかについても、併せてお答え下さい。
建設現場から出る「建設副産物」は、「建設発生土」の他、有償で売却できる金属くず等の「有価物」や、がれきや木くず等の、「建設廃棄物」に分けられます。
建設廃棄物は、廃棄物処理法で厳しく規制されますが、建設発生土は、再利用できる資源として、廃棄物処理法の規制の対象外となっています。しかしながら、建設発生土には、産業廃棄物の混入や条例違反など、不適切処理が相次いでいます。専門家も、建設発生土についても、産業廃棄物と同様に、事業者に「産業廃棄物管理票」、いわゆるマニフェストで、建設発生土の排出先から最終処分先までの履歴を義務付けることが必要、としています。国として、建設発生土の適正処理の最終的な責任主体が、「排出事業者」にあることを法的に明確化すべきと考えますが、斉藤大臣の見解を伺います。
建設発生土による盛り土の規制については、災害防止と環境汚染の両面で対応することが必要です。
今回の改正では、災害防止を踏まえた盛り土方法に関しては、必要な措置は講じられているものの、使われる土砂に対する環境基準が定められていません。これまでも、盛り土の土壌や排水から、有害物質が環境基準を超えて検出されたり、周辺の河川に流出するなどの事案が発生しています。盛り土に使われる土砂の環境基準をも明確にすべきと考えますが、斉藤大臣の見解を伺います。
今回の法改正によって、盛り土の安全性確保の観点から、安全基準の設定、施工状況の定期報告や施工中の中間検査、工事完了時の完了検査が実施されます。こうした対策に加えて、計画違反の盛り土を防止し、事業者の遵法意識を高めるための手段として、安全基準への対応状況、建設発生土の搬入や堆積状況について、周辺の住民等に対して、事業者に情報開示させる仕組みの導入を提案いたします。事業者による積極的な情報開示に対する斉藤大臣の見解を伺います。
大型公共事業や国土強靭化基本計画に基づく河川の浚渫工事などによる2021年度から25年度の各年度の掘削量は、20年度比約1、7倍の1500万立方メートルに拡大する計画であり、建設発生土の適正処理は、大きな課題となっています。このように今後発生する建設発生土の最終処分地を、どのように考えているのか、また、建設発生土の抑制、減量させるために、国や民間事業者等は、どのような対応を行っているのか、斉藤大臣にお伺いします。
今回の法改正によって、違法な盛り土への、都道府県知事等からの改善命令等に対し、造成主や土地所有者等が、期限までに対策を実施しない場合には、都道府県知事等が、代執行できるようになります。こうした行政代執行を行う場合、国が地方自治体の負担を軽減するため、財政支援を行う仕組みを整備すべきと考えますが、斉藤大臣の見解を伺います。また、罰則については、条例による「懲役2年以下、罰金100万円以下」という上限よりも強化するとともに、「法人重科」を措置するとしています。罰則の具体的な内容と、これらの措置によって実効性を高める事ができるとお考えなのか、斉藤大臣の見解を伺います。
地方自治体が、違法な盛り土に対応していくためには、専門的な知識や人員の確保が、必要不可欠です。
また、これまでの地方自治体独自の条例では、違反事業者に対する強い措置命令を出すことができず、行政指導を繰り返す傾向にあります。このような課題を踏まえ、各自治体における盛り土対応への人材確保や体制の強化、実効性を高める行政指導ができるよう、国からの支援が大切と考えますが、斉藤大臣の見解を伺います。
今回の法改正は、土地の用途、宅地、森林、農地等に関わらず、危険な盛り土を全国一律の基準で包括的に規制する事が可能になります。また、国土交通省と農林水産省との共管法として、両省が緊密に連携して対応していく方針です。今回の法改正で、両省の共管法とするに至った理由や課題認識と、今後、危険な盛り土等に対して、両省が具体的にどのように連携していくのか、国土交通大臣、農林水産大臣のご所見を伺います。
最後に、危険な盛り土等に対して、万全の対策を行い、二度と熱海市のような盛り土災害を起こさない、起こしてはならない、このことを国に強く求め、質問を終わります。ありがとうございました。