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ニュースリリース

【衆本会議】山尾議員が「日英EPA」について質疑

 山尾志桜里議員(衆議院議員/東京比例)は12日、「日英EPA(日英包括的経済連携協定)」について、国民民主党・無所属クラブを代表し衆議院本会議での質疑に立ちました。質疑の全文は以下のとおり。

令和2年11月12日

国民民主党・無所属クラブ
山尾志桜里

【冒頭】

 国民民主党・無所属クラブの山尾志桜里です。会派を代表して、ただいま議題となりました日英包括的経済連携協定について、農業分野を除き茂木外務大臣に質問いたします。

【日米関係】

 冒頭、バイデン氏を次の大統領に迎えることとなったアメリカとの関係について1点伺います。茂木大臣は昨日(11月11日)外務委員会で「日米同盟を更に強化」すると発言されました。日米同盟の強化は重要です。その上で日米同盟の強化は「日本と米国の対等性の強化」ひいては「日本という国家の自律の強化」へとつなげるべきだと考えます。安倍政権は、集団的自衛権の一部容認というカードを切ったにも関わらず日米地位協定を改定することができませんでした。この路線を継承した場合、日米同盟の強化がむしろ日米の主従関係の強化・固定化につながってしまうことを危惧します。菅政権は、日米関係に関しても安倍政権の路線を継承するのでしょうか。また、新政権では「日米の対等性の強化」そして「日本という国家の自律の強化」に向けて日米関係をどうかじ取りしていくのか、お聞かせください。

【日英EPA】

 日英関係は、人権・民主主義・法の支配という普遍的価値観を共通にしているだけでなく、島国という地政学上の共通項をもち、「皇室」「王室」の存在と議院内閣制によって権力の安定・均衡を保つという統治機構上の類似性をも有しています。国際的な課題に対して、共通の価値観や類似の手法を持って取り組みやすい重要な二国間関係です。

 今回のEPA交渉は、EU離脱という英国側の事情が契機となったこともあって、しっかり日本の国益を守り一部拡大することができました。また英国にとっても、EU離脱後初めて主要国と本格的な貿易協定を締結できたというメリットがありました。それぞれの優先事項を基本的に充たすことができ、日英関係の健全な強化へとつながったことを評価したいと思います。

 その上で、個別の項目について質問します。

【デジタル】

 デジタル分野については、外国企業に対して自国へのサーバ設置を要求したり、暗号情報やアルゴリズムの開示を要求することが禁止されました。この重要なルールを定めるにあたり、現実に外国企業に対してこのような要求をする国家や事例を把握しているのか、把握しているならどういった事例があったのかお答えください。その上で、今回盛り込まれた高水準のデジタル原則は、中国もメンバーであるRCEPにも盛り込まれる予定なのか、日本としていかなる交渉努力をしているのかについてもお答えください。デジタルの世界でも国家権威主義的な動きがみられるなか、個人の人権を土台にした人間中心のデジタル原則を国際標準として設定していくことは極めて重要です。

【ジェンダー】

 この協定には、日EU・EPAにはなかった「貿易及び女性の経済的エンパワーメント」という新たな章が入りました。働く女性へのリップサービスに終わらせず、ぜひ行動へとつなげて頂きたいという観点から2つ質問です。

一つ目。1条2項には「国際貿易において存在し得る女性に対する制度的な障害」とありますが、これは何を想定しているのでしょうか。その具体例と解決策を伺います。二つ目。3条には「作業部会」は「女性の包括的な参加を得て行われる」とありますが、数値を具体化するべきです。日本側のこの作業部会メンバーとして何%を女性にする予定でしょうか。またその他の作業部会においてもジェンダーバランスを具体的にどう考慮する予定なのか、お聞かせください。

【農林水産品・農業協力】

 つぎに農業分野として、古くはチャーチルも関心を持っていたと言われるいわゆる「培養肉」についてです。細胞農業技術によって家畜の細胞を培養し肉を作り出すもので、各国が技術開発を進めています。既存の畜産との連携や共存の在り方にも目配りしつつ、潜在的成長分野として日本も検討を進めていくことが考えられますが、今回の協定ではこの「培養肉」については、どのような議論があり、どんな扱いとなっているのでしょうか。野上農林水産大臣に伺います。

【日英パートナーシップの拡大】

 最後に日英パートナーシップの拡大の観点から、いわゆるマグニツキキー法について伺います。「自由で開かれたインド太平洋」の実現という考え方は、英国を含む欧州にまで広がりつつあり、各国との連携が極めて重要であることについて、茂木大臣と認識は同じです。しかし、これまでの連携の重点は主に安全保障や経済の側面に置かれており、インド太平洋地域における人権の保護や民主主義の促進など価値観外交が不十分ではないでしょうか。

 現在、国際社会では、深刻な人権侵害に対してビザ規制や資産凍結といった制裁を発動する「マグニツキー法」の制定が拡大しています。英国・アメリカ・カナダでは制定済、オーストラリア・スイスでは検討が進み、EUでは成立まで秒読み段階です。しかし日本には、人権侵害を直接の理由にした制裁を行う仕組みがありません。英国を含め人権国家の標準装備となりつつあるマグニツキー法を日本でも制定すべきと考えますがいかがでしょうか。実力あるアジアの人権国家日本の外務大臣として、前向きな答弁を期待して質問を終わります。

以上