2020.10.30-国会

【参本会議】小林正夫議員が「菅総理大臣所信表明演説」について質疑

 小林正夫参議院会長(参議院議員/全国比例)は10月30日、「菅内閣総理大臣所信表明演説」に対して、国民民主党・新緑風会を代表し参議院本会議での質疑に立った。質疑の全文は以下のとおり。

菅義偉内閣総理大臣所信表明演説に対する質疑

令和2年10月30日

国民民主党・新緑風会
小林正夫

 国民民主党・新緑風会の小林正夫です。私は会派を代表して、菅内閣の所信表明に対し、総理大臣並びに関係大臣に質問いたします。
 私たち国民民主党は、幅広い国民の思いを実現する「現実的な政策提案型の改革中道路線」を歩むものです。真に国民のためになるべく、さまざまな課題に対し正面から議論をしてまいります。この姿勢こそが、今の政治に求められる役割であると申し上げ、質問に入ります。

(政権運営)

 菅総理大臣の政権運営のあり方についてお伺いします。菅総理は就任後初めての記者会見で、自分の使命は安倍政権の取り組みを継承して前に進めていくことであるとの決意を示しておられます。
 安倍前総理は2012年(平成24年)12月の第二次安倍内閣発足以来、アベノミクスを掲げ、経済再生とデフレ脱却に取り組んでこられました。戦後二番目の長さと言われる景気回復に支えられて、「三本の矢」を始め、女性活躍、働き方改革、地方創生、「新三本の矢」、一億総活躍、人づくり革命、全世代型社会保障など多くの施策を繰り広げてこられました。たしかにこの間、株価は上昇し、完全失業率も低下してまいりました。しかし、安倍前総理が取り組もうとしたこれらの政策はそれぞれが実現したと言えるのでしょうか。立て続けに打ち出すキャッチコピーは勇ましく、「取り組んでいる感」があるものの、どれもがかけ声倒れに終わっているのではありませんか。また、内閣府が7月に公表した年央試算では、2020年度(令和2年度)の実質GDP成長率はマイナス4.5%の見通しです。この見通しを達成するのでさえ、かなり厳しいのではありませんか。その様な中で、総理に、具体的に安倍政権の何を引き継ぎ、どのように取り組んでいくのかお伺いします。
 国会での議論を避ける、国民への説明責任を果たさないという安倍前総理の姿勢を継承するということはあり得ないと思います。政権運営のあり方について総理のご所見をうかがいます。
 併せて伺います。日本学術会議の会員候補6人に対する任命拒否の理由は明らかにすべきであり、国民への説明責任を果たしていません。任命拒否の理由は何ですか。明快にお答えください。
 憲法は国家像を示す大切な規範です。1947年(昭和22年)5月3日に日本国憲法が施行されました。戦後から高度成長を経て今は新型コロナウイルス感染で新たな日常を模索する時代にあり、大きく社会が変化をしています。私は憲法の施行と同じ年の5月に生まれ今年73歳になり、社会の変化を実感しています。
 私たちの生活は科学、技術の進歩とともに未来に続いていきます。国民民主党は、大切な理念を守りつつ、未来志向の憲法について議論することは必要だと考えます。安倍路線の継承を公言する総理ですが、憲法論議についても、自身で改憲提案をするなど、総理として極めて前のめりだった安倍路線を継承するのでしょうか。総理の憲法改正に対する基本姿勢について伺います。
 これまで、与野党超えて賛成の声が多いのにもかかわらず、国会での論議が進んでいない選択的夫婦別姓について伺います。私たちは以前から選択的夫婦別姓を導入する民法改正案を提出し続けており、先日10月21日には女性活躍担当大臣を訪れ、選択的夫婦別姓制度の実現に向け要請を行いました。最近では、自民党内でも議論する作業チームが設置されると伺っています。少子化対策、人権面、女性活躍、子どもの教育面、さまざまなところで問題が生じている現状を捉え、速やかに民法改正に向けて動き出すべきだと考えます。総理のご所見を伺います。
 総理は、行政の縦割りの打破や、不妊治療の保険適用の拡大の検討、携帯電話料金の引き下げの検討を指示するなど、相次いで新しい施策を打ち出し、「国民のために働く内閣」と自負しています。一つ一つの施策は示されるのですが、総理の国家観、我が国をどのような国にしたいのか、総理がどのような社会を実現したいのかが見えてまいりません。私たち国民民主党は「人への投資」を重視して、公正な再分配によって理不尽な格差をなくす社会を目指しています。総理は、「自助・共助・公助、そして絆」が国の基本であると語っておられます。まず自分でがんばりなさい、そして共に助け合ってください、それが難しければ公が助けますよと言うのが、総理の目指す国家像なのでしょうか。総理は、国はどうあるべきと考えているのですか、いかなる社会にしていきたいのですか、ご所見を伺います。

(経済対策)

 経済対策についてお聞きします。安倍前総理は、金融政策、財政政策、成長戦略を「三本の矢」とするアベノミクスを進めてこられました。しかし、第3の矢である成長戦略は十分成果が表れていないのではないでしょうか。これからコロナと共存していく中で、総理はどのような方針を持って経済政策を行っていかれるのでしょうか。経済政策の方向性と基本的考え方についてお伺いします。
 新型コロナウイルスのために冷え込んだ消費需要を喚起するため、7月に政府のGo To トラベル事業が始まりました。また、外食産業の需要を喚起するためにGo To イート事業も始まりました。こうした事業によって観光地に人が戻り、閑散としていた飲食店も賑わいを徐々に取り戻していますが、その一方で、人の動きが活発になって、日々多数の新規感染者数が報告されています。Go To トラベルでは事業の恩恵が高い価格の宿泊施設事業者に偏っていることなども指摘され、経済効果を評価する一方で、感染予防や公平性の観点からも多くの問題が指摘されています。総理にお伺いします。Go To キャンペーン事業による経済の活性化、消費の喚起と感染拡大の防止は、これまでうまくいっているとお考えですか、ご認識をお聞かせください。また、人の動きや、人と人との接触が拡大していく中で、感染拡大をどうやって押さえ込んでいくのでしょうか、併せて伺います。
 企業活動が停滞して、多くの企業が売上の減少、資金繰りに苦しんでいます。特にその影響は中小企業に対して強く出ています。日銀短観によると中小企業の資金繰り判断は、昨年12月調査のプラス11が、今年6月調査ではマイナス1と急速に悪化しています。足下の9月調査ではプラス2と下げ止まりの動きを見せていますが、今後のウイルス感染の状況によっては予断を許しません。企業の資金繰りを下支えしてきた持続化給付金や家賃支援給付金等の資金繰り支援策が、今後も切れ目なく実施されることが期待されています。企業の資金繰り支援は今後どのように行われるのか、総理のお考えをお聞きします。併せて、財源として新型コロナウイルス感染症対策予備費で対応しきれるのか、第三次補正予算の編成が必要になってくるのか、見通しについてもお答えください。
 厳しい経営状況にある中小企業は、持続化給付金などによって当面の応急措置は施されています。しかしながら、新型コロナウイルスの収束はいまだ見通せず、将来に対する不安が払拭できていないのが実態です。こうした中で総理は、中小企業の統合・再編を促す考えを明らかにされております。中小企業の経営体質を強化するためには、コロナ後の新しい生活様式に対応したビジネスモデルの開発や、新たな業態に挑戦する支援が求められています。アフター・コロナに向けて、中小企業の統合・再編を通した生産性の向上や技術開発、人材育成・能力開発などに対して、どのような施策を実施し、企業の持つ資金や人材などの資源を配分していくお考えか、総理に伺います。

(新型コロナウィルス対策)

 新型コロナウイルス対策について伺います。新型コロナウイルス感染症の拡大によって、医療提供体制に問題が生じています。感染症患者の受入れ可能なベッド数が限界に近づく医療機関が増え、医師や看護師などの医療従事者は極度の緊張の中で不眠不休の対応を迫られ、その状況は今日も続いています。一般入院患者の受入制限や感染を懸念する受診者の減少など、コロナ治療で頑張れば頑張るほど病院の経営が悪化し、労働条件が切り下げられるなど、医療機関の経営と働く環境は厳しい状況に置かれています。新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金や新型コロナウイルス感染症対策予備費も活用されていますが、十分な医療提供が行われにくくなっている現状があります。診療報酬の見直しや補助金の拡充などが行われていますが、これで十分との認識でしょうか。地域医療を守り、適切な医療提供体制を維持していくためにどのような政策を展開していかれるのか、総理にお伺いします。
 世界各国でコロナウイルスのワクチン開発が進められています。ワクチンについて総理は所信表明で「安全性、有効性の確認を最優先に、来年前半までに全ての国民に提供できる数量を確保し、高齢者、基礎疾患のある方々、医療従者を優先して、無料で接種できるようにします」と述べられました。しかし、ワクチンが実用化されても安全性への疑問や健康被害等を心配し、接種をためらう人がいると言われています。いかにして国民に安心してワクチンを接種してもらうようにするのか、総理のお考えをお聞きします。
 10月から、ビジネス上必要な人材や留学生等について外国人の入国制限が緩和され、今後も徐々に入国制限の緩和を進めていく方針と伺っていますが、ヨーロッパ諸国においては感染が再拡大しています。海外との人の移動の拡大が、我が国の感染拡大につながらないようにどのような施策を講じるお考えですか、総理にお聞きします。

(雇用・労働対策)

 雇用、労働対策についてお聞きします。新型コロナウイルスの影響で解雇や契約更新されない雇止めなどで仕事を失った人は厚生労働省の調べによると全国で66,000人を超えています。実際にはもっと多いとも言われています。企業の業績が悪化する中で、雇用を下支えするために雇用調整助成金の助成率引上げや助成対象の拡大という特例措置が採られています。これらの措置は年末までの時限的なものとされていますが、8月の完全失業率が3年3か月ぶりに3%台に上昇するなど、足下で雇用の悪化が顕著となっており、特例措置の延長が必要と考えます。景気の本格的な回復が見通せない中で、特例措置を打ち切ることは雇用の切り捨て、失業の大幅な増加につながることが懸念されます。雇用を守るために、政府は今後いかなる対応を取っていくのか、総理のご所見をお伺いします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大で、非正規労働者の雇用環境が悪化し、非正規労働の方の数は、本年3月以降6か月連続で前年を下回り、8月は昨年に比べて120万人も減少しています。雇用調整助成金の非正規雇用者への支給対象の拡大などの施策も講じられていますが、コロナ感染の先行きが見通せない中で、非正規の方々の不安は募るばかりです。不安定な立場に置かれている非正規労働者の雇用環境の改善は緊喫の課題です。同一労働同一賃金の実効性を確保し、安心して働ける環境を整備するように一層の取組みが必要と考えています。総理のご所見を伺います。
 新型コロナウイルスは、私たちの働き方にも大きな影響を及ぼしています。「3密」を避け、通勤時の感染のリスクを減らすために多くの企業が、在宅勤務やテレワークの実施に踏み切りました。その経験は、住むところと事業所が遠く離れていても業務ができることに繋がり、一部では単身赴任が解消されるなど、働き方が大きく変わってきています。他方、職場を離れることが出来ない職種もあります。政府は「働き方改革」を進めていますが、コロナ禍が続く中で、また、人工知能や膨大なデータを収集する技術の活用で、人が働く場を失うと心配する声もある中で、わが国はどのような働き方を目指すのか、総理のご所見を伺います。
 労働安全衛生法第23条の中では、事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、換気、採光、照明などについて必要な措置を講じなければならない、としています。在宅勤務やテレワークが拡大されていますが、作業する場所は果たしてこの労働安全衛生法第23条が守られているのでしょうか。環境が整わない中で作業を行っている人も多いのではないかと心配します。厚生労働大臣のご認識と、法に示された環境の確保にどう取り組むのか、厚生労働大臣にお聞きします。
 私は「国力の源は労働にあり」と考えています。労働災害が起きない作業環境をつくることが何よりも大事です。昨年は労働災害で亡くなった人が845人で一昨年より64人減少しましたが、この5年間で4,500人以上が尊い命を失っており、一日当たり2人から3人亡くなっています。政府が率先して「安全は、命は、すべてに優先する」視点で、労働災害の防止対策を講じることが喫緊の課題であると、厚生労働大臣と共有できるか伺います。現在、さまざまな企業で人工知能や、膨大なデータを収集する技術を使って、労働災害を未然に防ぐシステムや機器が開発されています。国として開発側の企業と導入側の事業者に支援をして、踏み込んだ労働災害防止対策を進める施策もあると思います。厚生労働大臣に労働災害撲滅に取り組む決意を伺います。

(エネルギーの安全保障)

 エネルギーの安全保障についてお聞きします。天然資源に乏しい我が国のエネルギー自給率は2018年度11.8%です。命や生活や産業を維持していくために、エネルギーの安全保障は極めて大事です。10月13日に総合資源エネルギー調査会に於いて、エネルギー基本計画の見直し論議が始まりました。総理は所信表明の中で、「安定的なエネルギー供給を確立します」と述べられました。更なる文化的生活や第五世代移動通信システム、電気自動車の普及等を目指す社会は、質の高い電力の安定した供給がなければ成り立ちません。総理は電源構成のベストミックスはどうあるべきとお考えかお聞きします。経済産業大臣にはエネルギー基本計画の見直しに対する姿勢をお伺いします。

 国民民主党は、改革中道の立ち位置で、現実的政策に取り組み、提案型の政党として頑張ることを申し上げ、質問を終わります。

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