国民民主党 つくろう、新しい答え。

ニュースリリース

国民民主党 代表定例会見(2024年6月11日)

【冒頭発言概要】

 先週、政治資金規正法の改正案が衆議院を通過しました。今週から参議院での議論に移っていますが、わが党は参議院ではフルスペックの国民民主党独自の法律案を出して、政府案、共産党案と並べて審議が行われています。先週から指摘しておりますけれども、この改正案には抜け穴がいっぱい開いてることは改めて指摘せざるを得ません。ザル法だという指摘がありますけれども、ザルに申し訳ないぐらいスカスカだということは、参議院の審議でもさらに明らかになってきていると思います。特に政策活動費については、10年後の公開ということが、維新が求めて入ったと。そのことによって維新も賛成となっていますけれども、黒塗りが認められるということで、昨日も総理はそれを否定しませんでした。また、こういった諸々の改革についての期限は一切示されていません。
 ただ、驚いたのは、公明党の議員さん、あるいは維新の議員さんから、明確に期限を書き込まないと実効性がないといった趣旨の質問が行われていましたけれども、それは衆議院で納得済みで賛成したんではないですかと言いたいです。我々としては不十分だから反対しましたけれども、賛成した公明党や維新からも不十分といった意見が出ているのは、私は少し違和感を感じます。特に維新の音喜多政調会長からは、こういうものであれば衆議院と同じような対応ができないという趣旨の発言があったやに認識しておりますけれども、ただ政調会長ですから、維新の政策の最高責任者です。そういった方々は当然、含めてこの内容でいいということで、自民党と維新の間の合意があったと思いますし、また法案についても衆議院で賛成したと。もしその期限が入っていないことなどが問題だと認識しているのであれば、それは衆議院でさらに修正を求めるべきだったと思いますし、そこが不十分ということであれば衆議院で賛成してはならない法案だったことになると思います。
 特に政策活動費については穴が5つあります。大きな5つの穴を図示してX(旧Twitter)にも上げております。なぜ政策活動費の改革が今回本丸だとか思っているかというと、思い出していただきたいのは、愛知県の池田衆議院議員が最初に裏金問題で指摘されたときに「党からの政策活動費だったと思っていたので収支報告書には書きませんでした」と言っていたことです。後に彼は逮捕されますけれども、つまり出口を書かなくていいお金があると、つじつまを合わせるために入口も書けなくなります。だから結果として、出口で書かないお金を認めていると入口もつじつまを合わせて書かないことになり、結局裏金化していくので、領収書が要らないお金をなくそうというのが今回の改革の本丸です。(非課税かつ非公開の政治資金は)二つあります。一つは旧文通費といって、国会議員に月100万円、非課税で領収書なしで配られるお金です。これについてを改革しようということになっていますが、未だに法律の成立のめどが立っていません。二つ目の大きな非課税かつ非公開のお金として、我々この政策活動費に注目し、廃止しようと提言しましたけれども、今回維新の助け舟で、この中途半端な改革というか改悪案が通りました。昨日、浜野喜史議員の質疑で明らかになりましたけれども、現行法は政策活動費の法的根拠はないんです。様々な条文を使いながら事実上出していたものが、今回合法化されるということです。
 加えて、あまり指摘されていませんが、これも条文上明確ですけれども、一部経常経費については公開の対象どころか党内の会計責任者に通知することすらしなくていいということです。人件費とかあるいは事務所費で出しましたと言えば、党の会計責任者に通知すらしなくていいということで、まず穴が開いています。
 もう一つは、「政治活動」に関連して支出したお金となっているので、「選挙運動」が抜けているのではないかという指摘です。我々の世界では、「選挙運動」と「政治活動」は峻別します。例えば東京都知事選挙の公示前に、いろいろなことを政党活動としてできますけれども、「①私に、②この選挙で、③一票入れてください」という3条件を満たして言ったら、これはアウトです。これができるのは選挙期間だけなので「選挙活動」と呼んでいます。ここで条文上は「政治活動」としか書いてないので、「選挙活動」が除かれているのではないかと条文上読めます。というのは、公職選挙法は「政治活動」という中に選挙運動を含む場合は、「選挙運動を含む」と明確に書いている3ヶ所の条文があります。これが具体的に入るのであれば、やはり「選挙運動を含む」と書かないと、裏から読むと、裸で「政治活動」と書くと、そこには「選挙運動」が入っていないと読める可能性も高いです。そうなると、選挙に関わってバンバン出したものは領収書も要らなければ、党の会計責任者への通知も、ましてや10年間の公開義務もかからないということで、二つ目の穴が開いています。
 もう一つ大きいのは、使い残しが出たときには課税所得になります。所得税を払わなければいけないですが、たださっき言ったように、領収書は全部明らかにならないので、残高も明らかにならないです。よって、課税対象所得が判明しない、10年経っても実は判明しない可能性があります。仮に判明したとしても、所得税法違反は時効が5年ですから、10年後に領収書が全部出てきて実は差額が1,000万円残っていたとしても、それは申告せずに脱税しても、もうそのときには所得税法違反に問えないことになります。これが三つ目です。
 そして今回の法改正が仮にきちんと働いたとしても、先ほど申し上げた通り、10年後に黒塗りを認めますから、結局わからないです。どういう形で黒塗りがなされるのか、その対象も不明確ですし、要は抜け穴だらけというか、公開と言いながら合法的に非公開を可能とする仕組みを今回作ったということです。
 あともう一つは、そもそも政治資金規正法自体が5年以下の懲役とか、あるいは時効も5年で切れてしまうので、10年後に何か分かっても不記載等の罪で罰することはできません。そもそも総理の答弁から言えば、10年後に公開する義務に反しても罰則がかかるかどうかも今後検討ということです。違反しても罰せられないようなルールはルールではありません。よくこんなことで維新が合意したというか、賛成したということが驚きです。先ほど申し上げた通り参議院では、維新の議員からもこれはおかしいという議論が出ておりますので、これもすっぱり廃止しかないと思います。わが党としては引き続き、この抜け穴だけの法案については一つでも穴をふさぐことができるように、参議院でも浜口議員、竹詰議員そして浜野議員を中心に、しっかりとこの問題については厳しく追及していきたいと思っております。