ニュースリリース
国民民主党 代表定例会見(2023年4月4日)
【冒頭発言概要】
新年度になって初めての会見です。まず昨年度末に政府がまとめた少子化対策のたたき台について。中身としては、我々がこれまで総理にお持ちした提言などで申し上げてきた内容が含まれているので、方向性としては評価をする内容だと思っています。ただ、二つ問題があります。一つ目は、いつやるのか、金額はどうなのかという具体像がまだ見えないこと。二つ目は、財源です。一部で社会保険料を上げて賄うという話が出ておりますけれども、これは我々としてはとるべき方策ではないと思っています。子育て世帯・現役世代に負担してもらって現役世代に配るということになると、同じ世帯の所得移転、もっと厳密に言うと子どものいない現役世帯から子どものいる現役世帯に対する所得移転になってしまいます。そうなると、まず働く世代の負担軽減にならない。そして受益と負担全体のパッケージが非常に独身者・単身者に厳しくなってしまうという側面もあります。ここは慎重に考えていくべきではないかと思います。
我々としてはこの少子化対策、子育て、教育、科学技術といった分野はまさに文字通り未来の投資なので、この一部については教育国債でやるべきだと引き続き提案していきたいと思っています。与党の中にも、自民党の遠藤総務会長なども教育国債も含めて検討だと言っていますし、末松参議院予算委員長、前文科大臣は、退任会見で教育国債が必要だと(言っています)。多分現職のときは言えないのだと思いますが、退任の、本音が出るときにはやはり教育国債でやるしかないのではないかということをおっしゃっています。異次元の少子化対策ということであれば、メニューは別に突飛なことをやる必要ないですが、この財源の問題にぶつかってこれまで何もできなかったというところを乗り越える一つのアイディアは教育国債だと思います。
ただ教育国債を入れることによって、借金がさらに増えるのではないかなどの批判もあります。そこで、いわゆる費用便益分析、あるいはEBPM(エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング:証拠に基づいた政策立案)、こういった投資したお金に対してどういう経済的社会的リターンがあるのかをきちんと分析する高度な政策分析の仕組みも同時に入れるということであれば、十分整合性のとれる政策になると思います。昨日浜口役員室長からも(決算委員会で総理に)質問しましたが、慎重に検討すると、しょっぱい答えしか返ってきませんでした。検討は積極的にやってもらいたいと思います。検討を慎重にするという日本語がよくわかりません。幅広く検討していただいて、この我が国最大の問題の一つであるといっても過言ではない少子化対策に、新しい道をぜひ作ってもらいたいと思いますし、我々も積極的に作ってまいりたいと思います。
もう一つ。これも昨年度末に政府が方針を決めておりますが、いわゆる人権デューデリジェンスに関してガイドラインができたことは評価しています。国民民主党は人権デューデリジェンスの法律を作れとずっと主張してきました。人権デューデリジェンスをしっかり守った企業は入札などで優遇するということを、しっかり明確に法律で作ろうということです。今回は法律ではないにせよ、そういった入札の要件として人権デューデリジェンスを守っているのか、あるいは確認しているかということを考慮するという方針が出されたことは評価をしております。
各国に比べても、日本の人権デューデリジェンスの取り組みは遅れております。例えば太陽光パネルを設置していこうという自治体もありますが、購入するものがほとんど中国製です。中国製が問題というわけではなく、強制労働などで作られているものかどうかが問題です。これは太陽光パネルに限りません。農産物や繊維といったものも、強制労働や児童労働のもとで作られているのではないのかと(しっかり注意して)、人権をないがしろにして安い値段で作られたものはサプライチェーンから外すというメッセージを、日本としても明確に出すことが必要だと訴えてきました。それが一部、そういった制度が政府によって導入される見通しになったことは評価したいと思います。我々としては、これから運用をしっかりとチェックしながら、やはり法整備の必要性は引き続き訴えていきたいと思っております。