ニュースリリース
【参本会議】浜野喜史議員が令和7年度補正予算案に対して賛成討論
浜野喜史総務会長(参議院議員/全国比例)は17日、国民民主党を代表し、参議院本会議で議題となった令和7年度補正予算案について賛成討論を行った。討論の全文は以下のとおり。
令和7年度補正予算案に対する討論
令和7年12月16日 国民民主党・新緑風会
浜野喜史
国民民主党の浜野喜史です。会派を代表し、令和7年度補正予算案に対し、賛成の立場から討論いたします。
予算案に賛成するのは、国民民主党が訴えてきた政策が反映されたからです。我が党が公約で掲げ続けた、ガソリン暫定税率の廃止が実現し、予算案に反映されました。さらに、我が党の礒﨑哲史・浜口誠両参議院議員が繰り返し求めてきた、自賠責保険料の一括繰戻しが実現しました。保険料を召し上げるという酷い対応が是正されることは、当然のことではありますが、5,741億円の一般会計から自動車安全特別会計への一括繰戻しは評価できます。加えて、国立大学法人などの運営を支える運営費交付金の増額についても評価します。文部科学省による人件費高騰などに対応するための 421 億円の補正計上は、国立大学法人化以降初めての措置です。政府が大学の教育・研究機能を守ることに本気で取り組む姿勢の表れと理解します。運営費交付金削減により、現場を疲弊させてきたことを明確に反省したものと敬意を表します。
以上、賛成した上で問題提起を致します。補正後の令和7年度トータル予算は、補正後の令和6年度予算と比較して、税収については7.3兆円の増加となっております。一方、一般歳出と地方交付税交付金の合計は 4.7 兆円の増加に留まっております。補正後の令和7年度予算は、前年度に比して、国民の側から見て、実質的に2.6 兆円の緊縮予算になっております。30 年余りの経済停滞を脱するためには、こうした緊縮的な姿勢は転換しなければなりません。その上で3点問題提起を致します。
1点目は、「年収の壁の引き上げ」についてです。本年12月1日に施行された改正所得税法によって、基礎控除は増額され、「103 万円の壁」は、ごく一部の人に限っては「160万円の壁」に引き上げられました。しかしながら、恒久的な基礎控除の引き上げ10万円を除けば、納税者の9割以上は、段階的な所得制限を前提とした、不十分なものに留まっております。 高市内閣は、需要と供給力双方を伸ばすことによって強い経済を実現するとしています。基礎控除と給与所得控除を 178 万円まで引き上げるという国民民主党の主張は、消費を喚起するとともに、働き控えの減少による労働力の拡大を通じて、供給力を増やそうとするものであり、高市内閣の求める強い経済の実現に大いに資するものであります。中間層も含め、更なる前向きな検討を求めます。
2点目は、経済停滞を脱却するため、官民あげて積極的に国内投資を拡大していかなければならないということです。
内閣府の調査によりますと、日本の企業の投資抑制による貯蓄超過が四半世紀にわたり継続しており、G7 諸国の中でも、日本の企業の貯蓄超過の一貫性は突出しております。
しかし、企業の姿勢だけを責めるのは不適切です。政府が30年の経済停滞を打開できない中、守りの経営とならざるを得なかったことは、理解できなくもありません。さらに、企業の自社株買いの自由化など、株主価値最大化の考え方に立った政策がこうした姿勢を促したことを反省しなければなりません。
国民民主党は、2倍程度を目安に、投資額以上の償却を認める「ハイパー償却税制」の導入や、加速償却や即時償却の活用などにより、各企業が成長分野の国内投資を拡大することを強力に後押しすることを政府に求めています。高市内閣の求める、強い供給構造実現に大いに資するものです。前向きに検討をすることを求めます。
3点目は、政府が財政健全化という目標を掲げ続けることが正しいのか、冷静に議論、検討頂きたいということです。
11月13日の本院予算委員会において、「変動相場制の下、円という自国通貨建てで発行されている日本国債の債務不履行は考えられないのではないか」との問いに対して、片山財務大臣は、「通常考えにくい」と明言されました。
さらに「現金通貨や預金通貨は、政府や民間に資金需要があり、それに応えて政府、日銀と銀行が創造し、供給されているのか」との問いに、植田日銀総裁は、「家計や企業などの資金需要に応じて民間銀行が貸出しを実行することで同額の預金が発生し、信用創造が行われる。また、政府の資金需要に応じて民間の銀行が国債購入を実施すると、政府の財政支出が行われた段階で同様に、同額の預金が発生し、信用創造が行われる。ただし、資金に対する需要さえ存在すれば信用創造を無限、無制限に行えるというわけではない。民間の銀行は、投融資の採算性やリスクなどを考慮し、自らの目線に見合うかどうかを判断した上で貸出しや国債の購入を行っている点には留意が必要である」と説明されました。加えて、同じ問いに、片山財務大臣は「信用創造が行われるルートは日銀総裁のお答えのとおりです」と説明されました。
以上の政府の説明を踏まえると、次の考え方が成り立つのではないでしょうか。「政府に資金需要があれば、政府と日銀が、銀行と適切に対話し、お金を創造できるので、積極的な財政支出を持続的に行うことが可能である。一方で、財政支出が過大になると、需要が供給力を大きく上回り、需要が引っ張る過度なインフレが起こり得るので、十分なる留意が必要である。しかし、積極的な財政支出により持続的に供給力を向上させていけば、需要が供給力を大きく上回ることを回避することが可能である。したがって、求めていくべきは、財政健全化ではなく、積極財政によって需要と供給力の双方をバランスよく伸ばしていくことである。」
こうした考え方に立てば、「減税や歳出増のためには増税や他の分野の切り詰めなどの財源探しが必要」との考え方にとらわれることなく、現場から疲弊の声が届く医療、介護などの公定価格の引き上げ、次世代を担う人づくりのための子育て・教育分野や、基礎研究を含む研究・開発分野への支援の拡大、東アジアの安定を守るための安全保障分野の充実など、全ての分野に必要な対策を打つことが可能であるということです。財政健全化を巡っては様々な考え方があります。様々な考え方の有識者を集めて冷静な議論をし、その議論を国民に公開をしていただきたいと考えます。
以上、問題提起をして、賛成討論を終わります。