ニュースリリース
【衆本会議】浅野さとし議員がガソリン暫定税率廃止法案に対して賛成討論

浅野さとし青年局長(衆議院議員/茨城5区)は20日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で議題となったガソリン暫定税率廃止法案に対する賛成討論を行った。討論の全文は以下のとおり。
ガソリン暫定税率廃止法案に対する賛成討論
令和7年6月20日
国民民主党・無所属クラブ
浅野哲
国⺠⺠主党の浅野哲です。私は、国⺠⺠主党・無所属クラブを代表して、ガソリン暫定税率廃⽌法案に賛成の⽴場から討論を⾏います。
まず討論の前提として、私たち国民民主党は、2021年時点からガソリン価格の上昇が国民生活を圧迫していることに強い問題意識を持ち、トリガー条項の凍結解除によるガソリン販売価格の抑制策を提案してまいりました。そして、昨年12月11日には、自由民主党、公明党、国民民主党の3党幹事長により「いわゆるガソリンの暫定税率は廃止する」と正式に合意を交わしたという厳然たる事実があります。また、我々との合意のあと、与党は日本維新の会とも3党協議の場を設け、6回にわたり協議を行ったと承知しています。しかしながら、我々との合意から半年が過ぎた今に至ってもなお、政府・与党からは何らの具体策も示されず、三党合意は事実上反故にされつつあります。その様な状況において、海外では国際紛争が激しさを増しており、特に、中東地域におけるイスラエルとイランの武力衝突は、今後の国際エネルギー供給にとって大きな懸念材料となっています。我が国の国民生活の現状や国際社会の動向と照らし合わせても、本法案の内容は、その必要性が十分あるものと言えると考えます。
そもそも、ガソリンにかけられている1リッターあたり25.1円の「当分の間税率」は、1974年に道路特定財源として、かつ、時限的なものとして導入されました。当時は、自動車は高級品だったため、いわゆる富裕層に対する課税との認識で国民の理解も得られたものと推察します。現在は、一般財源化され、すでに当初の課税根拠は消滅していることはもちろん、いまや国民の約8割が自動車を保有し、地方においては生活の足として、自動車の不可欠性が確立されており、その燃料価格が高騰していることからも、国民生活を底支えする点においても当分の間税率の廃止は妥当であります。
むしろ、私達立法府が考えるべきは、この当分の間税率を廃止した上で、中長期的に我が国にとって望ましいエネルギー供給構造を丁寧に描き、その方向性に沿った燃料課税の姿を再構築していくことではないでしょうか。政府・与党には、50年以上の年月の中で変化を続けてきた我が国の生活様式や、極めて厳しい物価高を乗り越えるため、既存の枠組みに囚われない大きな視野で、この法案の有用性を捉えていただきたいと思います。
他方、財源については、本日午前中の財務金融委員会においても、与党側から多くの指摘質問がありましたが、財源についても、私達は既に具体的な方策を提案してきました。まずは、燃料油価格激変緩和対策事業の基金を活用すること。加えて強調させていただきたいのは、近年の国・地方の税収が毎年過去最高税収を記録し続けている点です。過去10年間の我が国の名目GDPの伸びはプラス12%。これに対して、国・地方の税収はプラス22%と、明らかに政府は経済の伸び以上の税収を国民から預かっている状態にあります。さらに、本年は昨年の税収118.3兆円からさらに12兆円の税収増加を見込んでおり、その額は126.8兆円になることは政府の予算計画の中でもハッキリと明示されています。これを、国民に還元してほしいと、私たちは累次にわたって政府に要請をしてきました。
加えて、政府の一般会計不用額は、2023年6.8兆円、その前年の2022年は11.3兆円と、データが確認できる直近2019年から2023年までの5年間の平均不要額は約6兆円に上ります。つまり、国・地方が国民から預かった税金を、物価高に直面している国民に還元する考え方だけでなく、毎年度の予算の精査により、当分の間税率廃止によって生じる減収に対応することは十分に可能ではないでしょうか。
さらに、一言申し上げるならば、先日、政府・与党が突如として掲げた国民への2万円給付事業は、その財源として2024年度税収の上振れ分を活用するとのことですが、これは物価高対策という衣をまとった参議院選挙前のバラマキだとの指摘が後を絶ちません。大手の報道機関各社が行った最近の世論調査でも、約6割の国民が政府の2万円給付事業をネガティブ評価している状況となっています。私たちは改めて、集めた税金を返すくらいなら、最初から税金を取るべきではないことを強く求めます。納税者、生活者の立場に立てば、おのずと答えは「減税」に至ります。この選択こそ、広く国民の理解を得られる政策であると確信しております。
また、本法案が成立することで、ガソリンスタンドなど生活現場で混乱が生じるのではないかという指摘もあります。私達は2008年の事例をふまえて、当初の考え方としては、事前に補助金を1リッターあたり25.1円に設定し、ある時点で補助金から減税にスイッチする方法も検討しては来ましたが、本法案を他党・他会派の皆様と共同提出する協議の中では、差額支給によって対応することとなりました。しかしながら、直近の政府の補助金単価は1リッター10円であり、本法案が施行された場合には、7月1日以降は、政府の補助金が入った現状の販売価格よりも値段が下がり、その状態が今後も継続することとなるため、国民の皆様にとって一定の予見可能性は確保されるものと考えます。また、ガソリンスタンドには、これまでも補助単価の異なるガソリンが混在する状況の中で日々の販売価格が決定されてきたことをふまえれば、販売価格の変化は連続的なものとなることも想定されます。従って、直前直後の駆け込み需要というものについては、許容できないほどの深刻な状況には至らないものと考えます。
最後に、この法案が提出された後に、財務金融委員会が開催されず、先日、財務金融委員長が解任され、昨日から新たな委員長のもとで審議が行われてまいりました。これを、野党の暴挙とおっしゃる与党議員もおられるようでありますが、それは違います。この法案の成立を求めているのは、他でもない国民の皆様です。都内で日々物資を輸送して下さっている企業の皆さんや、地方で暮らし、毎日こどもや家族の送り迎えをしている親御さん、暑い日差しの中で畑を耕し、軽トラックで野菜などを運ぶ農家の皆さんなどの姿を思い浮かべて下さい。私たちは、こうして毎日頑張って働いてくれている人々のくらしを支えるために、昨年の総選挙で私達野党に票を投じて下さった国民の皆様の総意として、この法案を提出してきました。その重みをしっかりと認識し、この議場にいる皆さまのご理解のもと、本法案の成立を強く望んで、賛成討論と致します。ご清聴ありがとうございました。
以上
