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ニュースリリース

【参本会議】伊藤議員が令和5年度補正予算について質疑

 伊藤孝恵組織委員長(参議院議員/愛知県)は20日、参議院本会議で令和5年度補正予算について質疑を行った。質疑の全文は以下の通り。

令和5年度補正予算に対する質疑

 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。私は会派を代表し、令和5年度補正予算案について、質問いたします。

 やはり、消費と投資が振るいません。
 今年7月から9月までのGDP(国内総生産)は、前の3か月と比べて実質0.5%のマイナス、年率換算2.1%の減少で、3四半期ぶりのマイナス成長となりました。ガソリンや食料品を中心に物価高が続いている影響で、GDPの6割近くを占める個人消費が落ち込んだことに加え、企業の設備投資が減少したことが主たる要因です。
 総理に伺います。近頃は、「GDPギャップは解消された」との論調がみられますが、総理の御認識をお聞かせください。

 今、必要とされているのは、消費と投資を下支えし、持続的賃上げを確実にする為の「生活減税」です。
 国民民主党が先月23日に提案した、所得税減税・ガソリン減税・インボイス廃止を含む消費税減税、法人税における投資減税の「生活減税4本柱」についての、総理の御評価を伺います。

 今月1日、所得税減税法案を参議院に提出致しました。私たちが提案するのは、一言でいえば“所得税のインフレ調整”です。
 物価高に加え、賃金上昇を上回る所得増税が、家計の著しい負担になっている事実に着目し、物価上昇率および名目賃金上昇率などを鑑み、基礎控除や給与所得控除を引き上げて、減税効果をまみえるという立て付けです。
 基礎控除はそもそも、必要最低限の生活を送る為に必要な所得には課税しない、という理念に基づく制度であり、インフレによって“生きていく為のコスト”が上がっている今こそ、基礎控除の引き上げによる家計負担の軽減が必要です。
 日本では30年間におよぶ長いデフレを背景に1995年以降、基礎控除プラス給与所得控除の水準は据え置かれています。これが所謂103万円の壁です。
 基礎控除とは何たるか?についての総理の御認識と共に、28年間変わらない“壁”に対する、今後の対応策を伺います。

 一部報道によれば、政府は16歳から18歳の扶養控除の縮小を決定し、調整に入ったそうです。総理に伺います。事実でしょうか?
 縮小どころか“16歳未満に対する年少扶養控除を復活の上、児童手当を拡充する”これが、時代の要請です。総理の御見解を伺います。

 現在、レギュラーガソリン1リットル当たりの小売価格は平均170円から180円台で推移し、日常的に自動車を使う地方を中心に悲鳴があがっています。また物流コストの上昇に直結することから、企業の利益を削ぎ、賃上げの原資を奪っています。
 財政演説の中にあった「地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ」には、適正な価格転嫁対策と共に、ガソリン減税がどうしても必要です。  

 国民民主党は2年前から、トリガー条項凍結解除による旧暫定税率分、リッター25.1円の減税を主張してきました。今国会でも、暫定税率と二重課税を廃止するための法案を2021年に続き再度、参議院に提出致しました。
 政府は、燃料油価格激変緩和対策事業を来年4月末まで延長する方針を示し、今回、所要の経費として1,532億円を計上しています。総理、まだ、石油元売り事業者や輸入事業者に対する補助金スキームを続けられるおつもりですか?
 先般、会計検査院が指摘したのは、資源エネルギー庁が62億円をかけて、全国2万か所のガソリンスタンドに週1回、電話または訪問し、「本当にガソリン価格って下がってます?」とモニタリングするという、壮大な無駄事業です。62億円かけて「補助金はちゃんとユーザーに還元されているのか?」と、聞き回るほど心配なのであれば、速やかに減税をご決断下さい。総理の答弁を求めます。
 加えて巨額の調査事業です。結果は公表の上、価格抑制効果分析を行うのが当然だと考えますが、会計検査院の指摘に対する政府の対応、調査結果および分析結果の公表時期について、総理に伺います。

 国の根幹である税法に手をつける以上は、明確な理念と理屈が必要です。岸田総理が、あらゆるしがらみを乗り越えて打ち出された所得減税に共感が広がらないのは、幾らにするのか?いつになるのか?時限にするのか?そんな話に終始して、減税の目的や期待される効果、なぜ今、それを岸田政権でやるのか?総理ご自身の言葉で、まだ、お話になっていないからではないでしょうか?

 30年ぶりのインフレなのだから、岸田政権ではデフレ時代の税制を改める!とか、政治家はいつも名目賃金や実質賃金で語るが、私は可処分所得に拘る!何故なら家計のお財布の中に残っているお金、つまり可処分所得こそが暮らしそのものだから!など、所得減税に拘った、総理の哲学が必ずある筈で、それを聞かせて頂きたい。

 デフレからインフレに経済が移行する中での経済政策として「所得減税」は決して間違っておりません。何のための減税なのか?防衛増税との矛盾や、財政健全化との整合も併せて、国民の皆さまに説明し、所得税改革を断行して頂きたいと思います。

 次に、予備費について伺います。政府は今年度、当初予算に計上した4兆円の「コロナ対策および原油・物価高騰対策予備費」が全額残っているので“コロナ”を“賃上げ”に書き換えて活用すると言います。
予備費は「予見しがたい予算の不足に充てるため」財政法で認められた事前議決原則の例外的制度であり、なし崩し的に使途を拡大する手法は、財政民主主義を有名無実化したとの誹りを免れません。国会審議を経ずに政府が使える予備費の昨今の肥大化および用途変更の在り方について、総理の御所見を伺います。

 予備費では、もはや必要ナシとされたコロナ対策が、補正では「病床の確保等」に必要だとして6,143億円が計上されているのは不可解です。一方、人手不足による介護難民、介護離職、介護虐待や事故がこれほど深刻化しているにも関わらず、介護職員等の処遇改善にはわずか581億円。病床確保の10分の1以下とは、これもまた不可解です。更には、項目上で確認出来ない予算があります。

 総理に伺います。大阪・関西万博の会場建設費が当初予想の倍に膨れ上がっているとの報道があります。事実関係および、政府の対応を伺います。また、国の増額負担分がある場合、その積算根拠と金額、どの項目に含まれているのか?教えて下さい。“万博”の文字が、当初頂いた資料の中にありませんでしたので、確認です。

 執行が不透明な基金についても課題があります。コロナ禍以降、単年度主義の弊害是正を大義に、予算措置が横行していますが、昨年度末時点における基金は180、残高は一般会計における財政規模の1割をゆうに超える16.6兆円に達しています。この内、人件費や事務費といった管理費のみを支出する所謂「休眠基金」は全体の15%、29基金にも及び、1.4兆円を滞留しているとする指摘もあるなど、効果効率的な運用がなされているとは言い難い状況です。

 先般、河野行政改革担当大臣は、各府省の全基金を見直す方針を示されました。国会の監視が行き届かない基金の課題を認識しながら、今回4.3兆円を計上し、新たな基金の造成や積増しを行う道理を、河野大臣、お答えください。
 この際、基金については網羅的かつ徹底した見直しを直ちに行い、国会に報告すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。併せて、基金に今、直ちに、支出が必要な理由を、財政法第29条における緊要性の評価と併せて教えて下さい。
 最後に、少子化対策について伺います。
 13.2兆円の予算総額の中で、めぼしいものは、こども誰でも通園制度の試行的事業、91億のみです。異次元の少子化対策は、どこに行ってしまったのでしょうか。

 少子化が、我が国最大の病なのではありません。他にもっと深刻な病があって、少子化はその合併症です。大本の病を無視したまま進んでも、事態は改善しないと断言できます。

 これまでの自民党政治は、女性に家庭内の家事、育児、介護の一切を任せ、自助共助を効かせることによって、公助である国の福祉予算を軽減する政策を行ってきました。
 少子化は、固定化された性別役割分担意識や実質賃金の低下、長時間労働や非正規雇用、多様な家族の形を認めてこなかった我が国の大本の病による合併症だと理解し、政策的手当をしなければ、社会は到底変わりません。総理の御認識を伺います。

 「少子化対策」とは、子育て現役世代と次世代が、私も産み育てられると思える環境を創ることであり、政府がすべき事は、①家計の収入を上げ ②税負担を下げ ③社会保険料負担を下げ ④ 控除や給付、無償化などの公的支援を増やす
 この 4 点に尽きます。ターゲットを理解していたら、現役層の社保負担を更に増やす「支援金制度」度や、扶養控除縮小などといった愚策は出てきません。現役世代の中で、子どもの有無を分断要素としてしまう懸念すら残る「支援金」の導入は再考して下さい。

 また企業にとっても、社保負担は総人件費であり、雇用抑制と非正規化を進める原因にもなります。雇用や賃上げに対する「支援金」の影響をどのように分析されているのか?総理の答弁を求めます。

 賃金の低下と出生数の低下の相関係数は0.93-著しく相関しています。
政府におかれましては、今この瞬間が30年ぶりの持続的賃上げを実現出来るか否かの、ひいては少子化対策の正念場であることを、肝に銘じて頂きたい。殊更強くお願いし、私の質問を終わります。