国民民主党 つくろう、新しい答え。

ニュースリリース

国民民主党 代表定例会見(2023年3月7日)

【冒頭発言概要】

 今日10時30分から我が党と日本維新の会、会派の有志の会の国対委員長レベルで、憲法改正、とりわけ緊急事態条項について、条文の取りまとめに向けた協議をスタートすることで合意する予定です。合わせて、今問題になっておりますし、私も何度も指摘をしておりますが、林外務大臣がG20に参加できなかったという問題に関して、閣僚とりわけ外務大臣の国会の出席のあり方について、これまでの慣習にとらわれず、国益の観点から見直しを行っていくべきだということについて合意をして、関係各所に申し入れをしていきたいと思っております。この二点について合意をして、これまでなかなか動かなかった問題を前に進めていきたいと思っております。

 特に一点目の緊急事態条項の憲法改正については、昨年の12月に我が党として包括的な条文案を既に取りまとめておりますし、3月2日に行われました憲法審査会において私からその概要を、初めて資料を配って、議事録に残る形で各党各会派に説明を申し上げました。維新の方からも説明があり、これまでの議論を踏まえると、日本維新の会の皆さん、そして有志の会の皆さんとはかなり共通点も多い。憲法裁判所の設置などについては議論する必要がありますが、大きな方向性においては一致していると思います。特に我々としては、災害の発生や外国からの武力攻撃などを念頭に置きながら、いざというときのための国会機能の維持、そして基本的人権の擁護という観点から、緊急事態条項、とりわけ議員任期の延長規定について早急に憲法を改正して整備すべきだという立場ですから、ぜひ具体的な条文案において一致を目指して協議を開始したいと思っております。これが一点目です。

 二つ目は先般の、いわゆる徴用工の問題の解決策が韓国から示されました。この件に関しては今の北東アジアの情勢、特に北朝鮮の問題、また対中国ということを考えたときに、日米韓の連携が極めて重要という中で、これまでの懸案であったこの徴用工の問題について、韓国側からある意味国内問題として対応するという具体策が出てきたことは、2国間、また日米韓の3カ国間の特に安全保障における連携を強化していくという観点から、前向きな提案だと評価をいたしております。

 ただ一点気になることは、輸出管理規制についてです。これは当時2019年の頃も、徴用工の問題とはリンクしないと、完全に安全保障の問題だということで日本政府も経済産業省も説明してきた経緯があります。これは半導体に使われるフッ化水素などの三つの材料について、厳格な管理が韓国側において行われていないので、それが北朝鮮あるいは中国、そういったところに流れる可能性があるので、あくまで輸出管理の安全保障の観点からの問題だと言ってきたはずです。それをこの徴用工の問題と、あたかも日本側からリンクさせて話をするようなことは厳に慎むべきだと思います。経済産業省が発表した3月6日のプレスリリースで非常に気になる表現があり、それは「輸出管理に関する日韓間の懸案事項について、双方が2019年7月以前の状態に戻すべく関連の2国間の協議を速やかに行っていくこととしました」となっていますが、あのときもこれはあくまで協議ではなくて対話だということを、きちんと明確に切り分けてやってきたはずです。つまり輸出管理は相手国と協議するものではなく、我が国が安全保障の観点から、我が国の主権と権限に基づいて判断すべきものであって、相手と協議して決めるような代物ではありませんし、そう経産省と日本政府は言い続けてきたはずです。交渉事によって決まるのではなくて、客観的に見て韓国側の安全保障上の輸出管理がきちんとできているかどうか、それだけですから。徴用工に関係して協議の結果緩和するということになると、これまで言ってきたことと整合性が取れませんし、弱腰の批判は免れないと思います。あくまでこの輸出管理規制というのは、徴用工の問題でやったのではなく安全保障の観点からの問題だということを、きちんと政府も肝に命じてやらないと、安易な妥協になってしまい、結果としてこの地域における安全保障上の脅威を高めてしまうことになります。冒頭申し上げた通り、今回、韓国側の判断で徴用工については一定の進展が見られたことは日米韓の連携においても重要ですが、ただ輸出管理をこれにリンクさせて、韓国との協議に基づいて緩和するようなことは、まさに日米韓の連携、そしてそれが達成しようとする地域の平和と安定にマイナスになる可能性があるので、ここは厳しく指摘をしておきたいと思います。