ニュースリリース
【談話】最高裁の夫婦同氏制度の合憲判断に対する見解
最高裁の夫婦同氏制度の合憲判断に対する見解
国民民主党男女共同参画推進本部
本部長 矢田わか子
本日、最高裁大法廷は、夫婦同氏を定めた民法と戸籍法について、「合憲」とする判断を示した。その決定理由は、前回の2015年の判断を踏襲するもので、婚姻を定めた憲法第24条1項の「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」に適合するというものである。
15名の裁判官のうち、今回合憲とした裁判官は前回の10名から11名に増え、合憲とする多数意見には裁判官出身の判事が中心になっていることが注目される。
一方、違憲とした4名の裁判官は、「夫婦同氏が女性に対して不利益を与え、婚姻前の氏の使用による利益維持が切実になっていること」、「当事者の婚姻の意思決定は自由かつ平等であるべきで、夫婦同氏は憲法24条1項に反する不当な国家介入にあたる」、「夫婦別氏は個人の尊厳をないがしろにする所為であり、国会の立法裁量の範囲を超え、違憲である」など、極めて現実社会の変化を見据えた意見を示されている。
今日、婚姻前の氏の使用が本人の職業上の利益に繋がるとの要望や、一人っ子同士の結婚などで実家の姓を引き継ぎたいとする女性の増加、あるいは事実婚を選択した夫婦の家族の絆は同氏婚と変わるものではないとする家族観の変化を背景に、「選択的夫婦別姓」を求める国民世論は高まっている。この社会的ニーズに応えないと結婚をためらう若いカップルが増え、少子化に拍車がかかることにもなる。野党としても、これらの社会情勢の変化に応えるために、婚姻における夫婦が別姓を選択できる民法の改正案を国会に提出し続けてきたが、いまだ実現するには至らず、今日、夫婦同氏を制度化している国は日本のみとなっている。
昨年12月に策定された政府の「第5次男女共同参画基本計画」では「選択的夫婦別氏(別姓)制度」という文言が削られ、さらに今回の最高裁の判断によって、選択的夫婦別姓制度への反対論は勢いを増すことも予想されるが、最高裁は「この種の制度のあり方は、国会で論ぜられ判断されるべき事柄である」としており、今後の舞台は、国会議員が立法の責務を負う国会の場に移ることになる。
国民民主党は、多くの国民の皆さんの声とともに、夫婦同氏制度が女性差別を助長しているとの観点から国内法の整備を求める国連の女子差別撤廃委員会(CEDAW)の勧告の意義をも訴えながら、一日も早い「選択的夫婦別姓制度」の導入に向け、引き続き、全力を尽くしていくこととする。