ニュースリリース
【党コロナ対策本部】「豊かな人間社会を回復するためのコロナ三策」を発表
豊かな人間社会を回復するためのコロナ三策
部分最適から全体最適の議論へ
「みつける、おさえる、うごかす」
コロナ禍における国民に対する行動制限は、2020年2月26日の首相によるイベント自粛要請、翌27日の全国一斉休校要請に始まった。4月7日には政府による緊急事態宣言が発出され、49日間に及ぶ休業協力要請と外出自粛要請が出された。そして今年2021年には1月8日から3月21日まで73日間、再度の緊急事態宣言のもとで、飲食店に対する時短営業要請ないし命令、そして外出自粛要請などが発出された。解除後の現在においても、感染者の増加傾向が続く中、一部地域に対して、今般の特措法改正で創設されたまん延防止等重点措置の適用が決定されたほか、自主的に飲食店に対する時短営業要請などが継続して発出されている地域がみられるなど、国民は、経済活動及び国民生活全般にわたる強度の制限がいつ終わるのか見通せない状況にさらされている。
言うまでもなく、新型コロナの感染拡大が医療体制崩壊の危機を招き、新型コロナであれ他の病気であれ、教える命が救えないという状況を作り出してはならない。同時に、コロナ禍の過度の行動制限や適切な補償を伴わない営業制約、あるいは優先順位を間違えた政策実践により、教育環境や芸術活動が不可逆的に変質したり、人々の生業が事実上奪われたり、社会的孤立が自殺者の急増を生んでいる状況を放置してはならない。
今必要なのは、一定の感染防止措置を前提としつつ、感染しても命を救える体制を幅広に構築・強化して医療崩壊の閾値を上げ、再び経済活動と国民生活を動かしていくための具体策である。経済を動かすことで人々に賃金だけではなく生業を回復し、過度な行動制限は緩和することで子どもたちに自由な生育環境を、芸術家たちに自由な芸術活動の場を回復し、ひいてはもう一度豊かな人間社会を創造することを本質的な目標に設定すべきである。
そのためには、国民に対する行動制限に依存して感染者を減らすことだけに注力するのではなく、COVID-19の対応にあたる医療機関の受け皿を拡大するとともに、症状に応じた役割分担と連携を強化することこそが急務である。あわせて、PCR検査や抗原検査を広く安く繰り返し受けられる体制を整えることにより社会生活の安全性を高めることも求められる。加えて、経済の停滞による事業者損失は、事業内容や地域を問わず事業規模別の支援で迅速に補填することが求められる。そのためにも、自己情報コントロール権の十分な保障のもと、マイナンバーと金融機関口座の紐づけにより公正かつスピード感ある給付を可能にすべきである。あわせて、業種・業態変更に対応するため、職業研修や在籍型出向等を推進することも重要である。
すなわち、特定の感染症をゼロにすることのみに焦点をあわせた部分最適ではなく、国民一人ひとりの人生を支えて豊かな人間社会を取り戻すため、いかに早く全体最適を実現するかという視点から政策を検討すべきである。とりわけ、行き過ぎた行動制限を漫然と継続することは、これまで積み上げてきた日本社会の経済的・精神的豊かさを掘り崩すものであり、とりわけ、子どもたちの心身の発達や高齢者の心身の健康に与える影響は計り知れず、十分配慮しなければならない。
以上のような観点にたち、過度な行動制限の緩和を実現し、豊かな人間社会を回復するため、国民民主党は次のようなコロナ三策を提案する。
第一策 検査の拡充(みつける)
PCR検査と抗原検査それぞれの特徴を有効活用し、早期に無症状感染者と感染力の強いCOVID-19感染者を診断し、感染の連鎖を断ち切ることにより、社会生活の安全性を高めること。なお、分析に当たっては、省庁の縦割りを打破し、我が国の保有するゲノム解析機器をフル活用すること。
変異株が子どもに感染しやすい可能性も指摘されていることから、無料定期検査の対象を医療機関や高齢者施設だけでなく、学校や幼稚園、保育園等を含め大幅に拡大すること。
第二策 病床の確保(おさえる)
COVID-19対応にあたる医療機関の受け皿を拡大し、症状等に応じた役割分担と連携を強化して、医療崩壊の閾値そのものを上げること。具体的には、特措法第31条のガイドラインの変更により医療機関に対する知事の要請・指示権限を実効化することや、他国に比べて長い在院日数の短縮につとめること。
また、5月中とされている「病床・宿泊療養施設確保計画」の見直しについて、当初より前倒して速やかに行うこと。
第三策 経済・社会活動との両立(うごかす)
緊急事態宣言の有無にかかわらず、全国の幅広い事業者にコロナの影響が及んでいることから、「新型コロナウイルス感染症等により経営に影響を受けた事業者を事業規模に応じて支援するための給付金の支給等に関する法律案」により、地域や事業内容を問わず、金融機関を介在させての迅速な事業規模別の支援を行うこと。
飲食店における感染要因を再検証した上で、店舗形態ごとの利用者側の滞在時間の特性も加味するなど、単に営業時間の短縮を要請するのではなく、営業実態に即したルール作りを行うこと。同様に目標のない一律の行動抑制はしないこと。
迅速かつ確実なワクチン接種をすすめると同時に、検査陰性やワクチン接種を証明する「デジタル健康証明書(仮称)」を導入し、併せて差別等を防止するガイドライン作成などの制度設計を検討すること。
以上