ニュースリリース
【衆本会議】野村美穂議員が国家情報会議設置法案に対する賛成討論で登壇
野村美穂政調副会長(衆議院議員/岐阜2区)は23日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で議題となった国家情報会議設置法案に対する賛成討論を行った。討論の全文は以下のとおり。
国家情報会議設置法案に対する賛成討論原稿
討論原稿(10分間・2,500文字程度)
国民民主党・無所属クラブの野村美穂です。
私は、会派を代表して、国民民主党提出のインテリジェンス態勢整備推進法案及び内閣提出の国家情報会議設置法案の両案について、賛成の立場から討論をいたします。
インテリジェンスとは、国と国民の安全を守るための施策の一つであり、安全保障の施策の証拠となる情報の収集、整理、分析及び活用を行うものです。安全保障のための施策は、時の政権の思い付きで行われるべきものではありません。複雑化する国際情勢において、的確な情報に基づき確かな施策を実行することは、国と国民の安全を守るために必須です。
ロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更が現実に起こり得ることを示しました。中国による軍事的脅威の増大、特に台湾海峡をめぐる緊張の高まりは、わが国の安全保障に直接的な影響を及ぼしています。北朝鮮の核・ミサイル開発は止まることなく、そしてサイバー攻撃やテロの多様化により、国家の脅威は多層化しています。加えて、近年では、外国による我が国に対する不当な影響力の行使の脅威も増大しています。こうした多層的な脅威に対し、正確で質の高い情報がなければ、国家の意思決定は誤った方向に進みかねません。
我が国は、インテリジェンスをめぐる手痛い失敗を経験してきました。改革は過去の教訓に依拠して考えなければ、真に実効性のある対策を取ることができません。昭和50年代に立て続けに北朝鮮による拉致を許し、さらに、その認定まで多くの歳月を要した政府の対応は、インテリジェンスの活用に政治が失敗した例と言えます。また、第二次世界大戦における情報の軽視と誤判断は、国家を破滅的な敗北へと導きました。こうした歴史の教訓を忘れてはなりません。
その上で、国民民主党提出の法律案は、こうした過去に真摯に向き合い、失敗を繰り返さないため、「国民の人権と自由の尊重」、「国家の存立と主権の防衛」、「インテリジェンスの最前線で活動する者の保護」という三本柱を掲げて議論を重ね、これまで光の当たらなかった領域について、声なき声を形にしたものです。
国と国民を守るための「政策決定のエビデンス」を創り出すことこそ、インテリジェンスの本質であるとの考え方に立ち、我が国で初めて、法案においてインテリジェンスを明確に定義するとともに、国会による民主的統制や政治的中立の確保など、その実施に当たっての理念や留意点を明確にした法案となっています。
また、国民民主党の法案では、基本的施策として、外国による不当な影響力の行使の防止のための措置、行政組織の整備、情報収集等に係る手法の拡充、インテリジェンスに係る職務に従事する者等の安全及び適切な処遇の確保、人材の確保、検証及び調査研究の推進並びに国民の理解の増進及び信頼の向上を掲げています。
特に、人材確保と処遇改善については、具体的な方策を示しています。昨年、MetaがScale AIのCEOをヘッドハンティングするために約2兆円という巨額投資を行った事例が示すように、優秀な人材の獲得競争が激化しています。ドイツの連邦憲法擁護庁のように、情報機関手当や専門人材手当といった特別な処遇を検討する必要性を明確にしています。
さらに、教育研修体系の整備、情報リテラシーの向上、知識継承体制の構築、分析手法の標準化など、組織の継続性と質の確保のための仕組みを体系的に盛り込んでいます。
内閣委員会におけるこれまでの議論を踏まえると、バランスのとれた体系立ったインテリジェンスの態勢強化を進めていくという意味で、国民民主党の法案が包括的で非常に優れたものであり、これを成立させることがベストであります。
他方、内閣提出の国家情報会議設置法案については、インテリジェンスの態勢強化のうち、組織の見直しのみを切り出したものであり、個人情報やプライバシーへの配慮、国会の関与、情報公開の在り方、過去の失敗の教訓を生かすための記録・公文書保存の在り方等についての懸念や課題が浮き彫りとなっています。
委員会質疑の中でも、個人情報やプライバシーの保護の徹底、政治的中立性の確保、国会への定期的報告義務、そして将来的なインテリジェンス態勢整備における国会の監視強化など、国民の懸念に対する一定の対策が必要との指摘が多くされました。
特に、政治的中立性の確保については、附帯決議の中で、「特定党派の利益又は不利益を図るため、国内の政治家や選挙区に関する情報や、選挙及び選挙運動に関する情報の収集は行わないこと」とされています。また、国家情報局長の人選については、特定の行政機関の指定席となることのないよう、適材適所を旨とし、人物本位・能力本位で行うことが求められます。
一方で、総理のリーダーシップの下に情報の質が向上するという点では一定の評価ができます。各省庁が個別に行っていた情報活動を統一的に指揮・調整する司令塔機能が整備されることで、組織全体として一貫性のある情報分析が可能になります。米国、英国、フランス、ドイツなど主要先進国はすべて、国家的インテリジェンス機能を統一的に指揮する司令塔組織を持っており、わが国も国際的スタンダードに対応する必要があります。
我が党としては、インテリジェンス態勢を全体として整備すべきとの考え方に立つものであり、その一部のみを切り出した形の内閣提出法律案は十分なものであるとは言えませんが、方向性として否定するものではありません。
また、附帯決議においても、「一層のインテリジェンスに係る態勢の整備を仮に検討する場合には、インテリジェンスに係る態勢の整備が国家の存立及び国民の安全の確保に関わる重要な課題であるとの認識の下に、我が国の健全な民主主義の根幹の維持をはじめ国益に寄与することを旨として行うこと。あわせて、政治的中立性及び国会による民主的統制が確保されるとともに、日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならないことに留意すること。」といった、我が党提出の法律案の趣旨と重なる内容が盛り込まれ、政府からも前向きな答弁がありました。
さらに、附帯決議では、政府の情報活動の中長期的な推進方策を国会に報告し公表するとともに、国家情報会議及び国家情報局の活動内容について、国会に適時適切に説明することを求め、一定程度の国会による民主的統制を確保しています。また、情報収集等に係る手法の拡充、インテリジェンスに従事する者等の安全及び適切な処遇の確保、専門的知識や技能を有する者の確保、実施状況及び効果の検証等について検討を加え、必要な措置を講ずることが明記されています。
こうした点を総合的に考慮した結果、内閣提出の法律案についても賛成いたします。
今後、政府には関係法令等や本法案に関する国会答弁、附帯決議の内容の厳格な遵守と、人材確保、教育体系の整備、国民への説明責任の履行を強く求めます。
特に、人材確保のための抜本的な処遇改善、教育体系と知識継承体制の整備、そして秘密保全と透明性のバランスを取りながら、わが国のインテリジェンス機能が適切に民主的コントロール下にあることを国民に示すことが重要です。また、先送りされた重要課題について、速やかに検討を開始し、包括的なインテリジェンス態勢の整備を進めることを求めます。
最後に、インテリジェンスは、国と国民の安全を守る盾であると同時に、民主主義にとっては最も慎重な統制を要する強い力でもあります。過去の失敗の検証、教訓の導出と国民への説明、国会による民主的統制、政治的中立、国民の自由と権利の尊重、インテリジェンスの最前線で活動する者の保護、これらを伴わない改革は、インテリジェンスを国民を守る盾ではなく、国民を監視し縛る檻にするものであり、むしろ国と国民の利益を損ねます。
組織づくりにとどまらない本質的なインテリジェンス改革の実現に向け、今後も与野党を超えた熟議を続けていくことを強く訴えまして、私の賛成討論といたします。
ありがとうございました。