国民民主党 つくろう、新しい答え。

ニュースリリース

【参本会議】竹詰仁議員が日本学術会議法案に対する反対討論

 竹詰仁副幹事長(参議院議員/全国比例)は11日、参議院本会議で議題となった日本学術会議法案に対する反対討論を行った。討論の全文は以下のとおり。

令和7年6月11日(水)
国民民主党・新緑風会
竹詰仁

参議院本会議 日本学術会議法案 反対討論

 国民民主党・新緑風会の竹詰ひとしです。 会派を代表し、ただいま議題となりました日本学術会議法案について、反対の立場から討論いたします。 

 まず、今回の法案提出に至るプロセスにおいて、政府は「学術会議と丁寧なコミュニケーションをとってきた」と主張していますが、内閣委員会での坂井大臣および政府参考人への質疑、参考人の意見陳述および質疑を通じて、政府答弁に納得性は見出せませんでした。 

 坂井大臣は、有識者懇談会の最終報告書で提言された法人像の基本的な考え方は、国が設立する他の法人のような人事、業務へ国の関与はなく、学術会議だけで会員を選べるようにして会員選考の自律性を高め、法人の適法、適正な運営を担保するための仕組みも必要最小限のものとするなど、学術会議の意見を踏まえたものになっている、と答弁されました。また、個別の論点についても、議論の過程でお互いの理解が進んだものもあり、学術会議の懸念や意見を受け止めて、会員の選考方法、評価、監事の仕組みなどに反映した部分もあった、と答弁されました。そして、学術会議の幹事会で内容的にほぼ法案と言えるような詳細な資料で説明するなど、学術会議とコミュニケーションを取りながら作成した、と述べられ、結果として、学術会議には法人化及び法案自身に反対ではないというところまでは御理解いただいた、と答弁されました。 

 しかし、内閣委員会の質疑では、学術会議の光石会長から大臣と同じ認識であるとはお聞きしませんでした。また、参考人質疑においても、学術会議の現第一部の会員である川嶋四郎参考人からは、十分なコミュニケーションがあったとは言えず、法案修正を求めたにも関わらず受け入れられないまま法案が提出されたとの意見がありました。

 当事者である日本学術会議が理解、納得しないままに進めても、いずれうまくいかなくなると思われ、日本学術会議の機能を強化できなければ本末転倒という結果を招きかねません。

 全国の学会、例えば日本物理学会、日本心理学会、日本社会学会、日本法社会学会など主要な学会などが本法案には反対の声明を出しています。政府対学術会議、政府対学会のような構図は避けるべきです。 

 学術会議自身、法人化そのものには反対しておらず、我が国のナショナルアカデミーとして、より良い役割発揮ができる組織へと変革する必要性については一致するところだと思います。真摯な協議を粘り強く積み重ねることで、政府と学術会議の双方が納得する解を出せるのではないでしょうか。このまま突き進むのは大きなリスクとなる気がして仕方ありません。

 ナショナルアカデミーたる5要件があります。その5要件とは、①学術的に国を代表する機関としての地位、②そのための公的資格の付与、③国家財政支出による安定した財政基盤、④活動面での政府からの独立、⑤会員選考における自主性・独立性、の5要件とされています。 

 この5要件については、川嶋四郎参考人、吉村忍参考人からは現行法では5要件が満たされているが、政府案では満たされていないという意見がありました。すなわち、政府案では5要件のうち、③安定した財政基盤、④活動面での政府からの独立、⑤会員選考における自主性・独立性が満たされていないという指摘でした。

 また、政府案では、現行法にはない、監事、評価委員会、選定助言委員会、運営助言委員会、分野別業績審査委員会等を設置するとしています。非常に複雑かつ多岐にわたり、学術会議の活動を縛るものになり兼ねず、果たして政府からの独立性、自律性が担保されるのか疑義があり、内閣委員会での坂井大臣、政府参考人からの答弁ではそうした疑義は払拭できませんでした。 

 学術会議からの意見にあるように、監事および評価委員については、学術会議の役割や業務にある程度精通している者が適当であり、任命にあたっては学術会議の意見を尊重すべきです。

 また、選定助言委員会、運営助言委員会、分野別業績審査委員会等はボランティアベースで運営しているなかで、現実として担える人がいるのか、委員会の業務を遂行できるのかも甚だ疑問であり、それらの規定は削除すべきと考えます。 

 学術会員の選定にあたっては、コ・オプテーション方式が確実に機能する仕組みでなければなりません。また、学術会議の財源については、学問の自由の保障及びナショナルアカデミーの位置づけから、安定した財源基盤の確保につながる規定があるべきと考えます。

 最後に、令和2年10月の任命拒否問題について、政府には改めて誠実な説明を行うよう求めます。黒塗り問題は、いったい誰が納得しているのでしょうか。政府にとっても「隠している」「やましいに違いない」と追及され続けており、内閣委員会で政府参考人として答弁にたった日本学術会議事務局長の答弁も苦しく、お気の毒にさえ思えま した。当然、学術会議側も納得しておりませんし、国権の最高機関である国会に情報開示されないままでの学術会議の在り方を変えようとする政府案の審議は、一番大事なことが抜け落ちた審議をさせられてしまったと思えて仕方ありません。この問題の解明がないまま新たな日本学術会議をスタートさせても、政府と学術会議との信頼関係が再構築できず、ずっと不信感が続いたままとなり双方にとって良い結果が得られないのではないかと思います。 

 任命拒否問題の情報開示をし、説明をし、学術会議と政府との信頼関係を再構築したうえで、本法案はやり直すべことをあらためて指摘し、反対討論といたします。 

以上