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ニュースリリース

【参本会議】竹詰仁議員がサイバー対処能力強化法案に対する賛成討論

令和7年5月16日(金)
国民民主党・新緑風会
竹詰 仁

サイバー対処能力強化法案及び同整備法案 本会議討論

 国民民主党・新緑風会の竹詰仁です。
 会派を代表して、ただいま議題となりましたサイバー対処能力強化法案及び同整備法案について賛成の立場から討論をいたします。

 サイバー攻撃は日々巧妙化、高度化しており、国や地方の行政機関、電力や金融など国民生活に直結する基幹インフラ事業者を始めとした民間事業者、そして国民一人一人の生活がサイバー攻撃による脅威にさらされています。こうした現状に鑑みれば、能動的サイバー防御を導入することは国家として不可欠な判断であり、むしろもっと早く対応すべきだったと思います。
 国民民主党は、令和4年12月に策定した安全保障政策2022において、アクティブサイバーディフェンスの早期導入を提唱し、サイバー対処能力の強化を訴えました。次に、令和6年4月、サイバー安全保障を確保するための能動的サイバー防御等に係る態勢の整備の推進に関する法律案を議員立法で提出いたし
ました。今回の政府による2法案は、その方向性は我が党が従前から主張してきたことと合致しており、責任ある国家安全保障体制の構築に向けた大きな一歩であると評価いたします。

 以下、賛成するにあたり、主に運用面を中心に、法案審議を通じて認識した課題などについて、申し述べます。
 第1の課題は官民の協議会をいかに有効に機能させるかです。石破総理は4月18日の参議院本会議における私の質問に対し、「民間事業者が協議会に参加することの意義、メリットを感じていただけるよう運用に努めてまいります」と答弁しましたが、現時点では協議会の運用を具体的にどう進めていくかが不明確です。
 官民がウィン・ウィンの関係を構築していくことが重要と思いますので、事業者からの意見を丁寧に聞き、また先行する欧米の事例も踏まえ、官民協議会が有効に機能することを求めておきます。
 第2の点は、サイバーセキュリティ人材の確保や育成、そしてそれに必要になると思われる処遇についてです。この点についても本会議で石破総理に質問した際、「サイバーセキュリティ人材に求められる役割、知識などを明確化することで、長期的なキャリアパスの明示を図るとともに、サイバーセキュリティの重要性に対する経営層の方々の理解を促進し、サイバーセキュリティ人材の地位向上や処遇の改善につなげてまいりたい」と答弁されました。
 総理答弁の内容は理解し同意するものでありますが、具体的にどうしていくのかという点が不明確であります。官民それぞれで、サイバーセキュリティ人材がどういうところにどれぐらい必要で、そうした人材をどのように確保していくべきなのか、国として処遇の在り方を含めビジョンを示し、戦略的に人材を確保すべきと考えます。
 第3の点は、セキュリティクリアランス制度と能動的サイバー防御の導入によって、適切な情報管理や活用が進み、これらの取組を我が国の産業競争力の維持・強化につなげていけるかどうかについてです。双方の組み合わせが産業競争力の強化に繋がることを期待しますが、今後の法施行、運用にこの点を念頭に進めていくことを求めます。
 第4の点は、アクセス・無害化措置について、同措置に従事する警察・自衛隊の職員の能力向上の取組みに加え、当該措置に係る規定を適切に運用することにより、迅速かつ有効なアクセス・無害化措置、および誤ったアクセス・無害化措置が行われないように真摯に取り組んでいくことを求めたいと思います。
 最後の第5点として、我が国の企業全体の99%を占める中小企業のサイバーセキュリティ対策の強化が重要な課題であり、サプライチェーン全体の防御の観点からも、従前の支援にとどまらない、より効果的な中小企業のサイバーセキュリティ対策の実施を政府に求めたいと思います。

 政府はサイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる目標を掲げました。参考人からも示されたとおり、今回の法案によって、官民連携の強化、通信情報の利用、アクセス・無害化措置といった3本柱が整備されて初めて、欧米主要国と同等以上という目標に向けた制度自体が整うと考えています。つまり、欧米主要国と同等以上となるために肝心なのは制度の運用であり、その巧拙によって本法律案を立法した評価および目標に達するか否かが決まるものと認識しております。
 本法案は、一部の規定を除き、公布の日から1年6月以内に施行されることとなっています。施行までに官民による丁寧な協議を行い、官民双方がウィン・ウィンの関係を構築することで、効果的な運用行い、サイバー防御を着実に確実に実現していかなければなりません。
 そのために、国民民主党は、今後、政府の取組を注視し、効果的な運用が行われるよう、拾い上げた「民間の声」「現場の声」を政府に訴え続けていくことをお誓い申し上げ、私の討論といたします。
 御清聴有り難うございました。

以上