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ニュースリリース

【衆本会議】玉木代表が石破総理の所信表明演説に対する代表質問で登壇

 玉木雄一郎代表(衆議院議員/香川2区)は7日、衆議院本会議において、石破総理大臣の所信表明演説に対する代表質問を行った。全文は以下の通り。

第214回国会における石破内閣総理大臣所信表明演説に対する代表質問

令和6年10月7日
玉木雄一郎(国民民主党・無所属クラブ)

 国民民主党代表の玉木雄一郎です。まず、石破総理、ご就任おめでとうございます。ただ、先週の石破総理の所信表明演説とこれまでの総理答弁は極めて残念です。緊張感も熱意も感じられません。「石破カラー」はゼロで、完全に「脱色」されてしまっています。「納得」も「共感」もできませんでした。多くの国民がそう感じたはずです。期待は今、急速に失望に変わりつつあります。

(能登に寄り添わない石破政権)
 先週、能登の被災地に行ってきました。地震と豪雨の二重被災で苦しんでいる方がたくさんいらっしゃいました。まだまだ復旧・復興はこれからです。選挙事務に携わる自治体職員だって被災者です。輪島の市長さんも、口を濁してはおられましたが、選挙準備が大変そうでした。投票所になる施設が避難所になっているところもあります。そんな状況の中で、補正予算も編成しないどころか、被災地にさらに負荷をかける急な選挙です。どれほど耳障りのいい言葉を語っても、やっていることは党利党略、選挙のため。とても能登の被災地に寄り添っているとは言えません。今、最大の支援策は選挙を延期することではないですか。
 石破総理、目を覚ましてください。そう申し上げて質問に入ります。

(能登豪雨被害の補正予算を組むべき)
 「能登や優しや土までも」という言葉があります。しかし、政治がその優しさに甘えてどうするのですか。政治の役割は苦しんでいる国民の命と生活を守ることではありませんか。今あなたがやっていることは、早期の解散で自民党議員の政治生命と生活を守ることに過ぎません。今こそ、政治にしか果たせない役割を果たすべきです。最大限の優しさをもって能登に寄り添うべきではないですか。改めて石破総理にお願いです。補正予算を組んで能登の被災地対策に万全を期すことを求めます。震災用に組んだ基金も資材価格の高騰で必ずしも十分ではないし、豪雨災害には使えないとの制約もあります。予算委員会を開いて、補正予算を成立させましょう。

(7条解散に反対?)
 そもそも、「ルールを守る自民党」を訴えて総裁になったのに、国会で総理に指名される前に解散を宣言するなど、憲法が定める統治の基本ルールも無視しました。石破総理は令和2年7月の講演で「憲法論から7条解散はすべきではない」とまでおっしゃっていましたが、総理、明後日にも断行しようとされている衆議院解散は憲法何条に基づくものか、政府統一見解を示してください。7条解散であれば、「7条解散はすべきでない」という前言を撤回するのか、明確にお答えください。

(自民党を変える前に、自分が変わってしまった?)
 石破総理、言ったこととやっていることが違っています。自民党を変える前に、自分が変わってしまっているのではないですか。その自覚はありますか。予算委員会を開くと言っていたのに、その前言を翻して解散総選挙を行うことについて、石破総理は申し訳ない気持ちや、恥ずかしさを感じませんか。率直な思いをお聞かせください。

 総理は「納得と共感の政治」を強調しますが、選挙を有利に進めたい自民党議員の「納得と共感」は得られても、国民の納得も共感も得られないでしょう。今のあなたは、言行不一致、信頼されない政治家そのものになっています。自民党裏金問題で傷ついた政治への信頼を取り戻すことを期待されて誕生した石破政権が、新たな政治不信を作り出してどうするのですか。石破総理、目を覚ましてください。

(新事実に基づき裏金の再調査を)
 自民党の裏金問題について伺います。自民党が行った2月の裏金調査報告書の10ページ目には、裏金について「『政治活動費以外に用いた』または『違法な使途に使用した』と述べた者は一人もいなかった」と記載されています。しかし、公選法違反容疑で東京地検特捜部の強制捜査を受けた安倍派の元議員は、派閥から還流された裏金数百万円をスーツ代やサウナ利用料などに私的流用したと特捜部に証言しています。これは新たな事実です。さらに、調査報告書では裏金がなかったとされた麻生派についても、閣僚経験者の麻生派元議員が、2017年以前の裏金作りを証言しています。これも新たな事実です。石破総理は総裁選の最中や総理就任会見で再三、新しい事実が出てくれば再調査するとおっしゃっていましたが、今指摘した私的流用と報告書にない裏金という新しい事実について、総理の認識をお聞かせください。2月のいい加減な自民党の調査をやり直すべきではありませんか。

(裏金議員の公認問題)
 裏金議員の公認問題について伺います。石破総裁は昨日になって裏金議員のほとんどを公認すると発表しました。一部議員の比例との重複立候補を認めないとはいえ、政治資金規正法というルールを守らなかった裏金議員を小選挙区で公認するということは、自民党として「ふさわしい候補者」であると公式に認められたということでよろしいでしょうか。「ルールを守る自民党」は早速撤回されたのでしょうか。自民党総裁として伺います。

(アジア版NATOには9条2項削除が必要では)
 次に政策について伺います。所信には、石破総理一番の肝煎りである「アジア版NATO」の言及が全くありませんでした。なぜですか。その程度の政策なのですか。NATOは北大西洋条約第5条で「締約国は、ヨーロッパ又は北アメリカにおける一又は二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなすことに同意する。」と規定している通り、まさに集団的自衛権を行使する枠組みです。仮に、NATOと同じような枠組みをアジアで作るのなら、フルスペックの集団的自衛権を行使するための憲法改正が不可欠です。しかし、現在の自民党の改憲案は9条の解釈を変えずに自衛隊を明記するだけであり不十分です。石破総理の訴える「アジア版NATO」の実現には、憲法9条2項を削除するなどの憲法改正が必要だと考えますが、自民党総裁としての見解を求めます。誤魔化さずにお答えください。

(絵に描いた餅の安保政策)
 所信には、日米地位協定の見直しについて言及が全くありませんでした。早くも、諦めたのでしょうか。いつ頃までに実現するつもりなのですか。また、石破総理は自衛隊の訓練基地を米国グアムに置くとの構想も打ち出しておられますが、自衛隊員が海外で起こした過失致死や業務上過失致死などの過失犯を裁く規定が日本の国内法にはありません。国内法の不備を埋めずに、自衛隊の海外基地を構想しても、絵に描いた餅です。石破総理、国内法に国外過失犯処罰規定の整備を急ぐ気はありますか。

(拉致問題解決の道筋)
 拉致問題について伺います。東京と平壌に連絡事務所を設けることで、どのように拉致問題の解決に繋げるのか、具体的な道筋を示してください。北朝鮮に利用されるだけになるのではないでしょうか。家族会も「時間稼ぎに使われる恐れがある」と反対しています。

(手取りを増やすために所得税の恒久減税を)
 経済政策について伺います。国民民主党は「手取りを増やす」経済政策を公約に掲げました。その柱の一つは所得税の恒久減税です。インフレで生活コストが上がっています。アメリカも物価上昇に合わせて所得税の標準控除を引き上げていますが、我が国も所得税の基礎控除や給与所得控除を引き上げ、具体的には最低賃金の伸び率も踏まえて103万円から178万円に引き上げることを提案しています。いわゆる年収の壁の解消にもつながります。岸田内閣の行った一回きりの定額減税は事務負担ばかり増えて効果は極めて限定的でした。石破内閣では、国民民主党が主張している所得税の基礎控除等の引上げを行い、家計を「インフレから守る」べきではありませんか。
 また、子育て支援を強化するため、年少扶養控除を復活すべきです。かつて野党時代の自民党の公約にも掲げられていましたが、復活させるつもりはありますか。

(教育国債の発行)
 子育て、教育、科学技術はまさに人への投資です。所信で総理がおっしゃった「人づくりこそ国づくり」は、まさに、国民民主党の前回衆院選、前回参院選の公約です。我々はその財源として使い途を限定した「教育国債」を発行し、教育・科学技術関連予算を来年度から倍にすべきと提案していますが、総理、いかがでしょうか。逆に、教育国債の発行以外に、子育て、教育、科学技術の予算を来年度から倍増させる方策があれば教えていただきたい。真似するなら、見出しだけでなく、中身も真似してください。
 国民民主党は、教員や自衛官など人員不足が生じている公務の分野に就職した場合は、奨学金の返済を免除することを提案しています。石破内閣で取り入れてはどうですか。

(ガソリン値下げ・電気代値下げ)
 会計検査院から無駄遣いを指摘されたガソリンの補助金はいつまで続けるのでしょうか。来年1月以降はどうするつもりですか。同じ政策効果なら無駄の出ないガソリン減税でやるべきではないですか。国民民主党はトリガー条項の発動と自動車関連税制の抜本改革で、ガソリンをリッター25.1円減税し、消費税とガソリン税の二重課税も廃止します。
 電気代・ガス代の補助は「酷暑乗り切り緊急支援」と名前が変わりましたが、11月以降も続けますか。上がっているのは電気代ではなく、電気代に上乗せされている再エネ賦課金です。国民民主党が主張するように再エネ賦課金の徴収を止め、電気代を引き下げるべきではありませんか。

(原発ゼロは撤回したのか)
 原子力発電所を稼働することが安価で安定的な電力供給に欠かせません。最大限活用することは我々国民民主党も賛成ですが、石破総理は総裁選中に「原発利用をゼロに近づける」、すなわち原発ゼロを主張していました。武藤経済産業大臣は2日の就任会見で「今は訂正されていると承知している」そうですが、総理はいつ“変節“したんですか。理由と併せてお聞かせください。

(消費税減税)
 国民は物価高で苦しむ一方、国は過去最高の税収を毎年更新しています。国民民主党は、実質賃金が安定的にプラスになるまで、時限的に消費税を一律5%に減税することを提案しています。インボイスも要らなくなりますし、即効性のある物価高騰対策になるのですが、採用していただけませんか。

(医療制度改革)
 国民民主党は、現役世代の社会保険料負担を軽減し、地域医療を持続可能なものにするため、10策にわたる具体的な医療制度改革を提案しています。しかし、総理所信には具体的な社会保障制度改革について何も述べられていません。私たち国民民主党は、公的保険の給付範囲の見直しとともに、終末期医療の見直しについても提案しています。家族会議の制度化など尊厳死の法制化も検討すべきと考えますが、石破総理の考えを伺います。

(農業政策)
 農政について伺います。現場に不安の広がっている水田活用直接支払い交付金の「5年の水張り要件」は撤廃すべきではありませんか。
 また、石破総理はコメの生産調整をやめると主張していますが、転作奨励もやめるべきだとお考えですか。明確にお答えください。生産調整をやめて価格のコントロールをやめるのなら、営農継続可能な所得を国が補償する「直接支払い制度」の導入が不可欠です。国民民主党は「食料安保基礎支払い」の創設を提案していますが、コメにも何らかの「ゲタ政策」、「直接支払い」制度が必要ではありませんか。

(結び)
 最後に国民の皆さんに訴えます。国民民主党は、旧文書通信交通滞在費の公開と政策活動費の廃止を昨年から実行に移している唯一の政党です。対決より解決、政策にこだわる政党だからこそ、政治とカネの問題に厳しく向き合い、自らも身を律しているのが国民民主党です。

 私たちが目指す社会は極めてシンプルです。それは、頑張って就職して真面目に働いたらちゃんと給料が上がる。望めば、結婚も子どもを持つことができる。そんな当たり前の幸せを掴むことができる社会です。そのために国民民主党は「手取りを増やす」経済政策を進めます。現役世代の給料や手取りが増えれば、年金も増えます。

 国の税収は4年連続で過去最高を更新し、先月の税収も昨年同月に比べ約26%も増えています。また、外為特会をはじめとした税外収入も円安・株高の影響で増え、いまや国が賃上げ、インフレ、円安の「勝ち組」になっています。しかし、政治の役割は「国の懐」を豊かにすることではありません。政治の役割は「国民の懐」を豊かにすることです。予定より増えた税収を減税などで適切に還元するなど、国民の「手取りを増やす」経済政策を国民民主党は進めていきます。

 私たち国民民主党が議席を増やせば、皆さんの手取りと年金が確実に増えます。政治家の保身や利権のための古い政治ではなく、広く生活者、納税者、働く者の立場に立った新しい政治を始めようではありませんか。そのためには全国の皆さんの力が必要です。あなたの力と行動が、日本の未来を、そして、あなた自身の未来を作ります。さぁ、新しい政治を国民民主党と一緒に始めましょう。ご清聴、ありがとうございました。