ニュースリリース
【衆本会議】玉木代表が岸田総理の訪米帰朝報告に対する代表質問
玉木雄一郎代表(衆議院議員/香川2区)は18日、衆議院本会議で岸田総理の訪米帰朝報告に対する代表質問を行った。質問の全文は以下の通り。
岸田総理の訪米帰朝報告に対する代表質問
令和6年4月18日
玉木雄一郎(国民民主党・無所属クラブ)
国民民主党代表の玉木雄一郎です。冒頭、一点申し上げます。本会議でのタブレットを用いての読み上げが「品位に欠ける」「権威の問題」として認められません。総理、ペーパーレス化やDX化を進める中で、この現状をどう考えますか。総理も、タブレットを活用した原稿の読み上げは品位に欠けると考えますか。
岸田総理は、米国議会で日本はアメリカの「グローバル・パートナー」だと述べ、共同声明でも「日本の防衛力と役割を抜本的に強化し、安保条約の下で米国との緊密な連携を強化」すると表明しましたが、総理の考える「グローバル・パートナー」としての活動は、そもそも現行憲法を変えずにできるのか、それとも憲法を変えてでもやろうとする内容が含まれるのか、総理の基本的な考えをお示しください。
特に、自衛隊と米軍の作戦及び能力のシームレスな統合を行うためには、国際法的にも国内法的にも自衛隊の位置付けを明確にする必要があります。これまでの解釈は「自衛隊は一般には国際法上の軍隊に該当すると解される」が「通常の観念で考えられる軍隊ではなく、陸海空軍その他の戦力となるわけでもない」と、国際法と国内法で位置付けが異なる理解困難なものでした。自衛隊の活動が国内や周辺地域にとどまっている間は通用したかもしれませんが、自衛隊が米軍とシームレスに共同活動すれば、そんな詭弁は通用しません。憲法を改正し、自衛隊を「戦力」として憲法に明確に位置付ける必要があると考えているのか、そして、それが自民党改憲案の「自衛隊明記論」で可能となるのか、総理の考えを明確にお答えください。
また、日本が「米国と共にある」パートナーであれば、治外法権的な状態が放置されている地位協定の見直しにも本気で取り組むべきではないでしょうか。それが沖縄の皆さんの基地負担の軽減につながると思いますが、総理の見解を伺います。
日米同盟の最大の弱点はサイバーセキュリティと言われています。日本の通信網や電力網がダウンすれば、戦闘が始まる前に在日米軍や自衛隊が敵国の軍隊によって制圧される可能性も否定できません。にもかかわらず、いまだに能動的サイバー防御、アクティブ・サイバー・ディフェンスを可能とする法案が提出されていないことは問題です。いつ法案を出すのか、政府の方針を伺います。
経済安全保障上、重要な情報へのアクセスを国が適性を審査した人に限定するセキュリティ・クリアランス法案は先般衆議院で可決されましたが、総理が任命権を持つ大臣、副大臣、政務官や審議会の委員は適性審査の対象外です。総理はいかなる方法で問題なしと判断するのですか。重要な情報にアクセスし政策決定に関与する政務三役や審議会の委員に対しても、何らかの事前チェックが必要だと考えますが、総理の見解を伺います。
民主的な香港紙、アップルデイリーの創業者ジミー・ライ氏の香港国家安全維持法違反を巡る裁判の起訴状で、我が党の国会議員であった菅野志桜里氏が「共謀者」として名指しされました。共謀とされた行為は、日本版マグニツキー法の整備を日本政府に働きかけるという、他国の干渉を受ける余地が全くないものです。日本の国会議員による正当な政治活動が他国で犯罪化されることは、国家主権、国民の自由の侵害であって絶対に看過できません。総理が訴えた通り「平和には理解以上に覚悟が必要」であり、「中国からの挑戦が続く中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序は決定的な課題」です。国際法の世界では、抗議すべきなのに抗議しない者は黙認したとみなされます。香港政府に関心表明しただけでは足りず、政府として抗議すべきです。総理の「覚悟」と見解を伺います。
イスラエル軍が侵攻したガザを巡り、アメリカの下院議員が原爆投下を促すような発言をしましたが、看過できません。バイデン大統領や議会関係者に対して、総理は抗議の意を示したのでしょうか。唯一の戦争被爆国として、また被爆地を選挙区とする総理大臣として言うべきことは言うべきではありませんか。
日米共同声明では「日米共通のジェット練習機といった最先端技術の共同開発・生産の機会を追求する作業部会を設置することにコミットする」としていますが、これは日英伊三カ国で行なっている次期戦闘機の共同開発と矛盾することはないのか、両者の関係性について説明を求めます。
アメリカの鉄鋼大手、USスチールは、臨時株主総会で日本製鉄による買収計画を承認しました。あとは、安全保障の観点から審査を行う規制当局やバイデン大統領の判断にかかっています。仮にこの買収が政治的な理由で頓挫するなら、米国への投資拡大の障害になるおそれがあります。USスチールの買収について日米首脳間でやりとりしましたか。円滑に買収が完了するよう働きかけるべきと考えますが、総理の見解を伺います。他方、経済安全保障の観点から、重要な技術や人を渡すべきではない国や企業に対しては、資金も提供すべきではありません。対外的な投資に対しても、経済安全保障上、今後何らかの規制の導入が必要と考えますが、総理の見解を伺います。
アメリカが主導する国際月探査プロジェクト「アルテミス計画」において我が国の宇宙飛行士の初の月面着陸が可能となることは、ワクワクするニュースであり歓迎します。今後、宇宙分野を担う人材をどう計画的に育てていくのか、政府の戦略を伺います。
最後に、今回の日米首脳会談は成功だったと率直に評価します。ただ、日米両国が平和を維持するための真の「グローバル・パートナー」となるためには、首脳間だけでなく、日米両国国民の「理解」も「覚悟」も必要です。だからこそ、米国議会だけでなく日本の国会においても堂々と話してほしいのです。国民にこうした理解と覚悟を求めるつもりで私の質問に答えていただくことを求め、国民民主党を代表しての質問とします。
以上