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ニュースリリース

【参本会議】竹詰議員が国立大学法人法改正案について本会議で質疑

 竹詰仁議員(参議院議員/全国比例)は1日、参議院本会議で「国立大学法人法の一部を改正する法律案」に対して質疑を行った。質疑の全文は以下の通り。

国立大学法人法の一部を改正する法律案
本会議質問

令和5年12月1日
国民民主党・新緑風会
竹詰 仁

 国民民主党・新緑風会の竹詰仁です。
 私は、会派を代表し、国立大学法人法の一部を改正する法律案について、盛山文部科学大臣に質問いたします。

 「こどもまんなか」や「チルドレンファースト」は時期を得た政策で尊重すべきであり、その言葉通りに進めていかなければなりません。
 本法律案は、国立大学法人の管理運営の改善並びに教育研究体制の整備及び充実等を図ろうとするものですが、法改正をする根本は「こどもまんなか」のように「学生まんなか」「学生ファースト」になっていなければなりません。
 大学は誰のためにあるのか、誰のために運営するのか。
 大学で学びたい、研究したい学生のためにあり、学生のために運営していくべきものと考えます。
 盛山文部科学大臣にお伺いします。
 本法律案は、学生まんなかであり、学生のためになる法改正であると断言していただけますか、ご見解を伺います。

 大学は学生が支払う授業料で運営が成り立っています。大学は学生からの授業料のほかに国からの支援や寄付等を受けており、授業料を納める学生に納めた分、あるいは納めた以上に教育や研究、文化やスポーツなどでお返しする運営が本筋だと思います。民間企業では、取締役会や執行役員会の体制を改革したり、管理運営体制を見直したりしますが、改革のきっかけは会社が提供する商品やサービスに対するお客様からの意見や要望であったり、またお客様の感触の変化だったり、従業員からの声であったりすることがあります。本法律案に至るまで、様々な有識者や専門家による議論が行われてきたと承知していますが、学部生、大学院生、あるいは研究者や教育者の意見なども聴取してきたのか、つまり会社でいえばお客様や社員というステークホルダーの意見も反映されているのか大臣に伺います。

 現在の大学3、4年生や大学院生は、多くの時間をコロナ禍で過ごしてきたため、想像していた、夢見ていた学生生活とは全く別物になってしまいました。いつの時代にも想像していなかった危機や変化は起き得るものではありますが、コロナ禍で授業のほとんどがリモートで、キャンパスにも行かず、友達や人的ネットワークを広げられず、余りにも気の毒です。例えば特例であと2年、授業料負担なしで大学生をやらせてあげたい思いになります。コロナでアルバイトを失い、生活費や授業料に困窮し退学した人や、大学で学ぶ希望を失い退学した人もたくさんいます。コロナ禍で過ごした彼らにとって、大学での教育や研究は何であったのか、それもはっきりとわからないままに社会に出ていきます。大学生の違法薬物乱用、特殊詐欺などの犯罪の背景にコロナの影響があるのではないか大変気がかりです。盛山文部科学大臣にお願いいたします。国の教育行政のトップとして、コロナ禍で多くの時間を過ごした大学生や大学院生に、これからの励みとなる言葉を発信していただけませんか。今日だけでなく、何度も何度も発信していただきたいと思います。

 国民民主党の学生部には現在220名以上の学生がいて、全国各地で活動してくれています。学生自らが街頭に立ち、「給料が上がる経済」「人づくりこそ国づくり」「自分の国は自分で守る」などの国民民主党の政策を訴えています。彼らは、日本が科学技術の分野で世界の後塵を拝していること、大学院や博士課程に進んでもその先の展望が見えにくいこと、奨学金の負担が大きく将来の希望よりも不安が先行してしまうこと、諸外国は教育予算を増やしている一方で日本は教育や人への投資が増えず海外に行って研究するしかないなどとも訴えており、これまでの国の教育政策や予算、そして政策を決めてきた政治に対して悔しい思いをしていることが見て取れます。彼らに起きていることは彼らのせいではないので、申し訳ない気持ちになります。
 盛山大臣、こうした学生の悔しい思いに対して、大臣はどうお答えになりますか。教育政策、教育予算、科学技術への予算など、人への投資を十分にしてこなかったことが学生の不安にもつながっているのではないでしょうか。優秀な人材が海外に流出してしまったらもったいないです。学生が、国は自分たちのことをしっかり考えてくれていると思える大臣の決意を彼らにお伝えください。

 本法律案の具体的な内容も何点かお伺いいたします。

1.本法律案の検討プロセスを明らかにする必要性

 本法律案提出の契機となった、総合科学技術・イノベーション会議の報告書では、国際卓越研究大学となる国立大学に関して、意思決定機関として合議体を設置することを求めていました。一方、本法律案では、事業の規模が特に大きい特定国立大学法人は運営方針会議を必置、その他の国立大学法人は置くことが可能とされ、国際卓越研究大学の認定と運営方針会議の設置は直接リンクしていません。なぜ報告書の提言から変更することとしたのか、検討プロセスも含めて、大臣にご答弁をお願いします。

2.運営方針会議を置くこととした理由

 次に、運営方針会議を置く理由について伺います。
 大臣は衆議院での答弁で、運営方針会議の設置理由として、多様な専門性を有する方々が大学運営に参画することを挙げています。しかし、現行法においても、理事・監事は学外者を含むこととされるほか、経営協議会は学外者が過半数、学長選考・監察会議も学内外同数で構成するとされています。
 既に学内外の多様な専門性を有する方々が大学運営を担う仕組みがある中で、新たに運営方針会議を設置することとした理由は何でしょうか。世界と伍する研究大学の実現と運営方針会議の設置の関係について、見解を伺います。

3.運営方針会議を設置する国立大学法人における責任の所在

 次に、国立大学法人における責任の所在について伺います。
 運営方針会議の新設により懸念されることの一つは、法人内でのガバナンスが複雑化し、責任の所在が曖昧になることです。
 現行法において、学長は国立大学法人を代表し、その業務を総理するとされており、これは法改正後も変わりません。一方で、本法律案により新設される運営方針会議は、中期計画や予算などの運営方針事項について決議するとともに、決議した内容に基づいて法人運営が行われているかを監督する役割を担うとされています。
 仮に運営方針会議の決定した計画どおりとならず、国立大学法人として見込みを下回る成果しかあげられなかった場合、その責任は、業務を執行する側である学長と、監督する側である運営方針会議のいずれが負うこととなるのか、見解を伺います。

4.運営方針委員の任命に係る文部科学大臣の承認

 次に、運営方針委員の任命に係る文部科学大臣の承認について伺います。
 運営方針委員は、学長が、学長選考・監察会議との協議を経て、文部科学大臣の承認を得た上で任命するとされています。
 大臣は衆議院での答弁で、大学の自主性、自律性に鑑み、申出に明白な形式的違反性や違法性がある場合や、明らかに不適切と客観的に認められる場合を除き、承認を拒否することはできないとの趣旨を明らかにするため、承認は法人側の申出に基づいて行うものとしたと述べています。
 「明らかに不適切と客観的に認められる場合」の基準をあらかじめ示す、文部科学大臣が承認しない場合はその理由を公表するなどの取組が必要と考えますが、見解を伺います。

5.東京科学大学における女子学生・女性研究者の確保

 次に、東京医科歯科大学と東京工業大学の統合により新設される東京科学大学について伺います。
 東京科学大学は、理系の総合大学となりますが、我が国においては、従来から、理系に進む女子学生の割合が低いことが指摘されています。
 既に東京工業大学では、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する一環として、入試における「女子枠」の導入や、奨学金において新たに「女子学生枠」を創設するなどの取組を進めているとのことです。素晴らしい取組であり、統合後の東京科学大学においても、女子学生や女性研究者の割合を高めていけるよう、国としても、大学側の取組を一層後押ししていく必要があると考えますが、認識を伺います。

6.教育・研究に係る予算の拡充

 最後に、あらためて、教育・研究に係る予算について伺います。
 我が国の国際競争力、研究力が低下した最大の要因は、これまで政府が、子ども・若者への投資、未来への投資を怠ってきたことにあると考えます。
 政府は国立大学法人化以降、運営費交付金を削減し、選択と集中を進めてきましたが、縮小した予算の配分方法だけを考えていては、将来展望が見出せません。
 将来を担う人への投資の必要性についての見解をお伺いして、私の質問を終わります。