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ニュースリリース

【衆憲法審】玉木代表が憲法改正国民投票法などについて発言

 玉木雄一郎代表(衆議院議員/香川2区)は8日、衆議院憲法審査会に出席し、憲法改正国民投票法などについて発言を行った。内容は以下の通り。

憲法審査会発言要旨(2023年6月8日)

国民民主党代表 玉木雄一郎

(協議会によるインターネットを利用した広報・広告)

 現在の憲法改正手続法には、インターネットを利用して行う国民投票広報協議会による広報についての規定や、協議会の費用で行う政党のインターネット広告についての明文規定がありません。インターネットがこれだけ影響力のあるメディアになっている以上、協議会がインターネットを利用した広報や、禁止期間における政党等の広告を行うための法整備が必要と考えます。協議会がインターネットを利用した広報・広告に関して何がどこまでできるのか明らかにしないまま、政党等の広告を禁止してしまうと過度な規制になり、国民は正確な情報に接する機会を失い、政党等の広告の禁止期間中、フェイクニュースにばかりに晒されることにもなりかねません。

(協議会のファクトチェック機能)

 さらに、テレビ広告と異なり、個人がSNS等で発信する意見については規制は困難だと考えます。そして、個人の発信を制限できない以上、膨大なフェイクニュース情報の発信が予想され、そうしたフェイクニュースの嵐に対して協議会の発信だけで対抗できるのかといった検証も必要です。例えば、「国民民主党の緊急事態条項はナチス時代の緊急事態条項と同じだ」と言ったフェイクニュースが流布した場合に、それを防止したり停止するために、どのような有効な対抗策があるのでしょうか。協議会から正しい情報を大量に出すようなカウンター攻撃も一案ですが、同時に、協議会に何らかにファクトチェック機能(民間機関との連携を含む)や、是正措置の権能を持たせることも検討すべきです。

 例えば、フランスには、「ヴィギヌム」という政府組織が2021年7月に創設され、外国勢力を含むプラットフォーム上の虚偽または敵対的なコンテンツの伝播を監視し検出する役割を果たしています。ただし、この機関は国民投票の公正性の確保のためだけの組織ではなく、広く外国からの偽情報等によるデジタル干渉に対抗する機関であり、国家安全保障部局の一部に位置付けられています。

(偽情報対応におけるプラットフォーム事業者への規制のあり方)

 次に、フェイクニュース対応に関するプラットフォーム事業者への規制のあり方についても一言申し上げます。フランスでは、投票日の3ヶ月前に、偽情報が拡散されている場合、検察官、候補者等、利害関係者から求めを受けた裁判官は、プラットフォーム事業者に対して送信停止を命じることができ、裁判官は申立から48時間以内に停止に関する判断を行わなければならないとされています。その一方、EU全体としては、欧州委員会はデジタルサービス法(DSA)においてもその位置付けが確認された「偽情報に関する行動規範」(the Code of Practice on Disinformation)を更新し、事業者の自主規制に委ねています。署名者は計34者となり、今年2月にはMeta、Google、Microsoft、TikTokなどを含む30の署名者が署名後初のレポートを提出しています。

 我が国では、公的規制、自主規制を適切に組み合わせていくことが現実的なアプローチだと考えますが、例えば、2020年に成立した「デジタルプラットフォーム透明化法」のような間接規制の枠組みは参考になると思います。同法の規制の枠組みは、「特定デジタルプラットフォーム提供者」に対して、自主的な体制整備を自己評価した報告書の提出を義務づけ、それを行政庁がレビューする仕組みです。規制の大枠を法律で定めつつ、詳細を事業者の自主的取組に委ねる「共同規制」(co-regulatory agreements)の手法を採用し、国の関与や規制を必要最小限のものとしています。

 いずれにしても、誰でも発信者になれるインターネット空間においては、誰でも発信者になれるため、テレビと全く同じ規制は現実的ではなく、インターネットの特性を活かした規制とすべきであり、その際、プラットフォーム事業者の規制のあり方をどう整理するのかについて合意を得ることが必要です。

(3つの提案)

 最後に、今後の運営について3つ提案したい。

  1. まず、インターネットを使った広報を含む「国民投票広報協議会」の具体的な役割について定めた「規定の原案」の作成を事務局にお願いしたい。
  2. 次に、次回が今国会最後の憲法審査会であることから、これまで議論が積み上がってきた緊急事態条項、とりわけ議員任期の延長などについて、改めて各党・各会派の意見をまとめた論点整理を行い、今国会における衆議院憲法審査会としての意見の集約を図るべきです。事務局への作業の指示、森会長の取りはからいをお願いします。
  3. 最後に、緊急集会のあり方については、国会法102条の8に規定する、参議院との合同審査会を、ぜひ開催して合意形成をはかっていくべきです。しかし、同条3項で、合同審査会を開催するためには、両議院の決議によって合同審査会規則を定めることになっているので、この規則案の策定についても、森会長から事務局に指示を出してもらいたい。

第102条の8 各議院の憲法審査会は、憲法改正原案に関し、他の議院の憲法審査会と協議して合同審査会を開くことができる。

② 前項の合同審査会は、憲法改正原案に関し、各議院の憲法審査会に勧告することができる。

③ 前二項に定めるもののほか、第一項の合同審査会に関する事項は、両議院の議決によりこれを定める。

 次回は今国会最後の憲法審査会。せっかく、これだけの時間をかけて議論を積み上げてきたわけだから、言いっぱなしではなく、緊急事態条項について改めて論点を整理し、合意点を確認し、成果を一つ一つピン留めすることをお願いしたい。

<参考>国民民主党「憲法改正に向けた論点整理」(2020年12月)