国民民主党 つくろう、新しい答え。

ニュースリリース

【衆本会議】斎藤アレックス議員が令和5年度予算案に対する反対討論

 斎藤アレックス政務調査副会長(衆議院議員/滋賀1区)は28日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で議題となった令和5年度予算案に対する反対討論を行った。討論の全文は以下のとおり。

令和5年度総予算反対討論

令和5年2月28日
国民民主党・無所属クラブ
斎藤 アレックス

 

 

 国民民主党の斎藤アレックスです。私は会派を代表して、ただいま議題となりました令和5年度総予算三案に反対の立場から討論を行います。

 我が国は「長期にわたり停滞する経済」「止まらない少子化傾向」という深刻な問題に直面しています。これらを改善、解決し、日本に希望と未来を取り戻すためには、これまでの凋落の30年間を招いた政策体系から大きく転換し、「給料が上がる経済」に資する予算、「人づくり」に資する子ども・子育て政策関連の予算を編成しなければなりません。

 しかし、岸田政権が編成した令和5年度総予算には、そのような日本の根本的な問題への解決策が欠落しており、これまでと同様、問題解決を先送りし、そしてこれまでと同様にさらに問題を大きくする結果を招くことは火を見るよりも明らかです。

 岸田総理が兼ねてから主張し、そして年頭会見で表明した「異次元の少子化対策」に必要不可欠な「子育て関連予算の将来的な倍増」については、増額の規模や時期など詳細は全く示されませんでした。防衛力強化は一定の評価をするものの、過度な秘密主義で中身を確認できない予算、そして防衛増税は、これまでの政府からの不十分な説明では、とても国民の理解を得られるとは思えません。賃上げに関連する政策も過去の延長線上のものにすぎず、より大胆な賃上げ税制が盛り込まれることはなく、最低賃金の大幅な引き上げの意思も、総理の予算委員会での答弁では感じられませんでした。賃上げを妨げると同時に人手不足を招いている「年収の壁」問題を突破するための給付、そして根本的な社会保険制度の改革に関しても、検討するとの受け答えに終始し、働く人たちの声も、経営者の声も全く聴いていないのではないかと疑わざるを得ません。

 国民民主党は「対決よりも解決」の理念のもと、批判は常に対案を示しながら行っています。限られた時間ですが、以下、具体的な対案を申し述べることで、反対討論に代えさせて頂きます。

 まず、賃上げ税制は、赤字企業・事業者が賃上げ原資を確保できるようにするため、法人税に加え法人事業税や固定資産税もその対象に含む内容に修正するべきです。

 つぎに、子育て予算に関しては、児童手当をはじめとした子ども・子育て支援における公的給付の所得制限を撤廃するとともに、岸田総理も就任時に公言した「子ども予算倍増」の内容に修正し、とりわけ、障害児福祉に関する公的給付の所得制限は即刻撤廃すべきです。

 そして、ガソリン減税と電気、LPガス代値下げを実現するため、ガソリン・軽油のトリガー条項の凍結を解除するとともに、電気料金に上乗せされている再生可能エネルギー発電促進賦課金の徴収を停止すべきです。加えて、地方において重要なインフラとなっているLPガスについても所要の対策を講じることが必要です。

 また、我が国の構造的な問題を解決するために次の5点の対策を講じることを求めます。

 1点目は、労働力不足、女性の社会進出の障害となっている「年収の壁」問題について、抜本的な社会保険改革を早急に行うとの約束のもと、当面の対策として「年収の壁」を超えて労働する場合の収入減少分を穴埋めする『「年収の壁」突破給付』を導入すること。

 2点目に、金融所得の総合課税を含む所要の措置を講じ、「1億円の壁」に代表される税負担の不公平の問題を改善すること。

 3点目は、教育国債発行により財源を確保し、教育など人づくりのための予算及びデジタル化・カーボンニュートラルを柱として科学技術関係予算を倍増し、日本の科学技術と産業の国際競争力を取り戻すこと。

 4点目に、少なくとも、「持続的な賃上げが定着する経済社会状況」が実現するまでの間、増税はしない方針を盛り込んだ内容に防衛予算を見直すこと。

 5点目に、日銀保有国債の一部永久国債化、外為特会の一般会計への繰り入れ等により、財源を多様化するとともに、予備費縮減・決算剰余金の透明化等により、財政規律を強化すること。

 国民民主党はこのほかにも、インフレ手当の支給、消費税減税とインボイス制度導入延期などを提案しています。残念ながら、これらを盛り込んだ予算組み替え動議は予算委員会で否決されてしまいましたが、国民民主党は一つずつでも国民生活を支える政策を実現できるよう、引き続き真摯な議論を他党に働きかけてまいります。

 戦後、目覚ましい復興と発展を遂げた日本ですが、1990年代以降の日本は経済の長期低迷が続き、国際競争力も科学技術力も凋落の一途をたどり、一人当たりGDPは先進国で最低水準。全体のGDPでも、人口が日本より大分少ないドイツにもまもなく抜かれて、かつて世界第2位の経済大国であったのが、4位にまで日本は順位を落とすと見込まれています。少子化傾向は止まらず、今後30年間で労働人口が3割も減ると推計されており、そもそも社会を維持することができるのかさえ危ぶまれる状態です。何よりも問題なのは、そのような環境下で、あらゆる年代の人たちが将来不安を膨らませ、若い人たちさえも明日に希望を持てていないことです。総理は先日、第二次安倍政権以降の自公政権は「前進の10年」であったと胸をはっておられましたが、本気でそう思っているのでしょうか。問題から目をそらしたり、間違いを認めず機能していない政策体系に固執したりして、問題解決ができるはずがありません。岸田政権には、改めて現実に目を向け、真摯に日本の課題に取り組むことを求めます。

 国民民主党は困難な問題から目をそらさず、対決よりも解決の理念で、日本を再生する仕事に全力で取り組むことをお約束して、会派を代表しての討論といたします。

 ご清聴ありがとうございました。